いれいす、過去最大規模のアリーナツアーが閉幕 お祭り騒ぎのKアリーナ横浜公演をレポート
いれいす Summer Tour 2025「えびばでぃ - 祭 - FESTIVAL !!」
2025.9.28 Kアリーナ横浜
7月に7th Full Album『放課後アーカイブ』をリリースした2.5次元アイドルグループ・いれいす。その新作を引っ提げて、8月2日・3日の宮城公演を皮切りに『いれいす Summer Tour 2025「えびばでぃ - 祭 - FESTIVAL !!」』を敢行。灼熱の夏を5都市10公演で計9万人を動員し、圧倒的な人気を見せつけた。そのツアーファイナルとなったのが9月27日・28日のKアリーナ横浜(2日間で3万人を動員!)。ここでは2DAYS公演の2日目、9月28日のライブの詳報をお伝えしよう。
10月も近いというのにツアー大ラスの9月28日はまだまだ夏のような気候。まさに夏祭り日和となった。会場には多くのいれりす(=いれいすファン)が集結。お祭りの開始を待ち構える。開演時刻になると、場内に祭り太鼓の音が流れ始めた。リスナー達はこれに素早く反応。立ち上がったり、ペンライトを点灯させるなど、臨戦態勢に入る。太鼓の音が次第に大きくなったところで照明が落ちると、会場に「キャ~~~~!」という絶叫が響きわたった。冒頭、映像でお祭りの神様から“9万人との思い出を作ること!”というミッションが課される。達成できなければ神様のイタズラで学生の姿にされたメンバーは元に戻れない……らしいが、9万人と言えば、今回のツアーの動員総数。つまり、ツアーファイナルの9月28日当日、場内のリスナー達と素晴らしい思い出が作れたら、ミッション・コンプリートというわけだ(もはや達成は確実だが……)。
ほどなく、打ち上げ花火の音と共にライブが開幕。ステージ上に設置されたヤグラ風セットの上にはまずりうらが登場。続いて-hotoke-、初兎、ないこ、If、そして悠佑が次々に紹介されていく。各自、紹介シーンではキメポーズもバッチリ。大歓声が響き渡る中、ライブのリード曲であるお祭りナンバー「いれサマ!!!!!!!」で本編がスタート! メンバーは和風の衣装に身を包み、冒頭からハイテンションで観客を鼓舞。コール&レスポンス満載の楽曲でブチ上げていく。2曲目の「夏☆らびゅ☆大作戦」ではメンバー一丸となってヘドバンを披露するなど、序盤とは思えぬフルテンションのパフォーマンスを展開。続く「のんすとっぷ!L♡VEサマー」でメンバーはメインステージからアリーナの真ん中に設置されたサブステージに移動。途中、ステージがスルスルと上昇するなど、仕掛け満載で楽しませてくれた。メンバーもタオルを振り回しながらフェス感を演出。すでにライブ後半のような空気感だ。
このあと、最初のMCでメンバーが口々に「最高の夏に!」と意気込みを語り、ないこは「みんながデカい声を出せる曲を用意しました!」と、「ぜったいてきしんじゃ!」へつなげた。メンバーがヲタ芸パフォーマンスで推し愛を表現すると、全観客もこれに反応。広い会場はアツい一体感に包まれた。ノリノリの学園ソング「学級崩壊☆ですとろいやー」では大人組(ないこ、If、悠佑)と子供組(りうら、-hotoke-、初兎)に分かれ、メンバー同士のわちゃっとした絡みでも観客を沸かせてくれた。その後、-hotoke-の作詞による「愛してるじゃ足りないもん!」では、グループのキュートな側面がフィーチャーされ、さらにゆったりしたテンポの「背伸び」では、甘い歌声でいれりすをうっとりさせた。このブロックのシメは「ただいま」。初兎が作詞を担当した楽曲で、彼は「皆さんの居場所になればいいなと思って作りました」と紹介。優しくも温かい歌声で場内を包み込んだ。
さて、ここで彼らのライブには欠かせない映像タイムとなる。毎度、趣向を凝らした内容で、毎回これを楽しみにしている人も多いのではないだろうか。今回は『【トークで】学校から脱出せよ イレギュラーミステリー』と題して、“他のメンバーに普段は言いづらい好きなところ”を上げていくというお題が課せられる。ここで絶大なインパクトを与えたのは悠佑と飲みに行ったIfの告白。飲み屋で悠佑が語りつくしたアツい思いに感動したIfだったが、その悠佑が何と酩酊して飲み屋前の路上でダウン。Ifはその悠佑にずっと寄り添っていたという。そんな感動エピソードもあれば、ないこは会議中に突然歌いだす-hotoke-のクセ(?)を暴露したりと、“好きなところ”とは少々違う内容のネタも飛び出す。惜しげもなくリアルな日常をさらけ出すトークに場内は湧きまくった。
映像のあとは、メンバーのソロコーナーへと進む。一番手は初兎。メロディアスでソフトなサウンドにRAPを組み込んだ「レンズ」で、初兎らしい二面性を見事に表現。表情豊かな歌声で魅了した。
二番手はりうら。ペンライトが彼のメンバーカラーである赤色に染まる中、ロックチューン「SELFISH SCREAM!!」で彼はワイルドな魅力を全開放。「もっと声出せ!」と煽り、ラストはデスボシャウトでキメてみせた。
りうらのアツいステージのあと、-hotoke-が登場。彼はキュートな声で「いくよ♡」と呼びかけ、アザと可愛さダダ漏れの「いむいむ★エンジェルビーム」を披露。会場の合いの手も見事にハマり、キュンとした空気を充満させた。
