中心市街地再開発のその後は? 全国植樹祭誘致を、不登校やひとり親家庭の支援など質疑、四日市市議会
三重県の四日市市議会は6月18日、一般質問があり、中心市街地再開発のその後の考え方や工事情報の周知、不登校支援やひとり親家庭の支援、ブロック塀倒壊などへの防災対策、部活や子どもの体力などの質疑があった。一般質問は19日が最終日。
質問に立ったのは新風創志会の谷口周司さん、山田知美さん、平野貴之さん、無会派の今村厚美さん、市民目線の会の水谷一未さんの5人。
市街地再開発に関連して、谷口さんと水谷さんが質問した。谷口さんは事業の効果やプロジェクトの魅力の周知を求め、生まれ変わる四日市に多くの人が訪れるよう、市街地での大型バス駐車場整備や幹線道路での「道の駅」設置を検討すること、新しい四日市に天皇皇后両陛下を迎えられるよう、「全国植樹祭」の誘致に名乗りを上げるよう求めた。
市は回答の中で、中央通り再編により、土地公示価格が昨年1年で4.8%上昇したこと、中心部でオフィス4、ホテル2、マンションなど26の計画が進んでいると紹介した。市内のホテル関係者から要望のあった大型バスが待機できる駐車場は調査を進めているなどとした。
谷口さんは、北勢バイパスの一部開通や東海環状自動車道の全線開通を控え、市にも「道の駅」設置を考えることを求めた。さらに、1980年以来の三重県での開催になる「全国植樹祭」の招致に名乗りを上げてほしいと求めた。県が2031(令和13)年の招致を表明しており、再開発で新しい姿になる四日市に天皇皇后両陛下を迎えられると期待感を述べた。
答弁を求められた森智広市長は「表明には関心をもっている。まだ何も決まっていない段階だが、県と密に連絡をとって前向きに取り組みたい」と述べた。
〇中央通りの工事、こまやかに情報発信を
水谷さんは、近鉄四日市駅付近など、中央通りの工事に伴う車線や横断歩道の位置変更に戸惑いや不安を感じる市民がおり、工事の進み具合などをていねいに周知していくべきだと求めた。市は、車線の南側への集約まで大きな変更の機会が2回あると説明し、工事区間の自治会への説明、案内板での表示などのほか、QRコードからホームページにつながり、情報が見られるような取り組みを様々に考えたいと回答した。
水谷さんは、体育館など一般の避難所での生活が難しい特別な配慮が必要な高齢者、障害者、乳幼児などを受け入れる「指定福祉避難所」の整備を求めた。市によると、現時点では指定福祉避難所は1カ所のみで、さらに調整を進めているという。
〇不登校やひとり親家庭の支援、民間との協力で効果を
山田さんは、不登校の子がいる保護者の支援策を質問。市はスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣、教育相談窓口の開設、不登校サポートセンターの活動などを紹介。山田さんはフリースクールなど民間団体との連携で効果的な取り組みが期待できるのではないかと検討を求めた。
「ひとり親家庭等医療費助成」の所得制限緩和や、「ひとり親家庭等日常生活支援事業」についても取り上げた。この医療費助成では、ひとり親やその子、両親のいない子を養育している人が病院にかかった時に、自己負担の一部を自治体が助成するが、所得制限がある。子ども医療費は18歳まで窓口負担がゼロになったが、この医療費助成も自治体の判断で所得制限を緩和できるとして、判断を求めた。市は所得制限を直近の算出で証明することが難しく、ほかの制度との関連性なども考えて検討すべきだとした。
「ひとり親家庭等日常生活支援事業」は就職活動や家族の病気などで家事や育児に困っている母子家庭、父子家庭などに家庭生活支援員(ヘルパー)を派遣して日常生活の手伝いをする。市によると、この制度の利用がコロナ禍前の年間80~100件から、ひとけた台に落ちているという。市は、コロナ感染を経て心理的な警戒があるか、利用者の子どもが成長したことも考えられると理由について考えを述べた。山田さんは、情報周知が窓口に来た人になっていて壁が高いことや、土日や平日の夕方以降のニーズがある時間帯の利用が難しくなっていることを指摘し、「利用減の理由を危惧している」などとして、外部委託の活用なども含め、利用者のニーズに対応できるよう検討してほしいと指摘した。
〇ブロック塀倒壊、新技術に注目を
平野さんは、2008年の大阪府北部地震で女児がブロック塀倒壊で亡くなり、能登半島地震でもブロックのビル壁が崩落する被害が出ていることを挙げ、レーザースキャナーなどで危険個所を調べる新技術のシステムが研究中で、導入を検討してはどうかと求めた。石川県七尾市にできたボランティア用のテント村についても、防災時に大きな力になるとして導入を求めた。市は調査研究をしたいと答えた。平野さんは、生物多様性に影響を及ぼすミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)の捕獲についても取り組みを求めた。
今村さんは、中学の部活動数が2015年432件から2024年397件に減っているとし、部活の地域移行について質問した。市は地域スポーツクラブの練習に中学生が参加したこと、拠点型活動の状況、休日部活動についての意識調査や事例研究などをしていると紹介した。今村さんは、部活などをしない生徒が増えていることに関連し、高齢期の筋量の低下などで身体機能が低下する「サルコぺニア」を紹介。中学、高校などでの運動習慣にも左右されるとした。市も日常的に運動に親しめるよう検討するとし、昨年度から理学療法士を招いた授業で、けがをしない運動の仕方など自分の身体を知る機会を設けていることを紹介した。