郷土料理研究家 小野沢旬子さんに学ぶ 伝えてゆきたい八千代市のなつかしい味
物のない時代、大地の恵みと人々の豊かな知恵から生まれた、八千代に伝わる郷土の味。
郷土料理『八千代のなつかしい味』より次世代へ伝えていきたい味をお届けします。
教えてくれたのは…
「八千代のなつかしい味」発起人 郷土料理研究家 小野沢旬子(じゅんこ)さん 「八千代の伝統料理を本にしたい」と2000年に、友人5名と共に八千代食文化探訪倶楽部を結成。毎日のように情報収集と原稿書きに明け暮れ、約半年という短い期間で『八千代のなつかしい味』を出版。現在は、定期的に料理教室を開催、伝統料理の継承活動も行っています。
具がかくれんぼ!? 勝田のお平
必要な食材 ※1人分(1椀)
・ごぼう・・・・・2切れ ・人参・・・・・・・2切れ ・里芋・・・・・・・小2個 ・切り昆布・・・・少々 ・油あげ・・・・・・半分 ・しょうゆ ・塩 ・だし
作り方
1.切り昆布は水に漬け、食べやすい長さに切っておく
2.ごぼうと人参は、厚さ5mm に斜め切り、里芋は皮をむいてころころに、油揚げは半分に切る
3.すべての材料を水(だし汁)で煮て、柔らかくなったらしょうゆと塩で味付け
4.盛り付けが大事! 野菜は2つずつ並べ昆布はわきに、お椀の中身を隠すように油あげをのせる
勝田のお平(ひら)と村上のお平の違いって?
本に掲載しているのは「村上のお平」。こちらは、豚肉が入り、見た目は豚汁に似たもの。ちなみにお平とは、平椀(※)に盛ることから名付けられたとされています。 ※底が浅く平たい椀のこと
シンプルなのに絶品!高津のとり飯
※1 農家のお嫁さんが月に1度集まったお楽しみ会 ※2 八月朔日(はちがつさくじつ)の略で、旧暦8月1日ごろお礼に伺う風習があったとか
作りやすい分量
・お米・・・・・・・・・2合 ・鶏もも肉・・・120g ・しょうゆ・・・・40cc
作り方
1.お米は普通に炊いておく
2.鶏肉はできるだけ小さく、小指の先ほどに切る※鶏肉は冷凍して半解凍にしてから切ると切りやすい◎
3.鍋に鶏肉としょうゆを入れ、混ぜながらほぼ汁がなくなるまで煮る※煮始めたら火から離れない。煮詰めるとギリギリのところで焦げやすい×
4.煮た鶏肉と少し残ったタレを炊きあがったご飯と混ぜる
なぜ鶏肉は小さく切るの?
鶏肉が貴重だった頃、みんなに平等に肉がいきわたるよう小さく切られたという説や、卵を産まなくなった鶏の肉は硬いことから、小さく切ったなど諸説あるそうです。
たっぷりの干葉をのせるのがミソ!八千代のお雑煮(干葉入り雑煮)
材料
・小松菜 ・醤油 ・四角のお餅 ・塩 ・干葉 ・だし汁 (・鰹節)
干葉(ヒバ)作り
1.大根の葉を陰干しにする※日が当たると、葉が黄色くなり、味が落ちることも。天候にもよりますが、20日ほどかかる
2.からからになったら、火であぶり、手でもんで、細かくする※青のりのような粉状になるように
3.お雑煮の椀と別に器に入れ、家庭によっては、おかかを混ぜてお雑煮に添える
お雑煮作り
1.小松菜は茹でて水にさらして水気を切り、食べやすく切っておく
2.醤油と塩で、つゆを作る※だしの素をいれると美味しい
3.お椀に焼いたお餅と小松菜をいれて2を入れる
4.食べるときに干葉をたっぷりとかけていただく
干葉ってなに?
干葉とは大根の葉を干したもので、11月下旬から12月に作り始めます。今でも干葉を好む人が案外多く、年の暮れになると、軒先に大根の葉を吊るしているお家を見かけしますよ。
子どもも大人も大好き!ばらっぱまんじゅう
作りやすい分量(約6個分)
・薄力粉・・・・・・・150g ・砂糖・・・・・・・・・25g ・重曹・・・・・・小さじ1 ・粒あん・・・・・・180g ・ばらっぱ ・・・・・6枚 ※みょうがの葉やしその葉でもok
作り方
1.粒あんは6つに分けておく
2.皮作り:重曹をあらかじめ水で良くといておく。粉類(薄力粉・砂糖)を混ぜた中に重曹水を入れ、よく混ぜる※力をいれすぎると固くなるので注意!
3.2を丸め、30~40分寝かす※ぬれた布巾をかけておく
4.寝かしておいたものを6つに分け、丸く広げて1のあんを包む。下にばらっぱをひく
5.湯気の立つ蒸し器に入れて12分程強めの中火で蒸す
ばらっぱってなに?
ばらっぱとは、山帰来(さんきらい)やサルトリイバラと呼ばれる葉っぱのことです。つやつやとしていて、腐敗を防ぐ効果があるとされています。山にこの葉を採りに行くのは、子どもたちの役目だったそうですよ。
『八千代のなつかしい味』は、市内の八千代台図書館と勝田台図書館に置いてあります。
関心のある人はぜひご覧ください。(取材・執筆/しゃん)