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箱根駅伝歴代「山の神」今井正人、柏原竜二、神野大地の現在地

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初代「山の神」の今井正人Ⓒゲッティイメージズ

歴史に名を刻んだ3人のヒーロー

正月の風物詩、東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)は最も過酷な山上りの5区で「山の神」と呼ばれ、歴史に名を刻むヒーローを生んできた。

2005~2007年の順大時代に3年連続区間賞を獲得し、トヨタ自動車九州入りした初代「山の神」の今井正人、2009~2012年の東洋大時代に大黒柱として4年連続区間賞を獲得した2代目「山の神」の柏原竜二、そして2015、2016年に青学大の総合2連覇に貢献した3代目「山の神」の神野大地。それぞれ学生ランナーとして輝きを放った山のスペシャリストは卒業後、どんな道を歩んでいるのか―。

今井正人は五輪夢見て苦難続くマラソン挑戦

35歳になった「元祖・山の神」今井は2019年9月の東京五輪代表選考会「グランドチャンピオンシップ(MGC)」で2時間21分15秒の25位に終わった。

これまでの自己ベストは10回目のマラソンとなった2015年の東京マラソンで日本勢最高の7位に入った2時間7分39秒。ところがこの走りで夏の世界選手権代表に選ばれながら、大会直前に髄膜炎を患って欠場と苦難を味わった。夢に見る五輪切符へ残り1枚の望みは残っているが、学生時代の驚異的な走りを考えると、平地のマラソンでは自分の殻をいまひとつ突き破れていないのが現状だ。

中学時代は野球部。福島の原町高で本格的に陸上を始め、順大2年の時は11人のごぼう抜きで従来の記録を2分以上も縮める区間新。3年時は5人抜きで17年ぶりの往路優勝に導いた。

地面を強くキックせず、平地と同じような「感覚とリズム」で駆け上がる強さの裏には頭と腰の位置が一定したスムーズな体重移動やひざと足首の柔軟さがあった。当時から課題は平地のスピード不足と指摘されてきたが、社会人になって一歩ずつ成長も続けている。

2011年の東日本大震災で福島県南相馬市の実家が被災し、津波などでトロフィーなど多くの記念品を失った。諦めずに走る自分の姿と震災復興の姿を重ね合わせ「地元に光が差すレースをしたい」と今日も走り続ける。

柏原竜二は引退、富士通でアメフトマネジャーも

2017年4月、箱根で最大級の脚光を浴びた福島県いわき市出身の柏原は、当時27歳で静かに現役引退を発表した。卒業後は富士通に入社したが、箱根の山を無敵の強さで駆け上がった輝きは戻らなかった。腰痛やアキレス腱痛など故障が絶えず、復帰のめどが立たないことから苦悩の末に社業に専念する道を決意した。

引退後は社会人アメリカンフットボール「富士通フロンティアーズ」のマネジャーに就任してライスボウル制覇に貢献。現在は富士通の企業スポーツ推進室に所属し、陸上をはじめアメフト、バスケットボールなどスポーツ活動全般への支援、地域・社会貢献活動など幅広く活動している。

東京五輪選考会のMGCでは100人規模の社内応援団を企画し、レースや選手の心理面の解説も担当した。厳しい暑さの中で終盤のデッドヒートを制した富士通の中村匠吾が優勝した瞬間は、割れんばかりの大歓声で社内の一体感が生まれたという。

2019年4月にはBS11の八木菜緒アナウンサーと結婚も発表。柏原は大のアニメ好きとして知られるが、八木アナもコスプレイヤーとして本格的に活動する。第二の人生として、引退したアスリートのセカンドキャリアの支援活動にも精力的に取り組んでいる。

神野大地はプロランナーに

「新・山の神」と呼ばれた26歳の神野は2018年4月にコニカミノルタを退社し、プロランナーの道を選択した。陸上界でも大迫傑やサニブラウン・ハキームもプロ宣言しているが、新たな扉を開く挑戦だった。

再生医療事業ベンチャーのセルソースと所属契約を結び、日本選手では異例のケニアで高地合宿にも果敢に挑戦。東京五輪代表選考会のMGCは2時間17分40秒の17位にとどまったが、最大の目標である東京五輪の夢は捨てていない。

愛知・中京大中京高出で164センチ、43キロと小柄だが、箱根駅伝では青学大の原晋監督が「超人」とたたえる快走で初の往路優勝へ導いた。これまでマラソンの自己ベストは2018年の東京マラソンでの2時間10分18秒。中国の東莞で12月22日に行われるマラソンのアジア選手権代表にも選ばれた。厳しい戦いは分かっているが、2020年3月の東京マラソンで派遣設定タイム2時間5分49秒の突破にプロランナーの意地と成功を懸けて挑む覚悟でいる。

記事:田村崇仁

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