「お願いします!」「ありがとうございます!」大切に始まる高校生の日本酒づくりの「種まき」
「北海の灘」と呼ばれていた北海道旭川市。
日本酒文化を未来につなげ、地域特産品として盛り上げていくことを目指して、地元・旭川農業高校の生徒たちが大人たちと力を合わせて「旭農高日本酒プロジェクト」に取り組んでいます。
「播種」ってなに?
雪が解けた春…いよいよ作業が本格化しています。
日本酒造りに大事なのは良質な原料と技術・管理体制。
6シーズン目を迎えた旭農高日本酒プロジェクトは、原料となる酒米づくりからスタートです。
旭農高日本酒プロジェクトでは、作りやすさと寒さに強いことから酒米に「きたしずく」を使用しています。
4月28日、学校内のビニールハウスに農業科学科水稲専攻班の生徒たちが集まりました。
この日行うのは「播種(はしゅ)」です。
強力な助っ人として畜産班、畑作機械班、地域資源活用班の生徒たちも参加して、にぎやかに作業が行われました。
「播種」とはその名の通り「種を播く」作業。機械と人手のハイブリッドで行います。
播種機に「床土」「酒米の種もみ」そして最後に「覆土」をセットします。
準備ができたら育苗箱をセットして、機械を動かしていくと播種の済んだ育苗箱が完成します。
印象的だったことが…
恥ずかしながら私は、「播種祭」などで機械が動いているのは見ていたものの、生産の現場で播種機が連続して動いているのを見るのはこの日が初めて。
細かな気遣いをしながらもスピーディに作業をすることを初めて知りました。
生徒たちはすでに今年の稲作用の播種を済ませていたので、この酒米の播種が最後。
とても手慣れたものでした。
育苗箱はどんどんできあがっていきます。できあがった育苗箱は隣接するビニールハウスに手作業で運びます。
渡す生徒も受け取る生徒も(参加している大人たちも)、みんな大きな声で「お願いします」「ありがとうございます」と声を交わして作業するのが印象的でした。
「軽いですよ」と言われて、私も何枚か育苗箱を運ばせてもらったのですが、想像よりもちょっと重く、100メートルほどの距離ですがこぼしてもいけないので、ちょっとドキドキしながら移動しました。
すべての育苗箱を並べ終わったら、自走式の散水装置を設置して、土全体に水が染み渡るように水やりをします。
途中でホースがねじれて水が出ない、というトラブルも経験しながら、しっかり3往復水やりをしてこの日の播種作業は終了です。
ここまで約1時間、この日はこのあと今シーズンから新たに始める準備に、生徒たちみんなの創造力が発揮される時間となりました。
酒米の肥料に酒粕を
旭農高日本酒プロジェクトでは6シーズン目を迎えた今シーズン、新たなチャレンジをします。
それは日本酒造りの中で生まれる酒粕を肥料に使う循環型の酒造りへの挑戦です。
酒粕には成長に必要な栄養分が多く含まれ、日本各地の酒蔵も酒粕の有効活用として取り組むようになっています。
酒粕を肥料に…といっても酒粕をそのまま田んぼにまくわけにはいきません。
ある程度乾燥させてから使う必要があります。
そのため、生徒たちみんなで酒粕を乾燥させるために広げたり、取り分けたり、という作業を行いました。
最初のうちは酒粕を広げていく作業に集中していたのですが…
これは何でしょう???
SAKE怪獣?
すっかり生徒たちの想像と創造を発揮する時間になり、先生も苦笑。。。
酒粕の芸術作品たちもこのあと田んぼで肥料となるはず。
その様子や田植えの様子を次回はお伝えします。
プロジェクトメンバー紹介
葛西隼汰さん(3年)旭川出身
農業に興味があり、野菜を育てたくて旭川農業高校に入ったが、生産から加工・販売までができる水稲班の活動に魅力を感じて2年時に水稲班を選択。
シーズン6で今までよりももっとおいしい酒を造れたら、と意気込むうどんよりそば派のサブリーダー。
*****
取材・文:HBC報道部 にゃま
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は取材時(2026年5月)の情報に基づきます。