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堂珍嘉邦×藤巻亮太、夢の共演ふたたび スペシャルライブに臨むふたりの心境とは?

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写真左から:藤巻亮太、堂珍嘉邦

夢の共演ふたたび――。昨年(2021年)夏にオンラインで開催された『めざましライブ』での共演で大きな反響を得た、堂珍嘉邦と藤巻亮太 のコラボレーションが、3月21日に千葉県市原市市民会館大ホールで開催される『堂珍嘉邦×藤巻亮太 Special 2man Live』として実現する。奇しくも今年2022年は、ふたりにとってソロデビュー10周年のアニバーサリーイヤー。それぞれのヒット曲、代表曲、お互いのルーツをたどるカバー曲の披露も含め、何が飛び出すかわからないスペシャルライブに臨む、ふたりの心境とは?

――『めざましライブ』はとても評判が良かったですね。お互いの曲を一緒に歌うシーンが特に。

堂珍嘉邦:やっぱり藤巻さんの声の芯の強さというか、場数を踏まれている感じがすごくあって。僕、あのあと藤巻さんの映像を見漁って、これはやっぱりいろんな場所で戦われてきた強さがあるんだなと思いました。“この声はこうして出来上がったのか!”と。

藤巻亮太:ちょっと待ってください(笑)。声なんてお話をされたら……堂珍さんの声は、いろんなものにかき消されないというか、抜けて通ってくるんです。それは一緒に歌わせてもらって、本当にすごいなと思いました。

堂珍:藤巻さんも抜けるんですよ、抜け方が違うだけで。藤巻さんの声はマイクに乗る分量が大きいというか、やっぱりすごいなと思いました。僕は僕で違う乗り方をするんですね。一点を刺すように、というか。

藤巻:だから、奥の方まで届くんですよね。

――お互いの歌を歌い合って、どう思いましたか? CHEMISTRY「My Gift To You」と、レミオロメン「粉雪」と。

堂珍:面白かったのが、お互いの曲に“粉雪”という言葉が出てくること(笑)。しかも真夏に真冬の曲をやるという。

藤巻:あれは面白かったですね。

堂珍:歌で言うと、歌い方のスタイルっていろいろあるじゃないですか。たとえば、この人はソウルが好きなのかな? とか。そこで藤巻さんから感じるものは、もちろんロックではあるんだけど、表現方法が自分にはない部分でしっかり形があって、(「My Gift To You」で)それをそのまま歌っていただいたというのが、僕はすごくうれしかったですね。

藤巻:いえいえ。

堂珍:自分と違うのは当たり前だから、違えば違うほど楽しくなっちゃう。それは、誰かと一緒に何かをやる時にいつも思うことなので。

藤巻:逆に言ったら、歌で“こういうふうに歌ってみよう”“ああいうニュアンスでやってみよう”ということを、僕はあまり思ったことがなくて。以前、小林武史さんにプロデュースしてもらっていた時に、僕があまりに一本調子で歌っていたので、サザンオールスターズやMr. Childrenのプロデュースをされてきた小林さんから、「桑田さんはね、同じところを歌うにしても、100通りぐらいのグラデーションで歌えると思うよ」と言われたことがあって。

堂珍:そんなに!

藤巻:「あまりに一本調子すぎるぞ、おまえ」ということを伝えたくて、100と言ったんだと思うんですけど(笑)。それが未だに心に残っていて、そういう意味では、歌を歌うということは奥が深いんだなと思います。

堂珍:確かに、いろんな表現をされるボーカリストの方はすごいなと思うんですよ。でも僕はどちらかとうと、ひとつのことをはっきりやる方のほうが好きだったりするので、それは本当に人それぞれだなと思いますね。

藤巻:堂珍さんの「粉雪」は、♪こなーゆきー、のところがパシン!と来るので、本当にすごいなと思いました。

堂珍:いえいえ、そんなことないです。でも、いい曲って、一回中に入っちゃうと、ジェットコースターみたいに途中で降りることができない良さというものがあるんですよ。そういう曲をご本人とやらせていただくということが、すごく光栄でした。

