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まちづくり、子育て語る 本村市長 年頭インタビュー〈相模原市緑区〉

タウンニュース

インタビューに応じる本村市長

年頭にあたりタウンニュースは本村賢太郎相模原市長にインタビューを行った。本村市長はまちづくり、子育て、ヘイトスピーチ、市制70周年などについて語った(2023年12月6日取材)。

リニア、A&A相模原駅北口

―リニア中央新幹線の神奈川県駅(仮称/橋本駅付近・駅南側)完成まで計画通りなら「あと3年(2027年)」です。市内では他にも南区の麻溝台・新磯野地区整備推進事業(A&A)や中央区の相模総合補給廠がある相模原駅北口のまちづくりが進んでいます。それぞれ24年はどのような形で進展しますか

「リニア中央新幹線については状況がまだ見えていない。いつ供用開始になるかわからないが駅工事については順調と聞いている。令和6年度は土地区画整理事業の事業認可手続きを進めていく。一方、(神奈川県駅の新設にともない整備予定の)大西大通り線についてなどは地域住民へしっかりと説明し必要性を理解してもらえるよう努力していかなければならないと思っている。住民の皆様の理解なくしてこのまちづくりは進まない。今年度からJR東海と市で、起業したい人や新事業創出に取り組む方、研究者等の交流を促すことを目的としたイノベーション創出促進拠点運営事業がスタートする。SIC(さがみはら産業創造センター)やさがみロボット産業特区に指定されている強みを生かして今後、イノベーション創出の取り組みが盛んになればいいと思う」

「A&Aについてはようやく38ヘクタールある第一整備地区土地区画整理事業の本格的な工事再開に向けた取組がスタートした。今後、都市計画や事業計画の変更手続きを行っていく。まず地権者の皆様にだいぶお待たせをしたのでスピーディーかつ、安全・確実に進めていく。令和6年度はA&Aを軌道に乗せることが大事。ここを再生できなければ相模原の未来はないくらいの事業だと思っている。南区で新たな拠点が生まれる。昨年秋には後続地区の北部の事業検討パートナー候補者が決まった。南部は2月に決まる。A&Aは、地権者の皆様が1200人位いらっしゃる。そういった皆様に理解をいただく中で、やはり相模原愛川ICも近く、雇用や住居を含め、人が集える場所を整備していかないといけない。そもそもなぜ事業を一時止める事態になったか?『何となくうまくやる』的な行政の体質があったのも要因だと思う。当時の市の古い体質があった。そこを風通しのいい職場に変えていく。職員一人一人がやりがいを持てるように。つまずいた3年間、再起動したい」

「相模原駅北口については令和6年度に土地利用計画を策定する予定。すでに相模原駅北口地区土地利用計画検討会議から3パターンをいただいており、そこから1つにしぼる。スタジアムが入るかどうかも注目だと思う。私たちは駅前の土地である15ヘクタールだけと言わず、35ヘクタールある野積場の一部を含め基地全体の返還を目指していく。相模原スポーツ・レクリエーションパークは4月から全面オープンする。その15ヘクタールの土地はまだ住居や樹木がたくさん残っているので財務省に撤去をお願いしている。なるべく民間活用ができたらいい。いずれにしても脱炭素な色合いを出して市民と一緒に誇れるまちづくりをしていきたい」

「相模原って良いところ」再認識の1年に転入超過続く近隣にライバル

―『子育てするなら相模原』と謳う中で、『なぜ子育てをするなら相模原がよいのか』を、まだ相模原を知らない方も納得できるような説明をお願いいたします

「地域への誇りや愛着を表すシビックプライドのランキングは私が市長選に出る際(2019年)、151自治体中、149位だった。そこで『子育てするなら』『第二第三の人生を送るなら』『起業するなら』『教育を受けるなら』と、4つの『〜なら相模原』を考えた。その中の大きな柱が子育て。平成29年度にこども・若者未来局、子ども・若者未来基金を立ち上げた。この基金は加山前市長の最大の功績の1つであると思う。その時から道筋を作ってもらっていた。27年度には子どもの権利条例も制定した。相模原市は近年、転入超過が続いている。『田舎すぎず都会過ぎない』ベストミックスなまちとPRしていることもあってか(当市を)選んでいただいている。令和3年は約3800人(全国10位)、4年は3100人(全国12位)が超過となった。子育て世代に注目すると、相模原市は令和3年から転入が約100人増え、令和4年は約200人になり全国59位だった。そういった意味では施策が子育て世代に刺さってきたからこそ転入が増えてきたのだと思う。10年計画ぐらいで示していかなければなかなか広まっていかないものなので、その点では順調だと思う」

