マリモやトラフグ 関東でも続出!
ここ最近、関東で急増しているものが幾つかあると話題になっているのですが、その内の一つが「マリモ」です。国の天然記念物の北海道の「阿寒湖マリモ」は有名ですが、マリモにも種類がありまして「モトスマリモ」や「タテヤママリモ」と言うものが、 関東で見つかっています。詳しいお話しを国立科学博物館 研究主幹 辻彰洋さんに伺いました。
マリモが続出
国立科学博物館 研究主幹 辻彰洋さん
甲府の方で、日本で初めてのマリモが見つかっておりましてですね3年ほど前になると思いますけども、日本で初めてのもんだったから私達「モトスマリモ」って名付けました。それと同じものがですね、今年のお正月なんですけども、川崎の民家で見つかったっていうか「うちの家にいます」ということで、ご連絡がありまして、ほんでそれを調べると、「モトスマリモ」だと。実際にその方の情報を聞きますと、多摩川から採取したってことで我々の方もびっくりして、そのことがですね大きいニュースになりました。そのニュースを見て40件を超えるような方から実はうちの家にもマリモがあるっていうことで、あの後連絡が来ましてその中にですね、関東の湧き水から採集したマリモ、それが「モトスマリモ」だけではなくて「タテヤママリモ」っていう非常に珍しいタイプのマリモが関東の湧水から発生したというものが見つかってきました。
多摩川から「モトスマリモ」が見つかったという報道が出たことで、「うちにもいますけど」という連絡が40件。しかもその中には、モトスマリモではない「タテヤママリモ」もいた。・なぜかマリモの発見情報が続々と出てきている この2つのマリモは、比較的暑さに強いとされているので、
関東の気温が上がったことで、関東でも続出しているのではないかと推測されているそして実は、見つかっているのはマリモだけではありません続いてはある高級魚が、関東で急増しているお話です。水産研究教育機構 水産大学校 高橋洋さんのお話しです。
トラフグも続出?
水産研究教育機構 水産大学校 高橋洋さん
今、神奈川県とそれから千葉県の間の東京湾港でトラフグの漁獲量が増えています。トラフグは、ここ10年ぐらい、西日本とかそれから、伊勢湾の主な漁場では漁獲量が低迷しておりまして、それに対して、東京湾港でかなり取れるようになっているということになります。海が温かくなっている海洋の温暖化ですねそういったのが影響していると思います。トラフグも餌を取ったりとか、それから繁殖したりとか、自分の種の性質に合った水温のところを選ぶんですけども適正な水温がある環境が海全体が少しずつ暖かくなっていくことによって、北の方、正確に言うと、暖流の下流の方向に連れて行っているということになります。低迷していた天然のトラフグの資源に上乗せ分がプラス100トンとかいう形で増えているようなイメージだと思います。(45秒)
トラフグの主な漁場と言うのは、西日本だったのですが、最近では西日本で漁獲量が減少。ただ、東京湾港などでは漁獲量が増えているそうで、今では日本海側では秋田県でも獲れるようになってきているそう。 地球温暖化による海水温の上昇。あともう一つ考えられる要因が「黒潮」。熱帯の方にある暖かい水を北の方に運ぶ役割をする黒潮が、通常だと岸から離れたところを流れるのに、ここ数年ずっと千葉県の沿岸などを流れているそうで、海が温かいことと併せてこのことももしかしたら関連しているかもしれないとのこと。それによってトラフグの生息地も北上しているのではないかと。今まで主な漁場だった西日本的にはどうなのか伺うと、もともと1000トンほどトラフグが獲れた時代から、低迷期に入って、長年国内での漁獲量が200トンから300トンほどになってしまっていた。そこに、関東や福島県、秋田県などでも獲れるようになってきたことで、そこに更に100トンほど上乗せされる感じで、天然の資源が全体として増えたと言うことは喜ばしいことであると高橋さん。
同じく喜んでいるのが、関東でお魚料理を提供するお料理屋さんでした。 木更津市にある、「開花屋」笹生 勝利さんのお話です。
木更津市にある、「開花屋」笹生 勝利さん
当店開店当初は、築地の市場から下関で採れたフグを使っておりました。今は房総内湾外房等で獲れる天然のトラフグを使用しております。一番メリットは、その日に獲れたやつがその日に来るっていう新鮮の天然トラフグが取れるっていうことですかね。価格帯でいうと、直でやってるものですから、大体半値ぐらいでは仕入れられてると思いますけれども。安く仕入れられるものですからお客様には安く提供させていただいております。ありがたいですけど、いつまでこんだけ大量に取れるかっていう保証はないと思いますね。
豊洲から下関のトラフグを仕入れるのは輸送費や間に業者などが入って高くつくので、養殖のトラフグしか仕入れられていなかった。今では房総の天然のトラフグを直ぐに安く仕入れられるので、お店としては勿論お客さんたちも喜んでいるそう。
ただ、いつまで続くか分からず不安とも言っていましたが、先ほどの水産大学校の高橋さんも「せっかくの資源を、人の乱獲などにより持続的に利用できなくなる危険もあるので、しっかり管理していく必要がある」とコメントされていました。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』 取材:竹内紫麻)