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テルマエ、あんぱんから、山下達郎までを総覧 ― ヤマザキマリの世界展(読者レポート)

アイエム[インターネットミュージアム]

テルマエ、あんぱんから、山下達郎までを総覧 ― ヤマザキマリの世界展

ヤマザキマリさん、といえば、何を思い出しますか?私は映画化もされた漫画「テルマエ・ロマエ」です。

最近では「ミラノ・コルティナ2026オリンピック」の開幕式の解説。多才な方という印象を持つ方も多いのではないでしょうか。

そんなヤマザキマリさんの才能の一端に触れることができるのが、美術館「えき」KYOTOで開催されているのは、「ヤマザキマリの世界」です。内覧会に行ってきましたので、 展示、そしてヤマザキマリさんが語る作品やその背景をレポートします。


ヤマザキマリさん


会場に入ってまず目に入るのは、テルマエ・ロマエを始めとした漫画の原稿。圧倒されます。 数多くの工程を必要とする原稿は、1ページ描き終わる毎に解放感を感じるほどの細かい作業が必要だそうです。

まずは文章だけのプロットを作成する、というヤマザキマリさん。「言葉でなければ表現しきれない世界がある」というお話しに繋がっていると感じました。

どのように原稿ができあがっていくのかを見せる展示は必見です。 漫画家は体力的にも大変で、肩も腰も首もボロボロになる、とのこと。その苦労の先に私たち感動があるのですね。


(テルマエ・ロマエ)


(マンガができるまで~レイヤー展示~『リ・アウティジャーニ ルネサンス画家職人伝』)


子供の頃から絵を描くのが好きだったというヤマザキマリさん。お母さまが全て保管されている幼いころの絵日記や絵本も展示されています。

絵も文章も子供のものとは思えない完成度です。続きも読みたい!

10代の頃の作品の妖艶な雰囲気にはうっとりします。


(9歳の絵日記「香港の思い出」1976年)


(19歳のインク画、ジャン・コクトーによせて 1987年)


アカデミックな画法をしっかり学んでおけば、どんな絵柄の絵を描くことになってもきっと役に立つから、と師匠に言われ、また、 食べるためにどんな画風のものでも描く必要があったと語られます。

その経験が活かされていると強く感じたのは、イラストレーションでした。 それぞれの雰囲気の違い。描きたいイメージをそのまま表現されているのですね。 展示されているのはイラストのみですが、共に綴られていた文章が読みたくなります。

※「ヤマザキマリの世界逍遥録」はJALBOOKから文庫化されています!


(JAL グループ機内誌「skyward」連載「ヤマザキマリの世界逍遥録」)


山下達郎さんのCD「SOFTLY」(2022年)のジャケット用に描かれたのは、油絵の肖像画。 ご本人に「そろそろ原点に立ち戻ってみたら?」と勧められて描かれたのだそうです。

とはいえ画学生の頃に専攻されたのは15世紀の北方ルネサンス様式、フランドル派の肖像画だったとのこと。黒い背景に顔が浮き上がる画風は「怖いですけど大丈夫ですか?」と思いつつジャケットになりました。

この展覧会では3人の肖像画が出展されています。どうやら4人目がもうすぐ出来上がるそうです。次回の展覧会ではお目見えするかもしれません。


(山下達郎)


(山下達郎「SOFTY」2022)


最近の作品の展示のご紹介を。

NHK連続テレビ小説「あんぱん」は、脚本家の中園ミホさんの依頼で「小倉連隊」のメンバーを描かれたものです。ドラマを見ていらっしゃった方は、格別に心躍る作品ではないでしょうか。

天正遣欧少年使節は、自分の意志ではなく海外へ渡ってしまったという点で似ている存在と語られます。いつかこの4人を軸とした物語を聞かせていただけると信じています。


(NHK連続テレビ小説「あんぱん」)


(NHK「世界を見た若者たち-天正遣欧少年使節をたどるヨーロッパの旅-」)


私にとっては漫画が入口でしたが、作品を見ているうちに、もっとヤマザキマリさんの世界を知りたくなりました。

油絵、漫画、世界旅行、歴史、美術、色んな興味の窓を開くことができそうです。

[ 取材・撮影・文:カドタミキ / 2026年2月20日 ]


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