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ウルフ・アロン五輪連覇へパリ切符獲得に自信、新鋭・新井道大を「最後にまくり返す」

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ウルフ・アロン,Ⓒゲッティイメージズ

グランドスラム・パリで五輪切符狙うウルフ・アロン

2月2日に開幕する柔道のグランドスラム・パリ男子100キロ級に出場するウルフ・アロン(27)と新井道大(18)がオンライン取材に応じ、意気込みを語った。

アメリカ人の父親と日本人の母親の間に生まれたウルフは、2021年の東京五輪男子100キロ級で金メダル。五輪連覇を狙うはずが、昨年12月のグランドスラム・東京準々決勝で敗れ、敗者復活戦でも一本負けして7位に終わった。

逆に同階級の東海大1年・新井道大が強豪を破って勝ち進み銀メダル。パリ五輪候補に急浮上した。

男子のパリ五輪代表は連覇を狙う66キロ級の阿部一二三や、故斉藤仁さんの次男で100キロ超級の斉藤立らが内定しているが、100キロ級だけが決まっていない。ウルフにとっては五輪切符をつかむため絶対に負けられない大会となる。

「体重をキープしてるし、仕上がりは良い。乱取りの中で技をつなぐように意識したり、ランニングやサーキットトレーニングを多めにしてスタミナも強化してきました。1日5、6試合ある中で初戦や2回戦の方が休みが取れるけど、勝ち上がるにつれて試合間隔が短くなるので、体力回復や体力を使いすぎずにできるかなど考えながらやっていきたい」

東京五輪後の状況については「想像していたものではないし、もっといい状態にもっていけると思っていましたが、まだチャンスがないわけではない。今やるべきことを考えて生活しています」と現実を受け入れた上で間を向く。

グランドスラム・パリで新井と対戦する可能性もあり、「結果として新井の上に行くというのが大前提。それを意識して準備できたのはよかった」と新星の出現を歓迎した。

無欲の新井道大「プレッシャー全くない」

一方の新井は「練習では先輩や同級生に投げられまくってます。調子は良くも悪くもないです」と自嘲気味に語る。グランドスラム・東京を振り返り「2位になって、いろんな人からたくさんお祝いのコメントをいただきました。でも、次はパリがあるんで終わりじゃない。切り替えるのが重要」と浮ついたところは全くない。

むしろ、決勝での負け方を反省し、「ああいう投げられ方をしたので、鈴木監督からも外国人に慣れていないと言われました。一番は経験不足だと思います」と自己分析。「東京よりは想定外の試合が増えると思います。研究される中でいかに自分の柔道を出すか」と外国勢からのマークに気を引き締めた。

元々、パリ五輪は視野になかったという。「ジュニアの時から(2028年の)ロス五輪と考えていた。講道館杯も負けたけど、全柔連から東京に推薦されて選ばれたのがまず衝撃的でした。レベルの高いグランドスラム・東京に出るのが楽しみで仕方なくて、そこまで3週間くらい誰よりも努力して、誰よりも寝て、準備してやろうと思っていました」と明かす。

まさに無欲の銀メダル。それこそが新井の最大の強みでもあるだろう。「みんな自分よりウルフさんに期待していて、自分は失うものがない。ウルフさんとの対戦に辿り着くには他の外国人選手に勝たないといけないので、1回戦から目の前の相手に集中していきます」と気負いはない。「プレッシャーは全く感じない。一人一人の応援が力になります」とどこまでも自然体だ。

怖いもの知らずの十代と一度は頂点を極めた元金メダリストの熱い戦い。ウルフは「(新井は)若くて思い切りのいい選手。でも、戦うことになれば僕の強みを出して相手の良いところを出させないようにすれば大丈夫。最後にまくり返せるようにやってきました」と自信を見せる。直接対決でパリ五輪代表を決める形になれば一番分かりやすいが、果たして…。

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記事:SPAIA編集部

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