Yahoo! JAPAN

Kolokol ONE MAN SHOW 「Universe」、21曲で綴られた物語が見せたもの

SPICE

Kolokol

Kolokol ONE MAN SHOW 「Universe」


2021.10.16 1000CLUB

大阪出身の4人組Kolokolは今、国内女性アイドルシーンで最も良質な歌を歌っているグループのひとつだ。彼女たちのほぼすべての楽曲を手掛けるメインソングライター西羅和貴がつくり出すサウンドは丹念に練り上げられたものが多く、キャッチーなギミックや力技で耳を惹くような派手さよりも、しっかりと歌に寄り添うことを意識した音づくりが特徴だ。そのせいか、楽曲のひとつひとつが熟練の職人が作り出す伝統工芸品のように思えてくる。ストリングスの使い方も巧みだし、その丁寧さは西羅の実直な人柄すら透けて見えてきそうなほどで、かなり稀有なソングライターだと言える。

そんな彼が生み出す楽曲と相互に作用しながら着実に実力と評価を高めているのがKolokolの4人である。10月16日に行われたワンマンライブ<Universe>の会場に選ばれたのは横浜1000 CLUB。彼女たちにとって過去最大キャパの会場だ。場内は多くの観客で埋め尽くされ、期待で満ち溢れてるポジティブな空気が流れていた。ステージには折り紙で織った花のような電飾がそこかしこに飾られ、その中央には六角形のドリームキャッチャーのようなオブジェが光を放っていた。Kolokolの世界観を表現する上でよく挙げられるのは、「中世」「東欧」「おとぎ話」といったファンタジックなワード。今回のステージセットはそのイメージをさらに広げるものとなった。

Kolokol

Kolokol

本公演のために書き下ろされたオープニングSEは、牧歌的な雰囲気から一転して勇ましいサウンドへと展開。そして、メンバー一人ひとりがまっすぐに各々の立ち位置についたあとに始まったのは、7月に3曲同時配信された新曲のひとつ「BRAVADO」だった。正直に言うと、序盤は硬さが目立った。もっと伸びやかなボーカルだったはず。振りももっとキレていたはず。しかし、その違和感は徐々になくなり、4曲目「Rebellion」の勢いに後押しされるように4人の動きがいきいきとしていく。高橋あきほの力強いビブラートにハッとさせられた。

個人的に大好きな曲は7曲目「Lullaby」。EDM色の強いこの曲はフェスやイベントで多く披露され、初見の観客をよくオトしているようだ。それぐらい殺傷能力が高い。現に自分もこの曲でKolokolの魅力に気づいたクチだ。EDMと言ってもそこまで押し出しは強くない。むしろ、控えめとすら言える。もう少し派手な音づくりにするだけでより多くの耳を捉えることもできそうだが、敢えてそうしないのは彼女たちの楽曲のよさと言える。さらに、この曲の振りが素晴らしい。サビパートでは4人が両腕を挙げながら飛び跳ねるというシンプルなもの。しかし、このシンプルさこそが観る側の高揚感をグイグイ高めるのである。フロアの観客も一緒になって飛び跳ねる光景には感動すら覚える。そりゃあ初見も落ちるわ。天才的な振りだと思う。

高橋あきほ

藤本さき

ところで、ライブはここまで一切休みがない。結局、最初のMCパートが訪れたのは、ファンが大喜びで飛び跳ねていた10曲目「The Circus is Coming」が終わったあと。恐るべきスタミナだ。藤本さきは挨拶後すぐに「自分たちのためにこんなに(人が)集まってくれてると思わなくてちょっと泣きそうになった!」と開演直後の心境を興奮気味に告白。そうか、硬そうに見えたのは感極まっていたせいだったのか。その後は、本公演で初披露となった新衣装について藤本、佳凪きの、高橋、真嶋このみの順でうれしそうに解説していく。独特な世界観のパフォーマンスとわちゃわちゃしたトークとのギャップが楽しい。ここで、高橋がこっそりジムに通っていることが藤本によって暴露された。

