昭和から受け継がれる昔ながらの味わい。創業49年のケーキ屋さん『ボンジュール』たつの市 たつの市
昔はどこにでも良くあった、懐かしい町のケーキ屋さん。お洒落で華やかではないのだけれど、やっぱりこの優しい味わいが魅力的だと思えるお店。たつの市揖保川町の『ボンジュール』は、“今も変わらない”昔ながらの味わいを大切にしている素敵なケーキ屋さんです。
場所はJR竜野駅から徒歩3分の場所。まるで昔の喫茶店を彷彿とさせるようなワインレッド屋根のレトロな外観は、昭和の雰囲気満点。
同店はもともと姫路市網干地区でオープンしていた有名店で、創業から49年にもなる歴史ある洋菓子店です。
同店を営むのは2代目店主の山本さん。神戸の有名店である“ボックサン”での修行後、さまざまな経験を経て独立。地元たつの市に店を移転させる際、今のお店を引き継ぎました。
お店で出しているケーキのほとんどは、父の代から変わることのない昭和の洋菓店のレシピをそのまま作り続けているといいます。
ショーケースには常時10種類ほどの生菓子と半生菓子が並びます。流行りのお洒落なケーキではなく、今は少なくなった昭和の洋菓子店に並ぶ親しみやすいものばかり。
他にもサブレやパイ、マドレーヌ、ドーナッツなどの焼き菓子も豊富です。
特に人気の「マリーナ」は、『ボンジュール』の看板商品。手のひらにころんと収まる可愛らしいフォルムはちょうど良いサイズで、お客様の半数以上はこの「マリーナ」を求めてお店に通われるのだとか。
「マリーナ」は少し甘じょっぱいフィリングと、歯切れのよいふわっとした生地が特徴。通常、ブッセというと、表面に粉糖をまぶしたビスキュイ生地のイメージですが、同店では、卵黄を少し多めに配合し、はちみつをアクセントに加えた優しい味わいの生地が特徴。
中に挟まれたバタークリームは、バターと粉チーズを練り合わせたとてもシンプルなもの。あえて空気を含ませず、ふわっとした歯切れのよい生地とのクリームとの味わいのバランスを楽しめるように計算されています。
作りたてではなく、あえて2~3日休ませることで生地が落ち着き、美味しく仕上がるのだそう。
「マドレーヌ」は、ふわっとして、ほろほろとほどけていく、甘くどこか懐かしい味わい。その味わいを作りだす秘訣は、バターではなく、あえて”マーガリン”を使用すること。
バターのきいたしっとり濃厚な“今時”の「マドレーヌ」ではなく、素朴な、親しみやすいその味わいは、実は男性からの支持が熱い隠れた人気商品。
「スイスロール」はあっさりしたバタークリームをたっぷり巻いたロールケーキ。外側はクレープ生地、カステラ状のスポンジ生地と甘酸っぱいアンズジャムとの組み合わせは、紅茶とも相性が良さそう。
また、同じくふんわりと焼いた自慢のスポンジ生地で“生クリーム”を優しく巻きあげた「JR竜野駅前ロール」も、お土産にと購入されるお客様も多いのだそう。
伝統を守りつつも、「このカスタードだけは僕自慢のオリジナルなんです」とこっそり教えて下さったのは「シュークリーム」。甘さ控えめのあっさりした味わいは、神戸の有名店で習得したもの。
シューの軽い口当たりは、ほんのちょっとだけ甘い物が欲しいな…なんていう小さな欲望をこっそりと満たしてくれます。
「職人だった父が本当に大好きだったんです!だからこそ、この『ボンジュール』の大切な味を僕が受け継いでいこうと思いました」と話す山本さん。
飾らない菓子の数々。時代の流れと共に少しづつ失われてしまった昔ながらのケーキ屋さん。
ひとつひとつ丁寧に手作りされたその味わいは、時が変わろうとも、おやつの時間を温かい笑顔で彩ってくれる嬉しい贈り物に違いありません。
場所
ボンジュール
(たつの市揖保川町黍田28-1)
営業時間
9:00~19:00
定休日
水曜日
駐車場
店舗前に10台