『E.T.』でE.T.がエリオットの母親メアリーに恋心を抱くシーンがあった ─ メアリー役がスピルバーグに反対して変更に
スティーブン・スピルバーグ監督作『E.T.』はSF映画やジュブナイルとして、そして家族の絆を考えさせるホームドラマとしても秀逸だが、製作当時は恋愛を想起させる描写があったそうだ。主人公エリオットの母メアリーを演じたディー・ウォレスはこのアイデアに反対したそうで……。
地球に取り残されたE.T.(地球外生命体)と、エリオットを中心とする子どもたちの交流や温かい友情を描いた『E.T.』。夫と別居中の母メアリーはエリオットと兄マイケル、妹ガーティに対する責任を感じつつも、子どもたちを守り、協力する頼もしい母親像を印象付けた。
同作についてウォレスはPodcast番組にて、カルロ・ランバルディによる視覚効果も、脚本も素晴らしかったと振り返っている。しかしスピルバーグとは一度だけ、クリエイティブ面について意見が食い違ったことがあるのだとか。「E.T.がメアリーに恋心を抱くB級のストーリーが『E.T.』にはあったんですよ。その断片が少し残っていますね」と言及し、製作サイドが考えていた展開について明かした。
「私が寝ているときに、彼が私のベッドサイドテーブルにキャンディーを置くシーンがあったんです。ええ、スピルバーグは私が納得するよりもさらに、シーツを下げさせたがっていたんですよ。」
この意向に違和感を覚えたウォレスは「これはファミリー映画だと思う」とスピルバーグに面と向かって意見を主張したそう。
「『ポルターガイスト』なら両親が大麻を吸うことも理解はできます、でも『E.T.』は私にとってはとてもピュアな作品で、愛についての作品でもあります。だから素晴らしい脚本家のキャスリーン・ケネディとメリッサ(・マシスン)に相談したら、賛同してくれました。歩み寄った結果、シーツを私の肩甲骨あたりまであげることになりました。」
ウォレスも語るように、『E.T.』の魅力は、そのピュアで無垢な絆や関係性によるところが大きい。ウォレスが勇気をもってスピルバーグに掛け合ったことが正しかったと確信できるエピソードだ。
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