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構成作家 矢野了平さんに聞く楽しく学ぶコツ

ちいき新聞

【謎解きあり】人気構成作家の矢野了平さん(埼玉出身)に聞く 楽しく学ぶコツ

数々の人気テレビ番組に構成作家やクイズ作家として関わる矢野了平さんに、「頭を使う楽しさ」についてお聞きしました!

矢野了平(やの・りょうへい)

PROFILE■構成作家。1977年 埼玉県生まれ。「水曜日のダウンタウン」「マツコ&有吉かりそめ天国」などバラエティー番組の他、「99人の壁」「潜在能力テスト」「全国高等学校クイズ選手権」「オールスター感謝祭」「ミラクル9」など多くのクイズ番組を手掛ける。 「佐藤健&千鳥ノブよ、この謎を解いてみろ!」「今夜はナゾトレ」など謎解きブームの陰の立役者でもある。

まずは矢野さんからの謎解きの挑戦状です!

上記『ちいき新聞』の題字を参考に下の問いに答えよ

答えは記事の最後に!

目次

▼ クイズから学びを得た少年時代 ▼ 小中高時代は毎日クイズ! ▼ クイズのヒントは日常生活から ▼ 発想力と着眼力は聞く力にも ▼ 子どもが楽しく勉強するコツ ▼ 矢野さんからの挑戦状!(ヒントと答え)

クイズから学びを得た少年時代

子どもの頃は、勉強をしっかり頑張るタイプでは決してなくて。ですが、本やテレビで得た知識と、学校の授業をきちんと聞くことである程度成績はキープできていました。勉強が好きだったかと聞かれたら「はい」とは言えませんが(笑)。ドリルや宿題など、やることをチャッチャッと済ませて遊ぶぞ! という感じの子どもでした。

友達と公園で遊んだり、家に集まってゲームをしたりと、いたって普通の少年です。ただ、とにかくテレビが大好き。特にハマって繰り返し録画を見ていたのは、クイズバラエティー番組。「わくわく動物ランド」「なるほど!ザ・ワールド」「アメリカ横断ウルトラクイズ」…。テレビを通じてたくさんの事を覚えました。テレビのクイズ番組って、ゲーム要素が大きいじゃないですか。走って何かを取りに行くとか、パネルがオセロになっているとか。小学校に入る前なんかは、クイズよりもそのゲーム自体が面白くて見ていましたね。

例えば「世界一周双六ゲーム」という番組はスタジオに世界地図のすごろくがあって、クイズに正解するとサイコロを振って、世界一周を目指す、という内容。これもすごろくが楽しくて夢中で見ていたら、国名と首都がすっかり頭に入っちゃいました。

それと、幼稚園くらいの時に親が図鑑を買ってくれたのも大きかったかもしれません。テレビに動物が出てくると手元の図鑑で詳しく調べて…というのをしていました。載っていなければ、余白に自分で書き足したりして。興味や関心を育てる「肥料」を親が与えてくれたのはありがたかったですね。

 小学生になると、なんとなくクラスで役割みたいなものができてきますよね。自分は人を楽しませるタイプ。クイズの本を学校に持って行って、休み時間に出題すると友達が喜ぶ。そうするとクイズがもっと楽しくなって、「次はあの本を買ってみんなに問題を出そう」と、その繰り返しでした。

小中高時代は毎日クイズ!

学年が上がってもクイズ熱は冷めず、中学に入るとラジオ番組のクイズに出てお小遣い稼ぎをするようになります。ちょうどその頃、テレビなどで「クイズ王」がちょっとしたブームになっていて、「自分もクイズ王になりたい!」と憧れの気持ちが芽生えたんです。

クイズに強い人が格好良く見えた。それで完全にスイッチが入ってしまい、高校に入学してすぐ学校でクイズ研究会を作りました。仲間を集めて、大学のクイズ研究会に顔を出して…と、もう高校時代の記憶の8割はクイズですね(笑)。あんな先生がいたな、くらいは覚えてますが、修学旅行や体育祭の記憶はあまりありません。

クイズ研究会では、週に2回程度集まって、クイズを出し合っていました。出題者は持ち回りなので、クイズを作る側も答える側も両方やる。今みたいにネットに問題が転がっているわけではないので、問題作りも大変でした。市販の本を参考にするだけでなくて、問題集を入手するために、クイズ研究会のある大学の文化祭に出掛けることもありました。それと当時、クイズ大会に行くと同人誌の販売会があったのでそれも利用しました。

そんな生活だったので高校の成績はボロボロ(笑)。県内上位校で周りができる人ばかりというのもあり、小中学校のときのようにはいかなかったんですね。それでも本当に好きなことに夢中になっていたせいか、不思議と不安はありませんでした。

当時やっていたクイズって「ひらめき系」ではなく「知識系」がほとんどだったので、勉強とどう違うのか、という話にはなるのですが。ですが同じ「徳川家康」でも、クイズならエピソードとか雑学とか、そういう面白いことを知ることができる。でも授業やテストに出てくるような、何年に生まれて、何年に何の戦いがあって、みたいなことって正直面白くはない。だからどうしても面白い方を吸収したくなってしまうんですよね。

