芸妓さんの置屋だった建物で美しさを引き出す「Bunny blanca」。
古町通9番町、通称「花街」にある「Bunny blanca(バニーブランカ)」。店主の佐藤さんがご自身の経験を生かして、着物レンタル、まつ毛エクステ、エステなどのサービスを提供しています。店舗は以前古町芸妓の置屋として使われていた建物。かつて芸妓さんが支度をしていたこの場所で、現代の女性に美しさとワクワク感を届ける店主の佐藤さんにお話を聞いてきました。
Bunny blanca
佐藤 裕子 Yuko Sato
1974年新潟市(古町)生まれ。美容師を経て、ブライダルサロンで10年以上経験を積む。美容室の一角でまつげエクステサロンを運営し、2022年に「Bunny blanca」をオープン。和太鼓バンドの経験者。
芸妓さんが美しく身なりを整えてきた場所、置屋だから叶うこと。
——佐藤さんは、古町生まれだそうですね。
佐藤さん:この辺りは小さい頃からの遊び場でしたよ。古町はとても賑やかで、大勢の人であふれている街でした。夜もたくさんの人がいてね。それがだんだんと少し寂しい雰囲気になってしまって。私は、何かしらのかたちで古町を活性化させたいと思っていたんです。
——お店は着物のレンタル、まつげのエクステとエステをされているんですよね。
佐藤さん:10年以上ブライダルサロンで働いて、着物のレンタルだとかを仕事にしてきたので、いつかそういったお店をやりたいなと思っていました。そしたらたまたま縁あって、この場所のお話をいただけて。ここは以前、置屋だったんですよ。大正時代からあったそうです。
——わぁ〜。そう聞くと、ますますいい雰囲気に感じちゃいます。
佐藤さん:でも私がここを知ったときには、建物自体が現代風に変わっていたんです。昔のままで生活するのは不便でしょうから当然ですよね。それを再び、大正時代の雰囲気に戻したいと思って、建築屋さんに直してもらったんです。女性がワクワクできる建物にしたかったんですよ。
——置屋だった当時の雰囲気を再現されているんですね。
佐藤さん:もともと芸妓さんがお化粧したりお着替えをしたり、美しくなるための支度をする場所ですから、私がお店を構えるなら「ここしかない」と思ったんです。
着物をもっと身近な存在に。
——着物で古町を散策するなんて、風情がありますよね。観光にもぴったりです。
佐藤さん:観光にいらっしゃる方が増えるのは嬉しいですよね。でもその前に、新潟に住んでいる方が気軽に着物を着てくださるといいなと思っていて。着物って、ちょっと構えちゃうところがあるし、値段もそこそこするんじゃないかって、そんなイメージが先行している気がします。もっと気軽に、例えば着物でビシッとキメて飲みに出かけようって思えるくらいの金額設定にしたかったんです。今は、着付けとレンタルで5800円という金額設定にしています。
——そういう楽しみ方、粋ですね。
佐藤さん:オーナーである主人が古町に写真スタジオを構えていますので、そこで撮影することもできますよ。どこかお外で撮影してもいいですしね。少しずつ着物のファンを増やしていけたらと思うんです。もしかしたら、昔みたいな賑やかさが戻ってくるかもしれません。
——オープン後の反響はいかがですか?
佐藤さん:このお店を構える前から、東区の美容室の一角でまつ毛エクステのサロンをしていました。なので、アイリッシュサロンの方はお客さまが毎日のようにいらっしゃるんですけど、着物の方はなかなか定着しなかったんですよ。Instagramや口コミで少しずつお客さまは増えてはいるんですけど。
——この記事をご覧の方が利用してくださると嬉しいです。
佐藤さん:ふふふ(笑)。ありがとうございます。着物のサイズが合えば、外国の方にも楽しんでいただけるかもしれないですよね。最近は古町にゲストハウスを作ろうって動きもあるみたいなので、そういった活動と合わせて着物がレンタルできることが広まってくれたら嬉しいです。
生まれ育った特別な場所で、培った技術を発揮。
——生まれ育った古町でご商売されるってどうですか?
佐藤さん:私にとって古町は特別な場所です。仕事でいろいろな場所に行きましたけど、やっぱりここがいちばん落ち着きます。この路地は「花街」というんですよ。素敵なお店がたくさんあるし、他とはまた少し違った風情があります。雪が降るとまた格別です。
——置屋で着物をレンタルされるのはなんとなく結びつくんですが、そこにエステも加えられたところに面白さを感じます。
佐藤さん:そうかもしれませんね(笑)。どんな事業にしようかを考えて、自分の思いをまとめたとき、やっぱりトータルで美しさをサポートしたいと思ったんです。さまざまな要素がプラスされたら、よりワクワクするじゃないですか。この建物でできるすべてをやりたくって。最近は「ハリウッドブロウリフト」っていう、眉毛の施術もはじめました。
——ご自身のお店を構えることは、以前から考えていらした?
佐藤さん:美容に関わるお店を持ちたいなと、ずっと思っていましたね。美容師からスタートして、ずっとこの業界にいましたから。ちなみに私、小さい頃から美容師に憧れて、高校在学中に美容師の専門学校に入学したんですよ。当時はそれができたんですね。早い段階からこういった世界が好きでした。花街の置屋とめぐり合って、ひとつの建物でおもしろいことができそうだと思ったのが転機でした。これからもいろいろな面で美しさを引き出していきたいと思っています。
Bunny blanca
新潟市中央区古町通9番町1473
tel/025-378-3486