ここでソロコーナーは子供組(りうら・-hotoke-・初兎)のパフォーマンスに受け継がれる。クールなHIPHOPチューン「Deeper codƎ」で、それぞれの個性をぶつけ合う。ソリッドさを打ち出したりうらや初兎と相反する甘さで勝負をかける-hotoke-。異なる魅力ながら見事に調和するのはさすがだ。
続いては、ないこのソロコーナー。ペンライトが一斉に彼のメンバーカラー、ピンクに染まる。キュンとするポップチューン「今日も明日も明後日もキュン死」を熱唱してくれたないこ。曲中にMCを入れ込み、「僕たち、いれいすの夢は東京ドームです」と、グループの夢を語り出す。関係者やスタッフ、もちろんいれりすも含めた全ての人に感謝を伝えながら「みんなの力、全部合わせて、俺たちで東京ドームに行きましょう!」と、堂々の決意表明。最後、「愛してるぜ~!」と締めくくった。
ソロコーナーもそろそろ大詰め! 5番目に登場したIfは自身が作詞した「未完成モラトリアム」の中で“未完成のままでいい 不安さえも連れて行け”と、前向きなメッセージを発信。アッパーなロックサウンドに乗せて伸びやかな歌声を響かせた。
ソロコーナーラストは悠佑。パンチの利いたボーカルが魅力の彼は「NAKEDANSWER」をパワフルに歌唱。その圧倒的なステージングによって、Kアリーナがまるでライブハウスのように感じられた。
このあと、ないことIfが悠佑に合流。大人組として「Hello Again」を披露。観客も一緒に歌える優しい楽曲で、会場には幸せな空間が広がった。
ここで、再び映像タイムとなる。前半の映像に続き、メンバーに突きつけられたミッションは『「恋の約束」のラスサビに合わせてファンサ』や『ツンデレ全開でリスナーへ感謝を叫ぶ』など、彼らからすれば比較的ハードルの低そうな(?)内容。各自、カメラ目線で次々と渾身の言葉をひねり出していく。そんな中、なぜか悠佑が照れまくり、最後の最後に「……いつもマジでありがとう!」と感謝の言葉を投げかけ、場内から狂喜の声援を浴びた。
映像のあとは、いよいよ本編の後半戦となる。前半とは趣向を変え、「C.O.G」「Place to be」そして「零番街」など、ダークな世界観を纏った楽曲を連発。「CiRCUS」では、ダンスとジャジーなサウンドで大人っぽさを表現していく。
本編後半では、いれいすだけでなく、いれりすにとっても思い入れが深いであろうナンバーを次々に投下。バンドメンバー紹介のあと、グループのリスタート時に発表した「Promise」、4周年記念ソングとして支持の高い「愛をありがとう」などが飛び出し、メンバーはずっと支えてくれているいれりすへの感謝の思いを届けた。本編最後のMCでは記念撮影が行われる。指でKを作るKポーズでしっかりと思い出を刻み、残る2曲――Ifと悠佑による、いれいす初のWセンター曲「人生謳歌」、そしてラスト曲にしてハイテンションの夏ソング「Stay High!!」でフィニッシュとなった。
ただ、盛り上がり切ったところでは簡単に終われない。アンコールの大声援に応え、メンバーは再びステージへ。Ifが「まだまだ終わらないぜ! お前らの近くに行くから!」と宣言。なんと、アンコール1曲目の「星降るフェアリーテイル」でメンバーが3人ずつに分かれ、ステージを降りて客席通路に突入。これにはいれりすも大興奮。トロッコ車より全然近い距離感で短い時間ながら、リアルな交流を楽しんだ。ステージに戻り、最後のMCでは口々に感謝の言葉を届けてくれたメンバー達。そんな彼らが選んだアンコールのラストナンバーは2023年に発表した夏ソング「悠久休暇」。同じ夏は二度と来ない……そんなちょっぴり切なさもある曲で『いれいす Summer Tour 2025「えびばでぃ - 祭 - FESTIVAL !!」』は締めくくられた。
6人が楽屋に戻ると、これまでの公演を振り返った思い出の映像が流れ、“ああ~、本当に終わってしまうんだな”……と誰もが思った瞬間、お祭りの神様が登場。「これで終わっていいのか?」と問いかけ(実はこの神様の声、「いれサマ!!!!!!!」を作詞作曲した張本人、ヒャダイン=前山田健一だったというタネ明かしも!)、ダブルアンコールへと続いた。これには場内、再び大熱狂。曲はもちろん「いれサマ!!!!!!!」のおかわりで、最後の最後までお祭り気分を完遂。いれいすといれりすの夏も打ち止めとなった。曲が終わってもメンバーは客席に手を振り続け、客席からも「ありがとう!」と声が飛ぶ。
こうしてツアーファイナル公演は無事に終了した……のだが、これで終わりではなかったのである。「いれいすからの超重大発表」として、彼らは5周年を迎える10月9日、無料オンラインライブ『いれいす 5th Anniversary Online LIVE』の開催を映像で発表。あまりにもファンサが過ぎる発表に終演後も大きな歓声が起こった。いれりす達にとってはもちろん狂喜乱舞だが、なかなか彼らのライブに触れられなかったいれりす予備軍にも、これは貴重な機会になるに違いない。東京ドームへ向けたいれいすの進撃はまだまだ続きそうだ。
文=海江敦士