高田瞽女住んだ町の証し 最後の親方杉本キクイさん暮らした上越市東本町4に標柱
新潟県上越市のNPO法人「高田瞽女(ごぜ)の文化を保存・発信する会」は2025年6月、盲目の女性旅芸人「高田瞽女」の最後の親方杉本キクイさん(1898〜1983)らが暮らした同市東本町4に、ゆかりの地を示す標柱を設置した。標柱のQRコードにスマートフォンをかざすと、瞽女唄を聞いたり、キクイさんらの旧宅の動画を見たりすることもできる。
《画像:設置された標柱と(左から)発信する会の小川善司事務局長、渡邉長芳町内会長、キクイさんの親類の杉本正彦さん》
「高田瞽女最後の親方 杉本キクイゆかりの町」と書かれた標柱は木製で、底面が約19cm四方、高さは約160cm。かつてキクイさんら高田瞽女が暮らした旧杉本家があった場所から、西に約120m先にある町内会館前の雁木下に設置した。費用の約42万円は、同市の地域独自予算と発信する会の自己資金を当てた。
標柱裏側の説明板に印字されたQRコードは、発信する会が運営する瞽女ミュージアム高田(同市東本町1)のホームページにリンク( https://goze-museum.com/?p=2465 )していて、キクイさんの瞽女唄や旧杉本家の動画(スライドショー)などが掲載されている。
《画像:標柱裏のQRコードにスマホをかざすと瞽女唄や旧杉本家について知ることができる》
旧杉本家は、キクイさんまで3代の親方と弟子の瞽女たちが共に暮らした町家だった。キクイさんの死後に新たな所有者の手に渡った後、近年は空き家となり、昨年4月に老朽化のため解体された。発信する会は、市が跡地を取得し活用を図ってほしいと、署名活動を展開して中川幹太市長に要望するなどしたが、実現には至っていない。
《画像:解体前の旧杉本家(2022〜2024年撮影)。掛け軸や階段、手押しポンプは瞽女たちが生活していた当時のまま残されていた》
発信する会の小川善司事務局長(76)によると、瞽女ミュージアムを見学後に杉本家の墓がある善念寺(東本町3)や旧宅跡を訪れる人もいるという。小川さんは「建物はなくなってしまったが、標柱が発信してくれる」と話した。
渡邉長芳町内会長(73)は「昔瞽女さんが3人で銭湯に行くのを見かけた。標柱は町内会館の前にあり、永久的にこの町に瞽女さんがいたことを知ってもらえる」と語った。
《画像:標柱の場所》
「高田瞽女(たかだごぜ)最後の親方杉本キクイ」 – 瞽女ミュージアム高田( https://goze-museum.com/?p=2465 )