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【お取り寄せ】ひんやりもちもち!絶品の「レアチーズの水まんじゅう」を生んだ「中津菓子かねい」のストーリー

CAKE.TOKYO

「桃屋甚兵衛」の店舗内観

大分県中津市。中津城を有し、教育家として知られる福沢諭吉を生んだ、九州北部の歴史ある城下町です。

今回ご紹介するのは、この中津で老舗和菓子舗として名を馳せてきた「桃屋甚兵衛」の遺伝子を受け継ぐ菓子店、「中津菓子かねい」の「レアチーズの水まんじゅう」です。

昔から豊かな文化を育んできたこの町が生んだ、絶品スイーツの誕生秘話をご紹介いたします。

CAKE.TOKYO編集部

豊かな文化と食材の宝庫、中津

美しい中津城
町の真ん中を流れる中津川

九州の玄関口、北九州市から南へ1時間ほど車を走らせると現れる城下町、中津。

福岡県と隣り合わせたこの町は、農産物から海産物、さらにはジビエまで楽しめる、食材の宝庫でもあります。

この地で昔ながらの製法で素材のおいしさを大切にしたお菓子づくりを続けるのは和菓子職人夫婦の平川さんご夫妻。

このお二人、実はお互いに跡継ぎという立場のまま結婚したという、一大物語を持っていました。

老舗和菓子舗と老舗鮮魚店の看板

平川敬祐さんと愛悠さんご夫婦。「中津菓子かねい」の店内で。

父の背中をみて覚えた手仕事、愛悠さん

平川愛悠さん。「中津菓子かねい」を切り盛りするおかみさんです。子どもの頃から地元の老舗和菓子舗「桃屋甚兵衛(ももやじんべい)」の跡継ぎとして厳しく育てられ、25歳のときには店の和菓子を100種類は作れるようになっていたという熟練の和菓子職人です。

そんな愛悠さんの師匠であり、実の父親の加来忠訓さんについてお話をお伺いしたところ「武士みたいな厳格な人でした」という言葉が出てきました。

愛悠さん「父のことが怖かったですね。でも、とにかく多才で書や茶道などいろんなことができる人でした」

「桃屋甚兵衛」の店舗外観
「桃屋甚兵衛」の店舗外観
「桃屋甚兵衛」の店舗内観
「桃屋甚兵衛」の店舗内観

加来忠訓さんは「桃屋甚兵衛」を創業した和菓子職人でありながら、そのオールラウンドな才能は和菓子の世界だけでは収まり切らない傑出した人物だったようです。

愛悠さん 「父の背中をみて和菓子づくりを覚えました。デザインの勉強をした後、しばらく違う仕事をしていたのですが歳を重ねた父の姿を見て、和菓子職人に転身することを決めたんです。」

そこから愛悠さんは父親譲りの才能を一気に開花させ「桃屋甚兵衛」を支え続けました。

1892年創業の老舗鮮魚店の看板を背負い続けた、敬祐さん

一方で地元、中津の中心街で明治時代から続く老舗鮮魚店の長男に生まれた平川敬祐さん。今では、愛悠さんとともに「中津菓子かねい」と「桃屋甚兵衛」を支える和菓子職人ですが、子どもの頃から常に鮮魚店の跡取り息子であることに葛藤があったそう。

敬祐さん「東京に住んだこともあります。でも、どこかで魚屋を継ぐという思いが頭のなかにあって何事も長続きしませんでした。」

そんなふうに語る敬祐さんも、地元に戻ってからは実家の稼業を手伝い鮮魚店の仕事に従事します。しかし、ふさぎ込む日も多くご両親を心配させてしまったといいます。

敬祐さんの幼少期
魚市場で被る帽子につけられていたプレート

敬祐さん「義父は本当にかっこいい人でした。持っている感性を和菓子の世界で表現していました。自分の世界観を仕事にも展開できる、私の憧れそのものでした。」/p>

愛悠さんと出会った直後から加来忠訓さんと意気投合していたという敬祐さんは、なんと思い切って義父に弟子入り。そこから和菓子職人へと転身をします。

———ご実家の皆さんの反対はなかったんですか?