藤巻:すごく貴重な経験をさせていただきました。「My Gift To You」「粉雪」と続けて歌うと、冬の情景が違うのが面白くて。温度感も違うし、相手のイメージも違うし、そこを自分なりに味わいながら歌えて、うれしかったです。

――ここであらためて、ふたりのソロ活動を振り返らせてください。ふたりとも、今年でソロデビュー10周年を迎えます。

堂珍:さっき(取材の前に)、ソロになって何枚アルバム出されました? という話をしていたんですけど。

藤巻:僕は、オリジナルは3枚ですね。

堂珍:僕も3枚です。僕は最初のほうにガガガっとやってから、去年4年ぶりにシングルを出させてもらったので、藤巻さんとは逆かもしれない。

――堂珍さんのソロは「耽美エントROCK」と名乗って、最初はすごく尖ってる印象がありました。

堂珍:そうですね(笑)。アンビエントなサウンドと耽美という言葉をひっかけて、耽美エントROCK。

藤巻:以前にプラネタリムでのライブを観させていただいたことがあって(『LIVE in the DARK』)、その時にもすごい世界観を感じましたけど、もっと前に宮城で、イベントをご一緒させていただいたこともあって。

堂珍:ありましたね。

藤巻:確かに、CHEMISTRYというイメージを持っていると、ご本人が突き詰めたい世界は違うところにあるのかな?という印象はありました。

堂珍: 当時、僕はフェスに出るのが夢で、最初にオープニングアクトをやらせてもらったのが中津川の『THE SOLAR BUDOKAN』で、そこからですね。

藤巻:僕のことで言うと、バンドって、メンバーやスタッフさんの中で世界観がガチっと作られているんです。ひとまず音を鳴らしたい衝動で始めて、どうなるかわからないけど、そういう不安も共有して、ある種の腹のくくりがあって始めるというゼロの原風景があって。その環境が歌を書くモチベーションになっていたんです。10年ぐらいやってくると、一方で、一人の人間としてどうしたいか?という思いが出てきて、ソロ活動を始めたんですけど、それはある種の叫びのようなものだったと思います。

堂珍:ええ。

藤巻:そこで僕は、音楽以外のことに裾野を広げていくというか、インプットの方向に行ったと思うんですね。登山家の野口健さんと対談させてもらったご縁で、エベレストの近くまで連れて行ってもらったり、アフリカを旅したり、そういった経験が自分にとってはすごく大きかった。バンドという狭いコミュニティの中で、根っこを下に下に伸ばしながら養分を吸って音楽を作っていくことが、ソロになって難しくなってしまった。だから横に広げる方向に向かったと思うんですけど、違う分野から栄養を吸って、自分なりにいろんなものを糧にしようとしていた気はします。

堂珍:やっぱり、形は変わりますよね。

歌手という形に徹してやればやるほど、“このままでいいのか?”という危機感が出てきてしまったんです。

藤巻:堂珍さんは、ソロになった時はどんな思いだったんですか。

堂珍:僕はCHEMISTRYで、歌手という形に徹してやればやるほど、“このままでいいのか?”という危機感が出てきてしまったんですね。“このまま行ったらつまらない、一回外を見なきゃ”ということです。よくあるような、サラリーマンの方が30代に入って独立するとか、そういうことに近かったと思います。ただそのあとに、やって良かったねと思うのか、どこ行っちゃったの?と思うのか(笑)。いろんなパターンはあると思いますけど、藤巻さんもかもしれませんが、僕もそうだし、グループやバンドの名前がなくなっても、お互いにずっと応援してくださる方がたくさんいてくださるのは、本当に感謝していますね。

藤巻:CHEMISTRYとして活動している時と、ソロになる時と、出会う人が増えたり、変わったりとかはしました?

