【横浜市金沢区】旧富岡倉庫地区 跡地に研究施設や住宅誘致へ 利用計画を改定
横浜市は10月7日、米軍施設跡地である旧富岡倉庫地区=金沢区鳥浜町・富岡東=の跡地利用基本計画を改定した。「産業・研究機能等」の導入を進めてきたが、10年以上にわたって実現せず、社会情勢や市民の意見を踏まえて改定に至った。改定後は用途を「研究施設」、「住宅」、「生活利便施設」に変更し、複合利用での事業者誘致を目指す。
根岸湾に面し、首都高速道路湾岸線、国道357号やシーサイドラインを挟んで南北2つの区域に分かれる同地区。北側に海に面して約0・4haの物揚場、南側に約2・2haの野積場がある。
1945年9月に米軍によって接収され、2009年5月に全域が返還。11年に跡地利用基本計画が策定され、野積場へ物流施設や研究機関といった産業・研究機能等の導入を進めてきたが、具体的な土地利用には至っていない。計画策定から10年以上が経過し、社会・経済情勢の変化なども踏まえ、計画の改定に至った。
地域とつながる要素追加
改定を前に、今年6月30日から7月31日にかけて改定案に対する意見を市民から募集。250人、総数384件の意見が寄せられ、意見の一部が計画に反映された。
改定された計画では、用途を変更して研究施設、住宅、生活利便施設の複合利用を想定。研究施設では脱炭素分野など市の施策に関連した分野の研究を行う施設など、住宅では子育て世代をターゲットとした共同住宅など、生活利便施設では近隣住民を含めて日常生活で利用しやすい店舗や診療所などの施設をイメージしている。
また、野積場の跡地利用には「駅に近い立地特性を活かし、働く場、住む場として、地域とつながるイノベーションと暮らしの拠点を創出する」というコンセプトを設定。地域に開かれた研究施設などを求める意見を踏まえ、新たに「地域とつながる」という要素が加えられた。
今後は隣接する旧国家公務員宿舎と一体となったまちづくりを進められるよう国との協議も進め、28年度以降に国による事業者公募を想定する。市都市整備局担当者は「皆さんに喜んで使っていただけるような施設の誘致を進めたい」と話した。