こたつやストーブの火災事故は死傷者の8~9割が高齢者 チェックしておきたい4つの原因と対策
寒さが本格化し、いよいよ冬も本番を迎えています。
エアコンや床暖房なども増えてはいますが、高齢者は使い慣れたこたつやストーブを使用することが多いのではないでしょうか。
しかし、こたつやストーブには火災の危険もあります。今回はこうした火災事故を防止する対策について解説いたします。
火災事故では高齢者が犠牲になりやすい
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によれば、2017年度から2021年度の5年間に「こたつ」「電気ストーブ」の事故は347件発生しており、そのうち26件が死亡事故だとされています。
電気暖房器具は、火を使うわけではないため、一見安全に見えますが、可燃物がヒーター部に接触したことによる火災や、電源を切らずにその場を離れたり、電源コードの異常を放置したりしたことによる火災が発生することがあります。
NITEが公表したこたつやストーブによる火災事故の件数は以下の通りです。
年度ごとの事故発生件数
2017年度:75件(発火63件)
2018年度:71件(発火55件)
2019年度:65件(発火49件)
2020年度:72件(発火56件)
2021年度:64件(発火61件)
月別の事故発生件数
4月:34件
5月:14件
6月:4件
7月:2件
8月:0件
9月:1件
10月:11件
11月:39件
12月:73件
1月:75件
2月:54件
3月:40件
※2017年度から2021年度に発生した事故347件が対象
事故件数全体では、横ばい又は微減の傾向となっていますが、発火による事故件数では、2019年度以降に増加しています。
また、月別の事故発生件数を見ると、10月頃から事故が増えはじめ、12~1月にかけて急増することがわかります。
火災事故が発生すると、身体能力の衰えた高齢者は逃げ遅れるなどして、死亡リスクが高まります。
総務省消防庁によると、死傷者のうち電気ストーブ火災では8割以上、電気こたつ火災では9割以上が65歳以上の高齢者だとしています。特に一人暮らしの高齢者の場合、気づかないまま逃げ遅れる可能性もあるので注意が必要です。
火災事故の事例
こたつやストーブが火災事故につながりやすい事例を簡単に紹介しましょう。
①可燃物の接触による火災 こたつの中に衣類を入れておいたところ、衣類がヒーターユニットに接触し、衣類が焦げてしまった。 ②電源コードの損傷による火災 電源プラグ側のコードプロテクター部に引っ張りや屈曲などの負荷が加わったことで、電気ストーブを使用中に、電源コードから火花が発生した。 ③手入れ不足による火災 電源プラグを延長コードのマルチタップに長期間接続したまま放置していたため、接続部にほこりなどが蓄積し、使用中の電気ストーブ付近から出火した。 ④リコール製品の事故 電気ストーブのスイッチ部に使用されていた電子部品が不良品であったため、電気ストーブ使用中、電気ストーブを焼損する火災が発生した。
火災事故にはさまざまなケースがありますが、可燃物がヒーター部に接触したことによる「ゼロ距離火災」や、電源を切らずにその場を離れたり、電源コードの異常を放置したりしたことによる「ほったらかし火災」が多く発生しています。
事故を予防するためにできること
前述したような事故に対する予防策は以下の通りです。
①可燃物の接触による火災
可燃物との接触に注意する
こたつの中で衣類などを乾かさない
就寝する前には電源を切る
その場を離れる時や外出時などには電源を切る
②電源コードの損傷による火災
電源コードを丁寧に扱う(引っ張らない、折り曲げない、踏まない)
電源コードの点検を行う
③手入れ不足による火災
定期的にホコリなど清掃を行う
定期的に点検をする
④リコール製品の事故
事業者、消費者庁、経済産業省などのホームページで、リコール情報を確認する
こたつや電気ストーブによる火災事故は高齢者ほど被害が大きくなる傾向があります。しっかりと対策を行うよう、家庭での注意を怠らないようにすることが大切です。特に一人暮らし高齢者の場合は、ストーブやこたつを出す際に家族が手伝うなどして、使用上の注意点を説明したり、ケーブルの確認などをすると良いかもしれません。