「生前予約」で自分の骨を霊園に郵送するサービスも…“無縁遺骨”4年で倍の現実
「終活」という言葉がめずらしいものではなくなった、人生100年時代の今。
大切な人だからこそ、「最期」や「いなくなったあと」を想像することはどうしても後回しにしてしまいがち…。
だけど、大切な人だからこそ、大切に考えたい、大切なことが「終活」には詰まっています。
連載「親の「終活」を考える」では、Sitakke編集部も自分事で「親世代の終活」に向き合います。
考えていますか?お墓のその後…
お盆などに帰省するタイミングって、家族やこれからについて考えるときでもありますよね。
そんなとき、家族みんなで考えてほしいのが『お墓』についてです。
今あるお墓は先々にどうするのか…。将来、残った家族の負担も、気にかかります。
中には「子どもに負担をかけたくないから」と、すでに墓を持たない決断をしている人も。
一方、家族との“縁”が切れたままの遺骨もあるんです。
合同墓は3年後にいっぱいになる?
札幌市ウェルネス推進部の藤田賢一施設管理課長にその実態を聞くと、「2019年度の倍ぐらいの数になっている」といいます。
札幌でも増えている引き取り手のない遺骨、『無縁遺骨』。その背景には何があるのでしょうか。
札幌市の平岸霊園にある『合同納骨塚』には、多くの遺骨が一緒に納められています。
今から10年前に増設しましたがここ数年、需要が増えていると言います。
最近、家ごとでの単独での墓を持たない人や、墓じまいをする人も増え、遺骨をここに納める人も増えているのだといいます。
札幌市ウェルネス推進部の藤田賢一施設管理課長によれば、「2027年度ごろにはいっぱいになると予測している」といいます。
『合同納骨塚』の需要を押し上げている要因のひとつが、引き取り手のない=『無縁遺骨』です。
札幌市の場合、無縁遺骨はすべて、市営の平岸霊園で『合同納骨塚』に納められます。
無縁遺骨は札幌市内だけで2023年度に623体。すでに4年前の倍近い数でした。
無縁遺骨を減らそうとしても、札幌市が遺骨の引き取り手を探すのは難しく、本籍地から戸籍を取り寄せて親族をたどるとなると、手間も時間もかかります。
関係者が見つかっても「仲が悪かった」「葬儀費用がない」などの理由で、遺骨の引き取りを拒むケースが増えているといいます。
こうした調査の間、遺骨は仮の保管場所に置かれています。その数、1000体以上…。
このまま2年間引き取り手が見つからなければ、“無縁遺骨”として『合同納骨塚』に納められます。
札幌市ウェルネス推進部の藤田賢一施設管理課長は無縁遺骨が増える背景について、「高齢単身世帯が増えていること」と、「家族や親族の関係が希薄になっていること」を挙げています。
生前に自分で予約する
“自分は無縁遺骨になりたくない…”
そんな思いに応えるのが、北海道三笠市の北海道中央霊園が行う『送骨サービス』です。
武田寛理事長が「生前から亡くなったら『送骨サービス』を利用したいという要望も多い」と教えてくれました。
「自分が亡くなって、身寄りがない人は、病院や介護施設の人が『送骨サービス』を利用して、霊園に遺骨を送って、その後霊園のスタッフが代行で遺骨を納めるサービスもあります」
この霊園で、永代供養つきの合同墓や樹木葬を申し込んだ人は、霊園まで遺骨を郵送する『送骨サービス』や『納骨の代行サービス』が、無料で受けられます。
この世を去った後のことを親族に任せるのではなく、生前に自分で決めて予約する。そうした人たちも増えています。
三笠市にある霊園が実施している『送骨サービス』は、まだ全国的にも珍しいサービスです。
開始以来利用者は10倍に
利用する際の手順を簡単に紹介すると、次のような流れになっています。
◇《送骨サービス利用方法》
(1)骨壺のフタをしっかり留めて、骨箱ごと専用の箱へ入れる。
(2)新聞紙など緩衝材を入れて梱包⇒郵便局から発送。
(3)霊園に到着後、納骨の代行も可能。
費用については、合同墓は3万9000円で、樹木葬は7万8000円からとなっています。
ともに永代供養つきで、送骨サービス、納骨サービス自体には料金はかかりません。
では、どんな状況で利用するのかというと、次のようなケースです。
◇《送骨サービスの利用例》
例えば、北海道外で亡くなった肉親を、三笠の霊園に埋葬する場合など、遺骨を遠くから自分の手で運ばなくても、郵送で送ることができます。
また、最近は“自ら生前予約”して、遺骨の発送だけを施設や知人に依頼しておくといった利用も増えてきたとのことです。
子どもいない夫婦の予約が多く、亡くなった後、無縁遺骨となることを防ぐことができます。
北海道中央霊園によれば、8年前にサービスを始め、当初は年10件ほどの利用だったとのことですが、ここ数年は、年間100件を超える利用があるそうです。
葬儀やお墓の考え方も多様化するいま、自分らしい最期の形を、自ら生前に考え、選択しておくこともいいのかもしれません。
連載「親の「終活」を考える」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年8月15日)の情報に基づきます。