目の前で泣く息子にも手出し声かけNG、分刻みのスケジュール…想像以上にハードだった親子通所で得たもの
年長の4月から新たな場所で療育スタート!
わが家の長男は4歳(年中)の時に軽度の知的発達症(知的障害)と診断され、夏頃から療育を受けていました。診断後に転園した保育園には療育施設が併設されていましたが、そちらには空きがなかったので順番待ちをしつつ、もともと通っていた施設で療育を続けていました。新年度になったタイミングで、保育園併設の施設に空きが出たので、年長の4月から新たな療育がスタートしました。
その療育施設では「生活クラス」という身の回りのことに関して集団で練習するクラスに入りました。療育は週に2回、朝10時からお昼ごはんをはさんで午後2時までです。療育がある日も、朝保育園に連れて行けばそのまま先生が療育のクラスへ連れていってくれるので、帰りも通常通り保育園に迎えに行くだけで良く、非常に助かりました。ただ、通い始めの最初の2ヶ月間だけは、親も一緒に通所しないといけないという決まりがありました。
療育の時間を嫌がる長男。つい口を出したくなった時、先生が……
親子通所が始まると、普段は私と2人きりで過ごす機会があまりないせいか、長男はとてもうれしそうでした。つい甘えたくなってしまうらしく、療育が始まると何度も私のところへ来ようとしました。その都度先生に止められては癇癪を起こす……ということを繰り返し、全く療育に集中できていないようでした。
癇癪を起こす長男への対応に、先生が苦労している様子が伝わって、私は焦ってつい長男に声をかけてしまいました。
しかし、先生との信頼関係を築くためにも、私からは長男に声を掛けたり手を出したりせず見ていてほしいと言われ、私はただただ泣く長男を見ていることしかできず、心が痛みました。
療育はなかなかハード……内容は?
療育の内容は、朝の支度から始まり、朝の会、その後リズム体操などで身体を動かしたり、天気が良い日には散歩に出掛けて公園で遊んだり。帰ってきても分刻みのスケジュールで、私も一緒になって遊んだり先生方の準備を手伝ったりとなかなかハードでした。
親子通所にて得たもの
そんなハードな親子通所でしたが、嫌なことと葛藤しながらも先生と頑張る長男の姿や、野菜嫌いなのに給食を完食するなどの成長が見られたこと、先生方が子ども達に対して決して怒らず、できるまで何度でもあきらめず向き合う姿勢や、声の掛け方を学べたことなど、得たものは非常に多かったです!療育で学んだことを夫と共有することで、夫婦共に家庭での長男への向き合い方も変わってきて、療育に通う前より穏やかに過ごせるようになりました。2ヶ月間の親子通所は、長男にとってだけではなく、保護者である私にとっても、本当に貴重な体験でした。
執筆/プクティ
(監修:森先生より)
「ついつい手を差し出したくなるのを、ぐっとこらえて見守る」というのは、口で言うのは簡単ですが、実はとっても難しいことですよね。お子さんを思うあまりに先回りして手伝ってあげたくなるのが親心ですが、そうしてしまうと結果的にお子さんの成長の機会を奪ってしまうことになりかねません。
プクティさんのように、怒らず、あきらめずに辛抱強くお子さんに向き合えると大変素晴らしいですね。親がどんどん手伝ってしまうのではなく、お子さんが「自立した大人になる」ためのサポートをしていくことに徹することができると、お子さんもぐんぐん成長していきます。療育は適切な接し方も学べて、親としての成長も期待できるのです。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。