敬祐さん「お客さんが喜ぶ商いをやるのが100年続いた魚屋の信条、魚屋も和菓子屋も商いには変わりないからその志さえ継いでくれれば…と静かに賛成してくれました。」

三代続いた鮮魚店は廃業し、敬祐さんの猛修行の日々が始まりました。

愛悠さんとともに「桃屋甚兵衛」を支える日々は深く濃く流れ、気づけばお二人の生活は大切な子どもたちや家族から離れてしまっていました。

愛悠さん「子どもが生まれてから考え方が少しずつ変わっていきました。お菓子屋であることを悩んだこともあります。」

敬祐さん「ちゃんと子どもたちと一緒にいたい、本当に自分たちの思うお菓子を作りたい、そんなふうに思い始めていました。」

家と家族、どちらも大切にするための独立

「桃屋甚兵衛」で売られているお菓子たち
彩り鮮やかな琥珀糖はうっとりする美しさ

忙しさのあまりにアンバランスな生活は続き、加えて家族の不幸も続く…もう何もかもがだめになってしまいそう、そんななかすべてを解決させるために二人は大きな決断をしました。「桃屋甚兵衛」からの独立です。二人だけの店舗である「お菓子のかねい」を開店させたのです。それは敬祐さんのご実家の跡地をわずかに譲ってもらってのオープンでした。

愛悠さん「たった一坪!本当に小さなお店でした。」

しかし、「桃屋甚兵衛」の職人であったというお二人の自信は見事に砕けちりました。

「お菓子のかねい」は地元の人でも探さないとわからないような辺ぴな場所にあり、そんな場所まで訪ねて買い求めたくなるようなお菓子をつくるということは一段も二段もハードルが高かったのです。

平川さんご夫婦はいちからお菓子と向き合い直しました。製法から配合タイミングまで訓練をしながら、開発する日々が続きました。

愛悠さん「和菓子の型にはまらず自分たちに正直にお菓子を作ったら、おいしかった!とお客様に喜んでもらえるようになりました。」

敬祐さん「笑顔と感謝の気持ちを忘れない。お客様に喜んでもらえることがいちばんです」

「中津菓子かねい」の店舗外観
「中津菓子かねい」の店舗看板
「中津菓子かねい」の店舗内観
アンティークの調度品も

今では有名誌に取り上げられ、東京の大手百貨店からも声のかかる菓子店「中津菓子かねい」。今回はそんなお二人が生み出したロングセラー「レアチーズの水まんじゅう」をご紹介します。様々なお菓子のなかでも夏に最も売れるという人気の商品です。

爽やかなぶどうの香りと相性抜群のレアチーズが自慢の夏菓子

レアチーズの水まんじゅう6個入(化粧箱・引出し) / ¥2,419(税込)

透明感があり、見るからにぷるぷるの「レアチーズの水まんじゅう」は和菓子と洋菓子の融合ともいうべき夏スイーツ。喉ごしもよく、つるんとした食感で「中津菓子かねい」でも夏はとにかく売れ筋だといいます。

———「レアチーズの水まんじゅう」のこだわりのポイントを教えてください。

愛悠さん「レアチーズケーキのような配合で、中のチーズ部分だけを食べてもおいしいんですよ。水まんじゅうの弾力が難しくて温度帯で変わってしまう。食感を大事にしている商品です」

なめらかなレアチーズの酸味は暑い夏にうれしい

もっちりとした水まんじゅうの生地は二層になっていて、果汁からこだわっているというぶどうがほのかに香ります。クリームチーズもなめらかなクリームチーズを厳選、丁寧にレアチーズケーキのように仕立てているそう。

もちろん、ひとつひとつが愛悠さん敬祐さんたち職人の手作り。お客様の「おいしい!」の笑顔を想像して今日も丹精込めて作られています。

お菓子を通して伝えたい、中津の良さ、日本の良さ

気さくでやさしい笑顔が印象的な平川さんご夫妻。おいしいお菓子が生まれるはずです。

この記事だけではとても語り切れないほどの努力を重ねてきたおふたり。

最後に「中津菓子かねい」と「桃屋甚兵衛」の今後の展望をお伺いしたところ、とても素敵な答えが返ってきました。

愛悠さん「中津は実はすごくいい町なんでばれるのが時間の問題なんです。食材も豊かで景色もいい。素敵なお店もたくさんあるんです。そんな中津の良さをたくさんの人に知ってほしい、中津を広めていきたいんです。」

中津の町を散策してみれば、城下町だっただけに古くて趣のある建築物がたくさん残っています。もちろん「桃屋甚兵衛」もそのひとつ。

愛悠さん「お菓子を通して、中津を通して、日本の良さを外国の方々にも知ってもらいたいんです。」

笑顔で語るお二人ですが、お話するその眼差しはやさしいけれど真剣そのもの。

お菓子づくりに、家族に、町に向き合ってきたからこそ、生み出せるおいしさがあるのだと気づいた今回の取材でした。

取材・文・写真 上井涼子

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【SHOP INFORMATION】

SHOP:中津菓子かねい

ADDRESS:大分県中津市大字上宮永71-12

OPEN:8:00〜17:00

CLOSE:日曜日・第4月曜日(お節句時期、年末年始は変わることあり)

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