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大阪国際女子マラソン28日号砲、“細かすぎる解説”増田明美氏が語る見どころ

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増田明美氏,Ⓒカンテレ

パリ五輪日本代表の最後の1枠争う戦い

第43回大阪国際女子マラソンが1月28日に開催される(同日正午~カンテレ・フジテレビ系全国ネットで生中継)。

パリ五輪マラソン日本代表の最後の1枠を争う“マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ”の1つ。五輪出場権を獲得するには2時間21分41秒の設定記録を突破した上で、3月に開催される名古屋ウィメンズマラソンを含めた日本人最高タイムとなる必要がある。

大会当日、公式YouTubeチャンネルでは『増田明美がしゃべり倒す!限界突破の5時間裏生実況』を生配信。森脇健児や森岡芳彦氏(城西国際大女子駅伝部監督)ら個性豊かな出演者たちが、地上波では味わえないマラソントークを展開する。

裏生実況で今年も解説を務める、“細かすぎる解説”でおなじみの増田明美氏が今大会にかける思いや独自の視点から大会の見どころを語った。

松田瑞生に“追い風”?

「ここ大阪からエッフェル塔に、昇り龍のように昇っていってほしいです!」と期待を寄せた増田氏。「今回は最後の1枠を狙う国内最高峰の選手がそろっていて、人生をかけた一発勝負になります。大会で好記録が出ても、名古屋で抜かされる可能性があるという鬼ごっこのような状況の中で、あえて“鬼に追われる”大阪を走ることを選んだ選手たちの大阪愛を私は応援したいです」と力を込めた。

続けて「今年はドラマのある選手が多いです」と切り出し「まずは、大阪の舞台が大好きな松田瑞生選手(ダイハツ)。4度目の優勝がかかっていることもあり、やる気満々だと思います。そんな松田選手には“なにわのフェニックス”という新しいニックネームをつけました。“腹筋女王”はもうやめてくれと言われたので(笑)」と明かす。

「2020年の大阪国際女子マラソンで優勝したのに東京五輪代表を逃し、その後も怪我に苦しみ、これまでたくさん泣いてきました。辛い局面を何度も何度も乗り越えてきた、まさに不死鳥のような選手です」と説明。

加えて「松田選手のご主人は、今年の箱根駅伝を制した青山学院大学出身です。“今年は駒澤大学だ”といわれていた中での総合優勝だったので、ご主人の喜びもパワーに良い影響を受けていると思います」と“追い風”を強調した。

前田穂南、佐藤早也伽にも注目

また、東京五輪マラソン代表・前田穂南(天満屋)について「彼女は1年延期になって悔しい思いをした東京五輪を経験しているので、絶対パリに行きたいと思っています。オリンピックに関しては、まだ忘れ物をしているような気持ちでいると思うので、ここにかける思いは強いはずです」と力説する。

昨年のMGCで連覇を逃したことにも触れ「武冨監督から話を聞くと、MGCではすごく緊張していて、いつもと違うことをたくさんやってしまったみたいです。大会前日の練習でも、普段なら最後までやる穂南さんが早く切り上げたり、ゆっくりご飯を味わう穂南さんが早く食べたり。そんなMGCからの間隔は短いですが、彼女にぴったりともいえるアメリカ・アルバカーキでの高地トレーニングを重ねてきたので、スイッチが切り替わったような感じがします」と推察した。

増田氏は佐藤早也伽(積水化学)にも注目しており、「ブダペスト世界陸上での調子はあまり良くなかったですが、クイーンズ駅伝が素晴らしかったです。松田選手にも共通して言えることですが、エース区間であれほど最高な走りができると、そのエネルギーを持ちながら今回のマラソンに挑めると思います」と期待をにじませる。

佐藤の監督・野口英盛氏とも話し、「佐藤選手は自己ベストの2時間22分台はもちろん切る前提で練習していると聞いています。野口監督は2時間21分41秒という記録は土俵の下で、それを切った上での勝負だと言っていました」と明かした。

「ポイントは、ペースメーカーが30km地点で離れて外国人選手が前に出た時、そこにつくかつかないかというところです。佐藤選手はそこで自ら前に出るほど、まだマラソンに自信があるわけではないので、外国人選手や松田選手が出た時に迷っちゃいけない、瞬時に反応できるかどうかが勝負だと思います」とポイントを説明。

「ただ、そう頭では思えていても、スピードの切り替わり方次第では、とてもじゃないけどつけないかもしれません。もしかしたら、ペースメーカーをこえて、20kmや25km地点から前に出てくる選手がいるかもしれません。今回の大阪はちょっとわからないですね。レース展開が読めないです」と頭を悩ませた。

ペースメーカーに新谷仁美

現役時代は自身も出場した大阪国際女子マラソン。経験者としてレースの特徴を聞くと「大阪はどんどん高速コースに改善されていっているので、今回のような記録勝負の時は、特に選手の背中を押してくれると思います」と高速化を歓迎。

さらに「今回に関しては、ペースメーカーに新谷仁美選手がつきます。彼女は、少しでもペースが落ちると早めて確実に進めていくので、出場選手の監督も安心して任せられると思います。2020年大会のペースメーカーぶりも素晴らしかったので楽しみです」と話した。

心配な点については「私が選手のために心から祈っているのは、走りやすい気候であってほしいということです。昨年のMGCの開催日(10月15日)は、パリ五輪が暖かくなることを見越して日本基準で合わせて設定したものでした。そこで1番2番になったら、暑さに強いことも証明できるからと言っていたのに、当日は気温14度に冷たい雨、そして低体温症。この時に改めて、マラソンは外でやるスポーツであり、自然との闘いなんだと感じました。天候で名古屋との差も出ると思うので、今回は寒すぎず、風も強く吹かなければいいなと願っています」と明かした。

パリへの最後の切符をかけた熾烈な戦いが期待される大阪国際女子マラソン。日本人最高位に輝き、設定記録の2時間21分41秒を突破するランナーは現れるか。大阪からパリを目指すランナーたちの熱い走りに注目だ。

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記事:SPAIA編集部

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