カラー原画や漫画原稿、初出し作品まで一挙公開 『花ざかりの君たちへ展』レポート
2025年2月7日(金)から2月24日(月・祝)まで、サンシャインシティ(東京・池袋)のサンシャイン60展望台 てんぼうパークにて『~中条比紗也 画業30周年の軌跡~ 花ざかりの君たちへ展』が開催中だ。
『花ざかりの君たちへ』は漫画家・中条比紗也の代表作で、『花とゆめ』(白泉社)にて1996年20号から2004年18号まで連載され、単行本は花とゆめコミックスで全23巻が発売。2007年の日本での実写ドラマ化を期に全12巻の愛蔵版も発売され、シリーズ累計発行部数1700万部(電子含む)を突破、また現在アニメ企画が決定している人気作品だ。
本展は中条の画業30周年を記念して実施するもので、作家初の原画展である。
今回初出しの絵を含む展示物が一挙公開
本展は、デジタルデータ出力を含むモノクロ原稿や全て手書きのカラー原画など、額装展示物232点を一挙公開しており、今回初出しとなるスケッチやラフ画も含む豪華な内容だ。全部で250点近い展示物が並ぶさまは圧巻で、しかも絵は一つひとつが大変緻密で美しい。
手書き原稿には細かい指示や指定、滑らかな筆致など、作家の痕跡を伝える要素が多くて見どころ満載だ。作家の丁寧な仕事ぶりに驚嘆するとともに、原稿がこれほどきれいな状態で残っていることの有り難さが身に染みる。
パステルカラーを多用したカラー原画は非常に華やかで目を奪われる。画材のにじみやぼかし、グラデーションなどを効果的に使うことで、身体の動きや細やかな表情、立体感などが際立っていた。
魅力的なキャラクターを学校行事とともに紹介
『花ざかりの君たちへ』は、主人公が転入した桜咲学園を舞台に、恋愛や友情、将来への夢や不安など、フレッシュな青春が繰り広げられる学園ドラマだ。会場の壁面やパネルもイメージ通りのカラーリングで、漫画の雰囲気や色を引き立てる。
会場は「桜咲学園転入編」「学園祭編」「修学旅行編」「花桜会編 イメージモデル編」「Xmas ダンパ編」「将来の夢編 梅田の過去『秘密』編」「佐野と中津編」「中津の告白編」「バレンタインデー編」「瑞稀の卒業編」という10の区分で構成されており、物語の流れに沿って学校生活を追い、キャラクターを紹介していく流れだ。桜咲学園への転入に始まり、学園祭や修学旅行、クリスマスのダンスパーティー、そして卒業など。主人公と一緒に学校生活を追体験しているようだ。
キャラクターは全員個性豊かで、学校の制服や四季折々の私服のほか、サンタクロースやチアガールの衣装、ニーハイブーツやロングベルト、レザーグローブなどといったアイテムを難なく着こなしている。かっこいいポージングや多彩で繊細な表情も魅力的だ。
他作品の原画や貴重な下絵も
本展には『花ざかりの君たちへ』関連の作品が多くそろっているが、最後の展示空間には『夢みる葉っぱ』『ミッシング・ピース』『WILD KISS』『シュガープリンセス』など、読み切りや他の連載作などの原画も。超能力ものやスポーツものも描いた中条の、多様で幅広い才能を実感するだろう。
会場ではアニメのティザーPVを鑑賞できるほか、『花ざかりの君たちへ』のコミックス第1巻発売時に書店用POPとして提供されたイラストなどの珍しい展示物も。なかにはデジタルデータ出力の元となったアナログの下絵もあり、作家が早い段階で完成原稿に近い絵を仕上げていたことが伝わってくる。
本展は物販も充実しており、カラーイラストをふんだんに掲載した公式画集やアクリルキーホルダー、複製画、コミック風缶バッジスタンドなど、展示を記念したオリジナルグッズの販売も多数そろっている。
また、入場特典のイラスト入りビジュアルチケットがランダム配布され(ひとり1枚、会期中に配布終了の可能性あり)、てんぼうパーク内カフェ「てんぼうパークCAFE」では、作品をイメージしたコラボメニューを楽しむことができるなど、楽しめる要素が満載だ。是非併せて堪能いただきたい。
魅力的なキャラクターたちに囲まれ、明るく美麗な世界観に浸ることができる『~中条比紗也 画業30周年の軌跡~ 花ざかりの君たちへ展』は、2月24日(月・祝)まで、サンシャイン60展望台 てんぼうパークにて開催中。
文・撮影=中野昭子
※記載のないものは全て『花ざかりの君たちへ』関連展示物