堂珍:しましたね。たとえばCHEMISTRYのバンドの人たちと、ソロのバンドの人たちって、雰囲気が全然違ったり、好きなものも違うし、サウンドも違うんですけど。そこで一回フィルターを外すというか、素で“堂珍嘉邦です”となるほうが、話が早いことが多いんです。

藤巻:自分の心で感じていることと、表現したいことが近いということなのかな。

堂珍:単純に、CHEMISTRYはデュオという事もあって、スタッフとのやりとり含め時間は掛かりますね。

藤巻:ああ、なるほど。

堂珍:でもソロも、あんまり直でやりすぎるのも良くない場合もあるし、そのバランス感覚はすごく大事にしてますね。

久しぶりにバンド編成でやると、爆音じゃないですか。そこで年を取ったような感覚がするのが悔しいというか(笑)。

――特に堂珍さんのバンドは、ゴリゴリのロック畑のミュージシャンが多かったですし。

堂珍:だからステージの中が爆音すぎて、だいぶ鍛えられました(笑)。

藤巻:今もソロでやる時は、爆音現場は多いですか?

堂珍:それはちょっと一回封印してます(笑)。

藤巻:悔しいことがあるんですけど、バンドの時はどう考えても爆音で、ソロになって弾き語りのライブもすごく増えたので、それに慣れていたんですけど、久しぶりにバンド編成でやると、爆音じゃないですか。そこで年を取ったような感覚がするのが悔しいというか(笑)。これで音が大きいとか言ってるのが嫌だなというか、“おまえ、もともとそこにいただろう?”って。

堂珍:気持ちがいい爆音と、雑な爆音があって、雑な爆音は本当にうるさい(笑)。だから、PAオペ(音響担当)さん命ですよね。僕、もっと年を取ったらPAオペをやりたいとか思います。一度、自分で作ってみたい。それで生活できるかはわかりませんけど(笑)。

藤巻:自分が心地よく歌えれば、そのぶんお客さんにも心地よい歌が届く、という思いなんですかね。

堂珍:曲の中のポイントで、これを聴かせたいと思う部分があるじゃないですか。たとえばエンディングに別の楽器を入れていて、バンドに合わせて同期(演奏)を流すとして、それがちゃんと聴こえないとか。こちらがやろうとしていたことの意図がうまく伝わらないとか、やっぱり難しいですよね。

藤巻:ソロになって、いろんなミュージシャンにやってもらうことになった時も、最初は自分の出したい音をそのままやってほしかったんですけど、10年経ってくると、そのミュージシャンが解釈してくれて、演奏してくれるならば、それが正解かなと思い始めて。

堂珍:ええ。確かに。

藤巻:それと、ここ最近なんですけど、音楽って、“お時間をいただいている”ということをよく思うんです。

堂珍:うん、そうですね。

藤巻:映画を何倍速で観る人もいるかもしれないし、要約サイトでまとめたものを見れば、観た気にもなれる。でも音楽は、そのまんまの時間が必要じゃないですか。逆に言うと時間が持っている豊かさとか、時間と共に生きている感覚があると思うんですね。なぜそんなに急がなければいけないのか? とか、時間をもっと大事にしたいという思いが、最近すごく芽生えています。

――はい。なるほど。

藤巻:昔のように、一枚のアルバムを擦り切れるぐらい聴くという経験は減るかもしれないけど、いい音楽に無限に触れられるという良さも現代にはある。どちらかと言えば僕は、ひとつのアルバムを聴き込むことで心が豊かになってく感覚があったんですが、いろんな触れ方ができていく中で培われる感性もきっとあるので。両方あっていいと思うんです。

堂珍:おっしゃることに、すごく共感できる部分がたくさんあります。あと、音楽って、タイミングも非常に重要ですよね。たとえば自分に何かが起きた時に、ふっと音楽が入り込んできて、そういう音楽ってすごく覚えてるじゃないですか。

藤巻:そうですね。

堂珍:だからひとつの考え方として、ステージに立っている時は、毎回一定の感じでもいいという心構えもあっていいのかな? と。その場でしかできないことも、もちろんあると思いますけど、いつでもどこでも同じクオリティを見せるよ、という気持ちもあって、どっちも大事かなと思いますね。