「町田市、八王子市などの東京都は『0歳児から2歳児までの第2子以降の保育料無償化』『月額5000円を18歳まで所得制限なしで支給』など様々な施策がある。ただ、神奈川県で同じようなことはできない。財源の規模が全く違う。選んでもらえるまちにならなければならないと昨年10月から子どもの施設使用料等の無料化をはじめた。本年4月からは休日一時保育事業を橋本で開始し、その後、相模大野でも予定している。全国的に先駆けた取り組みである。また8月から小児医療費助成制度の対象者を高校3年生まで拡大する。これも首都圏の政令指定都市では初めて。これまで当該助成には年間22億円を支出していたが行財政構造改革などで4億円の財源が捻出できたので、それをあて年間26億円で続けていける」

「中学校給食は、令和8年12月からスタートする。これで小中学校全ての児童、生徒に温かい給食を食べてもらえるようになる(全員喫食)。子育て政策はこの4年半、かなり力を入れてきたがさらに2、3人目を産み育てやすい環境を作っていかないといけない。出生からお亡くなりになるまで人の一生全てが基礎自治体の責任なのでしっかりやっていく」

あらゆる差別なく認め合う社会を

―ヘイトスピーチを規制する条例案は、『市内でヘイトの実態がない』として『罰則を設けない』という形になりました。それに対して『実効性に欠ける』という評価もみられましたが、今後、3月の制定に向けてどのような舵取りをされていきますか

「11月17日に全員協議会を行って議員の皆様からも貴重なご意見を、マスコミの方からは色々な質問をいただいた。現在は3月定例会議での条例案の提案に向けてパブリックコメントを募集している。これを受けて条例案を出していく。そこをしっかり組み立てていきたいと思っている。その中でやはり約5年前の統一地方選挙の時には、聞き捨てならない差別的発言をする方々があちこち出馬されていた。私は当選してすぐの記者会見で川崎市以上のヘイトスピーチ条例を制定したいと言った。あれから条例制定に向かって取り組んできたが、そうした中で、まず大阪や川崎と違ってそこまでの実態がないことがわかった。また、学んでいく中で表現の自由という憲法に関わる大きな課題があることもよくわかった。人権施策審議会も3年半くらいかけ、答申をいただいたが、答申と条例案が違うというご批判もある。ただ、答申の中身というのはあくまでも参考で、もちろん検討の土台や基盤にするが、そのまま条例案にするわけではない。行政として民間の皆様、有識者の意見を聞いてそれを最終的に我々が市民にとって一番幸せな形になる条例案にしていく。津久井やまゆり園事件の記述が弱いとの指摘があったが、それは私も感じている。そういったところは訂正しないといけない。それを受けて罰則付きにするかといったらそうはしない。まずあまり実態がないこととか、憲法の表現の自由や過去の判例に照らし合わせるとなかなかシビアな点がある。私がそもそも言っているのは、『あらゆる差別がない全ての皆さんがかけがえのない個人として尊重されてお互いそれぞれ認め合う』。そんなまちづくりを進めていかないといけない」

市制70周年良さ再認識を

―相模原市は今年、市制70周年を迎えます。市民の皆さまにメッセージをお願いいたします

「いよいよ市制70周年、みんなでお祝いしたい。72万市民が『相模原って良いところだ』と再認識してもらえる1年にできれば。『記念式典』をはじめ『ご当地ナンバープレート』や『オリジナル宝くじ』などを考えている。相模原市は戦後生まれの基礎自治体としては唯一の政令指定都市。8万人から始まって72万人と、人口は急激に増えた。一方、学校や施設も人口急増に合わせて建設してきたが老朽化もあり、集約をしていかなければならないところもある。市民の方に丁寧に説明していかないといけない。これから人口が減少していくなか、後世に負担を残すわけにはいかない。市長時代にいいことばかり言ったり、お金をたくさん支出したりするだけでは責任がない。だから私は1期目にあえて行財政構造改革という厳しい施策をうった。これで財源の組換え構成を行う。今年から行財政構造改革の2期目が始まるが扶助費などにも手をつけていく。誰かがやらなければいけないことで、10、20年後、将来評価されればいい」

子育て、人権条例案などについて話す本村市長

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