<ネット出席とは>不登校でも登校扱いになる?昔から存在するのに活用されていない不登校支援がある!
文部科学省が2025年10月29日に発表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、2024年度に不登校となった小中学生の数は過去最多の35万3970人となりました。これは12年連続で増加しており、少子化にもかかわらず不登校児は増えているという状況が浮き彫りに。
実は国は以前から不登校の子どもへの支援を進めてきました。その支援のひとつが「ネット出席」という制度です。今回はこの「ネット出席」について詳しくご紹介します。
ICT活用で学校に行かなくても出席扱いになるネット出席制度
ネット出席制度とは正式には「やむを得ず学校に登校できない児童生徒等へのICTを活用した学習指導等について」に則った出席認定(出席扱い)のことです。ニュースなどでは俗に「ネット出席」と呼ばれることもあります。
国は2005年から、不登校の子どもへの支援としてこの制度を運用しています。しかしその利用者は非常に少なく、2024年度は全国で13,261人にとどまりました。利用者が少なさの最大の要因は認知度の低さだと考えられます。実際に株式会社すららネットが先日不登校の子どもおよびその保護者を対象に行った調査結果によると、不登校の子どもの約6割がこのネット出席制度を「知らなかった」と回答しています。
ネット出席、制度は存在しているのに利用者が少ない理由は?
ネット出席については、株式会社すららネットが自社サービスの利用者を対象に実施した実態調査があります。この調査では、不登校の子どもの保護者でネット出席制度を「知っている」と回答した人は70%を超えたものの、知った時期について聞くと「不登校から半年以降」が最多で33.6%。不登校になる前からネット出席制度を知っていた保護者は9.8%にとどまりました。「不登校になってからすぐにネット出席制度を利用できていれば」と後悔する家庭が多いことが予想されます。
またネット出席に関して学校からの説明や提案の有無を聞いてみると、「説明はない」と回答したのは不登校の子どもの87.2%、保護者の88.9%という結果に。約1割しか学校から説明を受けていない現状が浮き彫りになりました。またネット出席制度を学校に申請した経験を聞くと、子どもの8.3%、保護者の12.7%が「断られた」と回答しました。理由を掘り下げると「学校に前例がない」(子ども38%・保護者68%)、「学校に出席扱いの制度がない(子ども63%・保護者42%)」と、学校側が対応できないために断られてしまうケースもあることがわかります。
ネット出席の制度が全国の自治体で有効活用される日はくるか
学校側から説明がなかったことからネット出席制度について知る機会が逃してしまい、さらに申請しても対応してもらえないケースもあるのが現状です。不登校の子どもが増え続けており、文部科学省も支援に動いている一方でこうした現場の状況から、子ども本人や保護者の認知度向上だけでなく、学校側の整備も急務となっていることは明白です。
ただ保護者からの問い合わせがあれば、ネット出席制度に対応できていない学校や自治体の教育委員会が何かしらの対応に進む可能性はあるでしょう。制度そのものを知っているだけでも、不登校の子どもとその保護者の気持ちは軽くなるはずです。学校に行けない罪悪感を減らし、学習のモチベーションを維持できるのはとても大きなメリットでしょう。このネット出席制度がさらに全国で標準化することは、多くの不登校に悩む子ども本人や保護者にとっての救いの一手になるのか、これからの国の動きにも注目していきたいところです。