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ジョー・バイデン『Promise Me,Dad』アメリカ副大統領が最愛の息子の難病に挑んだドキュメンタリー

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第46代アメリカ合衆国大統領、ジョー・バイデン


ジョー・バイデンが苦戦している。

前大統領がカギも閉めずにおもちゃ箱をひっくり返して出て行った後片付けを地道にこなし、懸案のコロナウィルスの対応も概ね評価されていた第46代合衆国大統領が試練に立たされている。

ジョージ・W・ブッシュがはじめた中東での戦争は泥沼化し、アフガニスタンからの完全撤退はバラク・オバマ、ドナルド・トランプの公約でもあったわけだが、二人の大統領でさえ実現できずにホワイトハウスを去った。

バイデン大統領は、就任後、公約通りアメリカ軍の完全撤退を決断をした。しかし、実行直後、電光石火の早業で、こともあろうにタリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧してしまったのだ。世界中がこの事態に絶句した。その決断が失敗だったのではないかと世論の厳しい批判にさらされているのだ。

バイデン自らが綴った絆と再生の物語

この9月、ジョー・バイデンの著書、
『Promise MeDad 約束してくれないか、父さん』
が発売された。

ジョー・バイデンとは、アメリカ史上5番目に若い29歳の若さで連邦上院議員に当選したキャリアを持つ政治家だ。50年間、政治の世界で生きてきたプロ中のプロ、良くも悪くもその点が彼をオーソドックスで退屈な政治家とも見られてきた。

ジョー・バイデンには、2つの悲しい物語がある。

今から約50年前、若くして連邦上院議員に当選し順風満帆な人生を歩きだしていたバイデンに突然の不幸が襲いかかる。
その日、クリスマスの買い物に車で出かけた妻と3人の子どもを乗せた乗用車がトレーラーに激突され、妻ネイリアと1歳の娘ナオミの命が奪われてしまう。残された男児2人(ボー4歳、ハンター3歳)も重傷をおう。

失意の中、バイデンは、地元デラウェア州で残された2人の子どもを育てながら、片道2時間の通勤時間をかけて連邦議会に通い続ける日々を20年以上続ける。

『Promise MeDad 約束してくれないか、父さん』

本書は、バイデンが若き日の絶望を乗り越え熟練した政治家となりオバマから副大統領候補への打診を受ける場面から始まる。

時は過ぎ、副大統領としてキャリアをこなし時期大統領への道も見えてきた2015年、またもバイデンに苦難が訪れる。

幼き日の事故を経て成長し、自他ともに後継者として期待していた長男ボー・バイデンが不治の病といわれる脳性癌(膠芽腫/グリオブラストーマ)に侵されている事実が判明する。

壮絶な闘病を続ける最愛の息子と、ぼろぼろになりながらも鋼の意思によって職務をまっとうしようとする父親。物語は、妻ジルとの愛、年下の若きボスであるバラク・オバマとの友情を交えながらもう一人の主人公、息子のボー・バイデンが決然と病魔に挑む凄絶な姿を映し出す。読みながら思わず息を飲む場面が続く。

しかし、父の願いは届かず、残酷な現実が彼を叩きのめす。
46歳、ボー・バイデン死去。
この物語は、現役のアメリカ副大統領が世界を相手にしながら、最愛の息子の難病に共に挑んだドキュメンタリーだ。

希望、苦難、そして決意の日々

本書の執筆時期は、バイデンが副大統領の職を終えた後、ドナルド・トランプ大統領の時代だという。しかし、本書には、トランプの名前は一字足りとも出てこない。自身の著作に名前を記することさえ値しないというように。

この本を書き上げ、息子との永遠の別れにひとつの決着をつけたバイデンは、その後、人生最大の闘いに挑む。結果は説明の必要もないだろう。

自分の人生を真摯な態度でまっとうしたいと願う人に本書を推薦したい。
また、今、困難の只中にあり勇気付けられるなにかが欲しいと願っている人にも薦めたい。

さらに加えて、バラク・オバマの自伝『プロミスランド 約束の地』、その妻ミシェル・オバマの自伝「マイ・ストーリー」とともに本書を読めば、アメリカ民主党政治の良心が垣間見られる。

ジョー・バイデン『Promise MeDad』
約束してくれないか、父さん──希望、苦難、そして決意の日々

著者:ジョー・バイデン
翻訳:長尾莉紗、五十嵐加奈子、安藤貴子

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