『めざましライブ』の時に(ハンドマイクで歌う藤巻さんを観て)“あれ? 、かわいいぞ”と思った(笑)。

――そして、そんなふたりが、再び同じステージで共演することになりました。3月21日、千葉県市原市市民会館大ホールで開催される『堂珍嘉邦×藤巻亮太 Special 2man Live』です。

堂珍:僕が今回うれしかったのは、高校の時にバンドを組んでいた奴から「藤巻亮太くんと一緒にやるの? 観に行きたい」って、速攻電話がかかってきたのがうれしかった。「俺、好きなんだよ」って言われて、そういう話をしたことがなかったから、びっくりしました。

藤巻:えー、うれしいですね。僕も、またご一緒できるのがすごくうれしいです。

――どんなライブになりそうですか。

藤巻:まずはお互いの世界がありつつ、カバーも一緒にやります。たとえば、『めざましライブ』で「サマーソルジャー」(サニーデイサービス)を歌わせていただきましたけど、年齢も近いので、影響を受けたアーティストも近いと思うんですよ。そんな中で、ふたりのルーツの中にある公約数みたいなものを、カバーできたらいいかなと思っています。

堂珍:これが2回目の共演になりますけど、今のところ、藤巻さんからの提案に対して、まったく異論がないんですよね。たとえば「奥田民生さんの曲はどうですか?」とか、いろんな名前が出ると、すぐにイメージが浮かぶんですよね。「藤巻さんに合うね」とか、「俺もすごく好きだったし、どうやって歌おうかな」とか、そこにどういう絡み方をしていくのがいいかな?って、いまから楽しみです。

藤巻:僕は、吉井(和哉)さんがTHE YELLOW MONEKYからソロになられた時の曲が大好きなので。やりたい曲はあります。

堂珍:僕も大好きです。それと、『めざましライブ』の時にはかなわなかったですけど、もしもギターも弾かせてもらえるなら、ぜひ参加させてほしいと思います。邪魔しないように(笑)。

藤巻:いやいや。それは僕も、すごく楽しみです。

堂珍:ストロークしか弾けないですけど。簡単なやつなら。

藤巻:逆に言ったら僕は、ギターを弾きながら歌うことがほとんどなので、ハンドマイクは照れてしまって、一年生の感じになる(笑)。

堂珍:それはね、『めざましライブ』の時に“あれ? 藤巻さん、かわいいぞ”と思った(笑)。僕は、CHEMISTRYでハンドマイクで歌ってる時には手持ち無沙汰だったから、ソロではギターを持ちたいというのがあったんですよね。

このご縁が続いたということがすごく幸せです。自分にできることは何だろう?と考えながら、精一杯やりたいなと思います。

――楽しみにしています。最後に、コンサートを楽しみにしているファンの方へ、メッセージをもらえますか。

堂珍:僕と藤巻さんは、音楽シーンの中で、同じ時代に共に時間を刻んでいる間柄なんですけども、歩み方は違えども、お互いにソロ10年、バンドやグループで20年という時間があって。僕のライブに来てくださったりしたところから始まって、『めざましライブ』のすごくいいバイブレーションもあって、“今度はちゃんとお客さんがいるところでやってみたい”というところで、今回のコンサートが実現しているので。“堂珍・藤巻が何をやるんだ?”というところを、ぜひ楽しみにしていただきたいですし、僕にはCHEMISTRYというグループ名がありますけど、それとは違うCHEMISTRY=化学反応というものを、楽しみにしていただけたらと思っています。

藤巻:『めざましライブ』以降、このご縁が続いたということがすごく幸せです。あの時は、お客さんがいない中での収録だったんですけど、今回はお客さんを目の前にして歌えるということで、その中で感じることもたくさんあると思います。『めざましライブ』とは違う曲をご一緒させていただく中で、いろいろ感じることもきっとあって、そういうものを自分なりに心から楽しみたいですし、自分にできることは何だろう?と考えながら、精一杯やりたいなと思います。

取材・文=宮本英夫 撮影=大橋祐希

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