街場のシェフが麻布台ヒルズで目指す、ライブ感満点のレストラン【Orby Restaurant(オルビー レストラン)】
2023年11月、麻布台ヒルズにザ・コンランショップが手がける日本初のレストラン【Orby Restaurant(オルビー レストラン)】がオープン。【uguisu(ウグイス)】【organ(オルガン)】のオーナーである紺野真(コンノマコト)さんがヘッドシェフに就任した。それまで街場で人気店を作り上げてきた紺野さんだが、都心の大型複合施設の中で一体どんなレストランを編み出していくのだろう。実際に店舗を訪ね、ご本人にお話を伺った。
“街場のレストランで当たり前の食体験”を再現
麻布台ヒルズ タワープラザ3階のザ・コンランショップ 東京店に併設される形で誕生した【Orby Restaurant】。店名は創業者のテレンス・コンラン氏のミドルネームに由来。かつてのロンドン本店にレストランを設けるなど、食に対しても情熱を捧げていたサー・テレンス・コンランの想いを東京店に繋いだということだ。
ヘッドシェフとして白羽の矢が立ったのは、東京・三軒茶屋【uguisu】と西荻窪【organ】を営む紺野真さん。カジュアルなフレンチをベースに、ザ・コンランショップの本店がある英国のエレメントを加えた料理を提供するというのだが、仕込みはけして“カジュアル”ではない。例えば、フォン・ド・ヴォーやフォン・ブランなど、フランス料理の基本となる出汁は、一から作る。食材の仕入れについても、同様。ほぼ毎日、シェフが自ら豊洲に足を運ぶ。思わぬ食材との出会いがあれば、メニューに積極的に反映するそうだ。
「僕が今までやってきた、街場のレストランのやり方を持ち込みたい」と、紺野さん。街場のレストランのやり方とは、つまり、マニュアル化されていないサービスのことである。46席の【Orby Restaurant】でそれを実践するのは並大抵ではないはずだが、「“人対人で料理とサービスを行う”街場の店のあり方に魅力を感じているからこそ、此処でも同じようにやってみたい。実現に向けて挑戦したい」と語る。いつかは、コースの利用が2回目以降のゲストには前回のお料理とかぶらないものを出すといったことにも対応したいそうだ。
今の感覚を大切にしながらフランスの古典料理を伝える
この日のディナーコースのメニューには、「Chaud-Froid(ショーフロア)」という料理名がプリントされていた。ショーフロアとは、加熱した肉や魚をいったん冷ましてソースで表面を固めた冷たい料理のことだ。主に鶏の胸肉が使われるが、紺野さんは旬のホワイトアスパラガスを用い、それをイカ墨のソースでコーティングする。古典料理を愛し、今に伝えたいという紺野さんの熱い思いとクリエイティビティが発揮された一品だ。
【Orby Restaurant】のシグネチャーメニュー『ヴェニソン・ウェリントン』にも、“古典料理を再構築して伝える”という姿勢が端的に表れている。
英国の伝統料理“ビーフ・ウェリントン”をフレンチの技で洗練させた一品で、エゾ鹿のモモ肉をキノコのデュクセル、生ハム、パセリ風味のクレープで巻き、彩り豊かなパイ包みに仕立てている。
また、フランスの古典菓子のひとつ『クレープ・シュゼット』も、バターの使用量を控えめにすることで軽やかな仕上がりを実現。くちどけのいいトンカ豆のアイスがすっきりとした後味を助長する。
ナチュールワインを幅広くセレクト
さて、紺野さんといえば、ナチュールワインの火付け役的存在としても有名だが、【Orby Restaurant】では【uguisu】や【organ】とはひと味違ったセレクトが楽しめる。フランス産に加え、オーストラリア産や日本産などニューワールドのワインも充実させているのだ。
料理と同様に、ワインも顔ぶれがどんどん入れ替わる。バーカウンターもあり、スタンディングで気軽にドリンクと軽食を楽しむことも可能。開店して数ヶ月だが、リピーターが多いのも納得だ。紺野ワールドのファンの方はもちろん、はじめて体験する方も好奇心を刺激されて、再訪を望むに違いない。
Orby Restaurant
【電話】03-6834-4700
【住所】東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズタワープラザ3F ザ・コンランショップ東京店
【エリア】麻布十番
【ジャンル】フレンチ
【ランチ平均予算】5500円
【ディナー平均予算】15000円
【アクセス】神谷町駅