体の力みが不調の原因かも⁉脱力トレーニングで改善しよう
ゲストは、スポーツトレーナーで理学療法士の中野崇さん !
不安定な天気も続くうえ、ちゃんと休んでも、よく眠っても、なんだか体がだるいな~、なんて方もいらっしゃるかと思います。原因は人それぞれですが、考えられる理由として、体に余計な力が入ってしまっているというのもあるかもしれません。そんな時には、脱力する練習をしてみましょう!
脱力スキルを身につけられると力の伝達効率が上がり、より大きなパワーを出しやすくなったり、ケガなどしにくくなるんだそう。とはいっても、全身の力を抜くだけではなく、必要な箇所にはちゃんと力を入れて、余分な箇所の脱力ができることがポイント。今回は、椅子に座ったままでもできるようなトレーニングを紹介してもらいましたので、皆さんもぜひ、やってみてください!
脱力トレーニング①「腰腹呼吸」をしてみよう!
簡単にいうと、息を吸った時にお腹と体の後ろ側、つまり腰に息を入れて呼吸すること。
呼吸が浅いと、不安定な体幹で体をうまく支えられず、緊張状態になってしまうんだそうです。さらに、酸素を取り込む力が低下すると、疲労回復能力も落ちてしまうんだとか!それを補おうとして肩や首の筋肉を使って呼吸していると、肩こりなどを引き起こしてしまうことがあるんだそう…。だからこそ、しっかりと息を吸ってお腹の圧を高め、体幹を安定させることで腰・肩・ひざなどの、力みを緩和していきましょう!
~トレーニング方法~
①まずは、へその下に指先を当てて、じんわりと深く押していきながら鼻から息を吸い、口から吐きます。息を吐くときは、ほっぺを膨らませず「プー」の口の形で。
②息を吐ききったら指を押し返すイメージで、お腹をゆっくりと膨らませて腰の方まで空気を入れる意識をしながら、また鼻で息を吸い。
少し背中を丸めると、背中に空気が入っていくのが分かりやすいです!
ここまでを何度か繰り返し!
③次に、お腹膨を膨らませ、腰まで空気が入ったな‥と感じたら、その状態のまま、お腹が振動するのを意識しながら「あー、あー、あー」と、ゆったり声を出します。吐ききれなかった息は、口から吐ききります。
ポイントは、声を出す&息を吐いている間もお腹と腰をへこませないこと!
背中に空気を入れる感覚がつかみにくいな…という方は、床に寝転がってやってみてください!そうすると、床を腰で押し返す感覚が分かりやすいです。腰の部分にタオルを入れると、さらに分かりやすくなると思います。座った状態であれば腰をさすりながら呼吸を繰り返すと、腰がほぐれてだんだんと空気が入ってくるようになるそう。
トレーニング②「後ろ脇刺激」
肩甲骨周りの余計な力みを抜くには、腕から体幹にかけての筋肉がちゃんと機能することが大事。余計な部分に力が入っていると、腕から体幹にかけての力を伝達する効率が悪くなってしまうんだそう。すなわち、いくらほぐしてもぶり返してしまう肩こりの原因にもなってしまうんだそう。ということで、肩回りの余計な筋肉の動きを制御しましょう!
~トレーニング方法~
まずは、両腕を上げてみてどれくらいまで上がるか、どこまで上げるとキツいと感じるかをチェックしてみましょう。
① 人差し指と中指を揃えて手と反対側の脇の後ろにあるくぼみを押さえます。その際、親指は人差し指に添えておきます。
押すポイントがうまく見つけられない時には、挙げる腕を一度テーブルなどに置きながら確認すると分かりやすいです!
② 指を脇の後ろから離した時に、指の感覚が残るくらいの強さで押しながら、腕をゆっくりと、大きく後ろ回しをします。何度か回したら、次は前回し。
どれだけラクに上げられるようになったか、チェックしてみましょう!変化を感じられたら、うまくできている証拠!
③ この動きを、それぞれ片腕ずつ行いましょう。
後ろ脇のくぼみには、体幹・肩甲骨・腕を繋ぐ筋肉がたくさん重なっている。
・くぼみを抑えて回すことで、使わなくていい筋肉を抑えられて、本来力を入れるべき部位だけが働きやすくなる!
トレーニング③「みぞおち抜き」で脱力の感覚を体験しよう!
改めて、みぞおちとは、へそと胸の間に位置するいわゆる「このあたりが胃だろうなぁ…」という箇所のこと。
そもそも自分が脱力できているのかを把握するのは難しい…!なので、急激に力を抜くことで、脱力する感覚を体験してみましょう。
①座骨を意識しながら座ったら、普段よりもみぞおちをぐっと前に出す感覚で胸を張り、前や上に引っ張られるようにして背すじを伸ばしたら、息を吸います。この際、頭は座骨からまっすぐの位置に置く感覚。両方の座骨で頭の重みを均等に感じ取りましょう。
②次に、口から息を吐きながら、急激に背骨を崩すイメージ(背中を後ろに抜く感覚)で、みぞおちを後ろ側に脱力します。
背骨を崩したときに、。頭は座骨の上をキープし、頭が前に出ないように注意しましょう。
背中は思っているよりも力みやすいので、みぞおちを抜くことで力が抜ける感覚を覚えていきましょう!
~中野崇さんのプロフィール~
・1980年生まれで、現在は大阪府在住。
・大阪教育大学 教育学部 障害児教育学科 を卒業。
・国内外のプロアスリートへの身体操作トレーニングや、スポーツトレーナーの育成に携わっている。
・東京2020パラリンピックでは、ブラインドサッカー日本代表の、フィジカルコーチを務めたほか、YouTubeをはじめとしたSNSなどで、一般の人でも実践できるトレーニングや、そのノウハウを発信している。