実は大学の受験費用もクイズ番組の賞金で稼ぎました。大学に入ってもやっていることは高校の延長線上で、クイズ研究会に入って、夜は友人の家に集まって朝までクイズ、休みの日はクイズ大会へ…と、クイズ三昧の日々。在学中は「パネルクイズ アタック25」や「クイズ$ミリオネア」にも出演しました。その流れで、クイズ作家の事務所に就職して今に至ります。

クイズのヒントは日常生活から

クイズの魅力ってひとくちでは説明が難しいのですが、「誰でも楽しめる」というのが一つにあると思います。問題を出されると、つい答えたくなりませんか? シンプルな早押しクイズも、やってみるとなかなかの心理戦でかけひきが味わい深い。 また、問題文一問とっても文章の面白さがありますよね。最近ブームの謎解きの中には、驚くほどの良問もある。答えられると気持ちいいけど、分からないと悔しい。クイズ番組がなくならない理由は、それだけ多くの人を魅了するからだと思います。歌とグルメとクイズは、時代が巡っても廃れない、人間が根本的にひかれる何かがあるんでしょうね。

クイズの問題を作るには、短い問題にどんな風にアイデアを盛り込むかという俳句を詠むのに近いような感覚があります。クイズ王だからと言って、面白い問題が作れるというわけではなくて、クリエイティビティな技術が必要。

僕は日常生活での「違和感」からヒントを得ることが多いです。例えば「ベビーカー」という単語には「ビーカー」という単語が入っているな、とか、小田急線の「東北沢」駅の漢字は3分の2が「毛沢東」だな、とか。変だな、面白いなと感じたものを日ごろから集めておいて、クイズにしたりバラエティー番組のネタにしたりしています。 先日も下北沢の駅前を歩きながら問題を考えていたのですが、ケバブの屋台が目に飛び込んできて。ケバブ屋さんがお肉をそぐ様子を見ていたら、そもそも「肉」の漢字の周りをそいだらどうなる…? というイメージが浮かんで問題ができました。

「肉」の周りをそぎ落とすと「大人」という二字熟語が現れるんです。

この問題は最短距離で作りましたが、では周りを削ぐものをナイフではなく言葉で表現してみるなど、いろいろなパターンを試してさらに問題を研ぎ澄ませていくこともあります。

さきほどのベビーカーも、同じように5文字の言葉で最後の4文字が別の言葉を探したり、同じパターンがあったら並べてみたり、「あ」から順に考えたり。 日常生活で引っかかる何かがあれば、問題にできないかと頭の中で変換をいろいろやってみています。そのアイデアを得るためには、まず普段から好奇心や疑問を持つということがやはり大切なんじゃないかな。

発想力と着眼力は聞く力にも

そうした発想力、着眼力は人との会話でも役立ちます。ただ漫然と話を聞くのではなくて、気付きも多いので、話をより掘り下げて聞くことができる。知りたいと思ったことを表面だけ聞いて、分かった気になってしまうこともあると思うんです。

例えば、番組作りで担当ディレクターが取材したお店から「この店のコロッケは、ひき肉をじっくり炒めることでおいしさを引き出している」とこだわりを聞いて満足しているとします。でも僕からすると「じっくり炒めることが、なぜおいしさにつながるのか」「じっくりって何分か」「コロッケ以外のひき肉料理でも、じっくり炒めるといいのか」など知りたいことがもっといろいろある。疑問に着眼する力があれば、話の深度がどんどん深くなるわけです。

子どもが楽しく勉強するコツ

現在は、小学生向けの教材の制作にも携わっています。楽しく勉強するために、遊びの要素をどれだけ入れられるかを重視しています。「楽しさ」をバランスよく入れられるかどうかで、学びへの意欲ややり終えたときの達成感が変わると思います。ただ100個の漢字を書くのは大変だけど、それがゲーム化されていれば楽しく身に付く。「漢字を覚える」というゴールが一緒なら、どうせなら楽しい道を歩いたほうがいいですよね。

僕には8歳の息子がいますが、クイズの形にすると積極的に答えてくれます。そもそも勉強が好きという子はなかなかいませんから。手段の一つとしてクイズがあるけど、別にクイズにこだわっているわけではなく、クイズみたいに楽しい方法で、興味を持つ工夫はするようにしています。九九を覚えるときも、リズムに乗せたり、「さんご」「にく」「はっぱ」などの言葉遊びを取り入れたり。子供が「にくじゅうはち」と言ったら、「ジュウジュウ」と効果音を付けるなどして、楽しくやってます。

先ほど話したように、クイズ形式で問題を出してみるなど、少しの工夫で子どもの意欲は変わるもの。学校でも家庭でも、この流れが進むといいなと考えています。

矢野さんからの挑戦状!(ヒントと答え)

上記『ちいき新聞』の題字を参考に下の問いに答えよ

【ヒント1】

答えは2文字

【ヒント2】

「わたし」「あなた」真ん中は…?

答え…

「棚」

※「わしとあたの真ん中に」ある家具なので、「た・な」

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