名門グリーンツダ復活の象徴へ、長身サウスポー・下町俊貴が20連勝で世界へ前進
韓国王者にフルマーク判定勝ち
プロボクシングの前日本スーパーバンタム級王者・下町俊貴(28=グリーンツダ)が14日、名古屋・IGアリーナで韓国同級王者リー・ハンソル(32=韓国)に8回判定勝ちした。
身長179センチのサウスポー・下町はリーチを活かして速いジャブと左ストレートを再三ヒット。韓国王者のビッグパンチをかわしながらポイントを稼いだが、タフな相手を倒すことはできなかった。
判定はジャッジ3者ともフルマーク(80-72)の3-0。危なげない勝利で2引き分けを挟んで20連勝となり、戦績を22勝(12KO)1敗3分に伸ばした。
現在、世界ランクはWBA12位、WBC12位、IBF6位、WBO3位。減量苦のためフェザー級転向も視野に入れているというが、世界挑戦に備えて2月に日本タイトルを返上しており、待ちに待ったチャンスも近そうだ。
日本王座4度防衛後に返上、ディパエンにも判定勝ち
下町は大阪府寝屋川市出身。2015年12月にプロデビューし、3戦目で初黒星を喫したもののその後は連勝街道をひた走る。
2017年12月に全日本スーパーバンタム級新人王に輝くと、2019年8月に日本スーパーバンタム級ユース王座、2023年6月に日本スーパーバンタム級王座を獲得。4度防衛後に王座返上し、今年4月には井上尚弥とも戦ったアラン・ディパエン(タイ)に判定勝ちした。
長身のサウスポーで、基本に忠実な、どんな相手と戦っても負けにくいタイプ。堅実な試合運びで一歩ずつ世界への階段を上っている。
赤井英和、井岡弘樹、山口圭司ら輩出した名門ジム
グリーンツダと言えば、かつて関西のリングを席巻していた老舗ジムだ。津田博明会長が1980年に大阪市西成区に開設し、現在はタレント・俳優として活躍する「浪速のロッキー」赤井英和が一世を風靡。世界王者にこそなれなかったが、その人気は同時期に世界王座に君臨していた渡辺二郎(大阪帝拳)をしのぐほどだった。
その赤井に憧れて入門した井岡弘樹がエディ・タウンゼントトレーナーの指導を受け、ジム初の世界王座を獲得。ミニマム級とライトフライ級の2階級を制覇した。
さらにWBAライトフライ級王者・山口圭司、エディタウンゼントジムからグリーンツダを経て真正ジムへ移籍した高山勝成、WBAスーパーウェルター級暫定王座に就いた石田順裕らが活躍。その後は世界レベルの選手が出ていなかったが、現在は大阪市旭区に移転し、活気を取り戻しつつある。
下町にはグリーンツダ復活の象徴としての期待もかかるのだ。“勝負の時”は刻一刻と近付いている。
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記事:SPAIA編集部