『国宝』で激ヤセの吉沢亮が1ヶ月集中筋トレ「バンパイアの役作り」を韓国映画祭で語る!名優イ・ビョンホンも登場
吉沢亮が韓国<BIFAN>に登場!
7月3日から13日まで韓国・富川(プチョン)市で、第29回富川ファンタスティック映画祭(略称 BIFAN)が開催された。アジア最大のジャンル映画の祭典に、多くのスターや映画人が参加。日本からは、『ババンババンバンバンパイア』(7月4日より全国公開中)で450歳のバンパイア・森蘭丸を演じた吉沢亮が、浜崎慎二監督と共に登壇した。
吉沢亮は以前、韓国に旅行で訪れたことはあるものの、公式に登場するのはこれが初めてということもあり、平日昼にも関わらず大勢のファンが詰めかけた。
バンパイアの役作りについて聞かれた吉沢は、「『ババンババンバンバンパイア』の撮影に入るちょっと前に、『国宝』で女形を演じていたので、すごく痩せている状態だったんです。そこから1ヶ月で原作のムキっとした蘭丸に近づくために、筋トレやご飯を食べたりしながら、すごく準備をしました」と苦労を語った。
バンパイア役、だけど…「日傘は使いません(笑)」
蘭丸のキャラクターについては、「450歳で、色んな人間界を見てきたバンパイアは心が枯れているというか。ある種、人間を同じ生物と思っていないという部分を強調しながらも、李仁に対してはものすごく人間くさくなってしまうという、そのギャップに面白さが出ればいいなと意識しながら演じていました」と答えた。
韓国も猛暑なため、日差しに弱いバンパイアを心配した観客から「日傘は使いますか?」という質問が出ると、「日傘は使いません!」ときっぱり言い切って笑いを誘った吉沢。そして、観客から最後の質問を募る際に司会者から「吉沢さんが指名してください」と言われ、必死にアピールする観客の女性を指したところ、「浜崎監督へ質問です」と返されてしまい、思わず苦笑する一幕も。その後、浜崎監督が恐縮しつつ答えていたのが面白かった。
とはいえ、同じく日本で大ヒット中の主演作『国宝』も韓国での劇場公開が決定しており、吉沢のファンはさらに増えそうだ。
『ババンババンバンバンパイア』は全国公開中
イ・ビョンホン「なんだか僕は引退するみたいですね(笑)」
BIFANでは毎年、一人の韓国スターにスポットライトを当てて特別展を行なっているが、今年のスターは、イ・ビョンホン。まさに韓国映画界の顔であり、“THE MASTER”と冠されるのも納得の演技力の高さと幅広さ、そしてカリスマ性で長年韓国映画界を牽引してきた。
初日のレッドカーペットではランニング・ポーズをして愛嬌を振りまき、開幕式にも登壇したビョンホン。2日目は、記者会見とメガトークに加えて現代百貨店での特別展テープカットに登場し、3日目にも舞台挨拶をするなど大活躍だった。
今回、数多くの出演映画の中から、『JSA』(2000年)、『バンジージャンプする』(2001年)、『甘い人生』(2005年) 、『夏物語』(2006年)、『悪魔を見た』(2010年)、『王になった男』(2012年)、『インサイダーズ/内部者たち』(2015年)、『天命の城』(2017年)、『KCIA 南山の部長たち』(2019年)、『コンクリート・ユートピア』(2023年)の10本を本人がセレクト。「個人的に好きな映画、自分の映画人生において意味のある作品を選びました」と理由を明かした。
また、パク・チャヌク監督やキム・ジウン監督らのコメントで振り返る特別映像も紹介され、「こんなにしていただいて、なんだか僕は引退するみたいですね(笑)」と笑っていた。
アニメ声優にも挑戦!でも…「パパは悪役しかやらないの?」
イ・ビョンホンはNetflixの『イカゲーム』シリーズをはじめ、出演作の多くが大人向け(韓国では視聴年齢制限が厳しく設定されている)。
10歳の長男が観られる映画は限られるため、息子が見られる作品に出たいと思い、同じくNetflixのアニメ『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ」(2025年)に鬼魔役で声の出演をしたが、息子は「パパは悪役しかやらないの?」と言われてしまったそう。今回の特別展のタイトルにもなった『MASTER/マスター』(2016年)を特集に選んでいないのは、もしや極悪人役だったからだろうか?
また、“人生で最もファンタスティックな瞬間”を聞かれると、ブルース・ウィリスと共演した『REDリターンズ』(2013年)のLAプレミアを挙げた。「亡き父親の写真を映画で使ったのですが、プレミアでエンドロールに父親の名前が入っているのを見た瞬間、涙が出ました。父は小さな会社を営んでいましたがハリウッド映画が大好きで、本当は映画の仕事をしたかったはず。監督たちの粋な計らいに感激しました」と、感慨深い表情を見せた。
ほかにもチョ・インソンが、リュ・スンワン監督とカン・ヘジョンPD夫妻の制作会社<R&K>の特集で登壇。インソンは『モガディシュ 脱出までの14日間』(2021年)などでスンワン監督作に3本も出ており、「あと2本出たら社員に昇格」と監督に言われ、喜んでいた。
多くのイベントが行われた<BIFAN>では、メイン会場である市庁舎の庭でライブ演奏やクラフトビールフェスも開かれていて、市民参加型の映画祭として大きな盛り上がりを見せていた。
一方、前政権による文化予算削減の影響もあり、上映本数が昨年より15%ほど少なかったが(それでも221本)、AIに力を入れており、<BIFAN+>としてAIによる映像の未来を考えるセミナーやワークショップ、上映も行われた。未来型映画祭として、また釜山映画祭との差別化に、大きく舵を切った印象だ。
取材・文・写真:石津文子