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B面曲を歌う中森明菜に注目!隠れた名曲に光を当てる【Best Performance on NHK】

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1987年06月03日 中森明菜のシングル「BLONDE」発売日(清教徒収録)

NHKに残る中森明菜のパフォーマンス映像がデジタルリマスターで楽しめる【中森明菜 Best Performance on NHK】

4月から月に2回のペースで配信されているが、40年前には気づけなかった明菜の新たな一面が発見できるのが何より楽しい。また、アルバム収録曲やB面曲を歌う貴重な映像が観られるのも、ファンにとってたまらない魅力である。8月15日には、次の4作品の配信がスタートした。

▶︎ スローモーション
 『レッツゴーヤング』1983/8/21放送

▶︎ 夢遥か ~ アサイラム ~ サザン・ウインド
 『レッツゴーヤング』1984/8/12放送

▶︎ Fin
 『ヤングスタジオ101』1987/8/9放送

▶︎ 清教徒(アーミッシュ)
 『ヤングスタジオ101』1987/8/9放送

今回は初めてメドレーが加わったほか、1986年発売のシングル「Fin」と、1987年発売のシングル「BLONDE」のB面「清教徒(アーミッシュ)」の2曲が初めて配信された。この4作品、全6曲を簡単に解説しながら、見どころを紹介したい。

歌手としての成長が見られる「スローモーション」


まずは、中森明菜のデビュー曲「スローモーション」から。発売当時こそオリコンのシングルチャートで最高30位に留まったこの曲だが、明菜人気が高まるにつれて認知度が高まり、今では当時を知らない若者層にも広く知られているのは周知の通り。この曲の配信も既に3回目。『レッツゴーヤング』でも繰り返し歌われていたようだ。

この映像はデビューから1年が経った1983年のものだが、NHKに初登場した1982年8月8日の映像(8/1配信)と見比べると、1年間の明菜の変化、そして歌手としての成長の跡が見られて興味深い。あどけなさが残る少女から一人前のプロの女性歌手へと風貌が一変し、歌の表現力も増している。

メロディーが対照的な2曲のメドレー


次は、このシリーズで初配信となるメドレーソングである。『レッツゴーヤング』が公開収録されていたNHKホールではなく、スタジオライブの映像で、1984年発売のシングル「サザン・ウインド」のサウンドを基調に、そのB面曲「夢遙か」、アルバム『ANNIVERSARY』に収録されていた「アサイラム」、そして「サザン・ウインド」の3曲が続けに歌われる。涼しげな水色の衣装に身を包み、振り付けをしながら楽しそうに歌う中森明菜は、見応えたっぷりだ。

「夢遙か」が1970年代の昭和歌謡を想起するナンバーなのに対し、「アサイラム」は玉置浩二が作曲したシティポップ風のナンバーで、曲調が対照的な2曲がメドレーで歌われるのも面白い。ちなみに「アサイラム」の意味は “避難所”。恋人への愛を確かめるため旅に出た女性が、オアシス(避難所)はあなた(恋人)だとわかったことが歌われる。作詞は松田聖子の初期作品を多く手掛けた三浦徳子。『ANNIVERSARY』には細野晴臣や尾崎亜美の提供曲も収録されており、聖子と明菜の制作陣がクロスオーバーしていて興味深い。

心の奥底に秘めた熱情が垣間見える「Fin」


続いては、1986年9月にリリースされたシングル「Fin」。1987年8月にスタジオライブで歌われた映像である。愛の行方を達観したような歌詞は1985年発売のシングル「SOLITUDE」と似ているが、むしろ表情を殺して歌う中森明菜からは、心の奥底に秘めた熱情が垣間見え、観る者の心を震わせる。

ルックスも1984年と比べると大人の色気が加わり、貫禄が増しているのは一目瞭然。身にまとった黒い衣装も、歌手としての表現力を引き立たせているのに一役買っている。楽曲の世界観に見合う歌唱、振り付け、衣装をトータルで演出し、表現者たる中森明菜を存分に楽しめる映像だ。

秋元康が作詞したB面曲「清教徒(アーミッシュ)」


最後は、「清教徒(アーミッシュ)」。1987年発売のシングル「BLONDE」のB面ながら、作詞は秋元康、作曲が久保田利伸という豪華な制作陣による作品である。“アーミッシュ” とは、アメリカに住むキリスト教プロテスタントの一派のことで、自給自足に近い質素な生活をしているのが特徴。愛するのに過度な行為や飾り立ては要らないことをアーミッシュに例えた歌詞は、秋元康の真骨頂。

タイトルの「清教徒」を(清教徒革命で知られる)ピューリタンではなく、アーミッシュと読ませるギミックも秋元康らしい。そんな彼が中森明菜に書き下ろしたシングルとなれば話題性も抜群だが、原曲が洋楽の「BLONDE」をA面にしたことに、当時の明菜とスタッフのアーティスト志向がうかがえる。映像からは髪をかき上げたり、片足を上げて回転したり、腰を振りながら歌ったりと、演出にこだわりながら、サビではビブラートが効いた歌唱を楽しめる。歌姫としての矜持が感じられる作品だ。

隠れた名曲に光を当てるのが配信の魅力


以上、8月15日に配信された明菜の映像を見ながら、簡単な解説を加えてみた。【中森明菜 Best Performance on NHK】からは毎回新たな発見や感動が得られるが、今回は「アサイラム」と「清教徒(アーミッシュ)」の歌唱が見られたことが望外の喜びだった。

なお、B面曲を歌う中森明菜の映像は、過去にも「LA BOHEME」「危ないMON AMOUR」「椿姫ジュリアーナ」などが配信されているが、そのクオリティーの高さには驚くばかり。特にアーティスト志向を高めた1985年以降のシングルのB面は、A面であっても遜色ない曲が多い。「清教徒(アーミッシュ)」も然りである。認知度が低い隠れた名曲に光が当たるのも、この配信の魅力である。9月以降もどのような曲が登場し、どのような明菜の表現力が見られるのか楽しみだ。

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