住宅会社が参入余地のある分譲住宅市場に熱視線、マンション価格高騰も背景に│住宅産業新聞記者 荒潔の一戸建てニュースピックアップ
株式会社AQ Groupが2018年から本格参入した分譲住宅事業は、供給エリアが首都圏をはじめ中部、関西エリアに拠点を拡大。営業と設計が連携して現場によって仕様やデザインを変えることや、AQダイナミック構法などの注文住宅の良さを取り入れてきたこともあって、2025年度の着工棟数は首都圏の約100棟を含む200棟程度を数えるまでになった。
【今回ピックアップするニュース】
AQ Group、分譲供給エリアが拡大=高価格帯の物件にも対応を
AQ Groupは供給エリアを拡大。高価格帯の物件にも対応を
分譲住宅は注文住宅に比べ、着工棟数の減少幅は少ない
本格参入を開始した当時は「東京都稲城市における『ヒルサイドテラス若葉台』(全51棟)を皮切りとして、練馬区光が丘(全12棟)など大規模開発を行っていたが、現在では主に2~5棟の少数現場で、短期間で回転率を良くしていく現場にシフトしている」という。さらに参入当初は施工をタイアップ会社が行う一方、接客から販売は自社が担っていた。現在では販売は仲介会社が担当し、施工は自社で取り組んでいる。特に2020年から注文住宅において採用した強靭な耐力壁を外周に配置することで、不要な壁や柱を取り除き、吹き抜けなど自由度の高い間取りを実現させる独自技術「AQダイナミック構法」をここ数年では分譲住宅でも採用するなど、同社では「構造的には注文住宅の要素も取り入れるようにしている」と強調する。
同社では「着工棟数は減少傾向であるが、分譲住宅の供給はまだ狙える状況にある」とみているほか、「最近は1億円超の分譲物件も増えており、高価格帯の層も手がけていきたい」と考えている。さらには「マンションを検討している人は物件を見る目が肥えていることから、そういった点にも対応できる設計者の育成を行っていきたい」という方針だ。
打ち合わせ時間の多さを嫌い、共働き世帯が分譲住宅に注目
近年はAQ Groupに限らず、注文住宅メインから分譲住宅にシフトしている住宅メーカーが増えているのが現状といえる。その背景として、東京23区をはじめとする都心部におけるマンション価格の高騰によって一戸建て住宅を選択肢の1つと考えるエンドユーザーが増えたこと。それに加えて、共働き世帯の増加によって打ち合わせ時間の多さ・長さに不満を感じている人が多くなっていることもある。そのため各社が取り組んでいることが、打ち合わせ時間を短縮できる規格型住宅の提供であり、パワーカップルなども満足させることができる設備・仕様を備えた高価格帯の分譲住宅に取り組む会社が増えたともいえる。
高松コンストラクショングループのタカマツハウスは、「ここ数年のマンション価格の高騰を受け、駅から徒歩5分圏内でマンションよりも割安で暮らしやすい物件を出せないか」という考えから、2年ほど前から駅近の利便性を備えた希少な“タワマン立地”を追求したほか、注文住宅のようなデザインと品質を備えた設計とした分譲住宅の新ブランドの提供を開始した。今後も同様な取り組みが増えることが予想されており、特に都市部の分譲住宅市場に動きに注目していきたい。
荒 潔の一戸建てニュースピックアップについて
住宅産業新聞記者の荒 潔氏が、一戸建ての業界に関わる方なら知っておくべきという観点でニュースを厳選し、豊富な経験に基づくコメントとともに伝えるコーナー。業界関係者はもちろん、一戸建てを探す人にとっても、重要な動きを理解できるほか、新たな視点を得ることができるはずだ。
荒 潔
住宅産業新聞記者
1968年東京都生まれ。大学卒業後、地方紙などを経て繊維系日刊紙で流通分野および紳士服専門店などを担当。2017年3月に住宅産業新聞社に入社。地域ビルダーおよび工務店をはじめ不動産関係、住宅ポータルサイトなどの取材を担当している。