真嶋このみ

佳凪きの

このMCでも顕著なのだが、Kolokolは各メンバーの声質がバラバラなところも特徴だ。ステージから遠くて顔が見えなくても、その声で誰が歌っているのか比較的簡単に判別できる。声のトーンが高い順に藤本、佳凪、高橋、真嶋。藤本は気持ちよく抜けていく高音が持ち味で、それが少年性を感じさせる場面もある。そして、アニメ声に近い印象的な声がフックになり、キュートさや儚さを表現するのは佳凪だ。高橋のクセがなくストレートな歌声はここぞという場面で力を発揮し、楽曲を推進。真嶋の低音が効いたボーカルはユニゾンに厚みを加えたり、曲全体に力強さを与える。

彼女たちの曲は1声、2声、4声で歌われることが多く、その配置や組み合わせによって各楽曲に込められた感情やストーリーがより豊かに綴られる。どういう順番でパートが割り振られているかに注目して聴いてみるとなかなか楽しい。言い換えると、彼女たち一人ひとりの声がKolokolの楽曲というストーリーを語る上では不可欠なのである。当然、彼女たちはそのことを十分理解し、各自が役割を果たすことで各楽曲の物語が完成する。だから、独りよがりな歌を歌うメンバーは一人もいない。観客はそんな彼女たちの歌と姿勢により強く惹きつけられるのではないだろうか。その思いはライブが進んでいくうちにより強くなっていった。

Kolokol

Kolokol

話の流れで彼女たちの振付について話をしよう。Kolokolのダンスは技術力よりも表現力を重んじているように見える。むしろ、Kolokolの音楽に高度で複雑な振付は必要ないのではないか。要所々々で見せるキメの力強さや4人の連携こそが肝だと思うし、各メンバーの動きが流れるように隣へとつながっていくさまが美しい。自分はこの日、一人ひとりの個性よりもトータルの連帯感に痺れることのほうが多かった。

実際、MC明けの「Miss Shooting Star」は振りの連携も見どころだと思うし、真上や直線に向けてビッと伸びる手の力強さが楽曲にさらなる命を吹き込んでいた。ライブはちょうど中盤に披露されたこの曲からギアが一段上がるのを感じた。「Doodle」「Bookmark」と人気曲が続き、1stアルバム『nostalgia』に収録されている「Mr. A」のイントロが鳴った瞬間、会場がこの日一番の歓喜に包まれた。

ちなみに、Kolokolの楽曲はロック、EDM、ポップスの3つに大きくタイプ分けすることができるが、不思議と似た曲が存在しない。よって、これらの楽曲がつらなることで大作ファンタジー映画のような<Universe>が構築されていくのである。

Kolokol

Kolokol

そんな映画的なムードがいい意味で崩れるのは、やっぱりMCパート。「Pale Star」で凛々しいパフォーマンスを見せつけた直後、ゆるゆるな雰囲気の中で本公演のために作られたグッズの紹介がスタート。しかし、最後に重要な情報が高橋から伝えられた。来年1月23日に彼女たちが目標にしていた大阪BIG CATでのワンマン公演決定である。もちろん、大阪で行われる単独公演としては過去最大規模となる。

そして、ラストはイントロでどよめきが起こった「Give it up」に始まり、「Rascal」「forgive」と畳み掛け、大名曲「Witch」で締めたのである。披露したのは21曲という大盤振る舞い。ワンマンライブということもあり、フェスやイベントでよく披露される楽曲は敢えて封印していたので、熱心なファンにとってはうれしいセットリストだっただろう。とはいえ、アンコールがなく終わってしまったことに自分は少々不満だった。しかし、だからといってそれがあれば満足するというわけでもない。なぜならKolokolの歌は何時間でも聴いていたいから。音圧で押しまくるような音づくりをしていないから耳が疲れないという理由もあるが、やっぱり、曲とパフォーマンスがとにかくいい。Kolokolのライブは、どんな長さでどんな曲が披露されようが、毎回“神セトリ”なのである。

Kolokol

Kolokolは本当に素晴らしい。メジャー各社が目をつけていないのが不思議なぐらいだ。現在、一部の人間だけの間で楽しまれているKolokolが綴る物語は、いつ広い世界へと飛び出していってもおかしくない。今はただ、できるだけ長く、たくさん4人のステージを観ていたい。この場所をいつまでも大事にしたい――そんなふうに思えるアイドルに出会えたことは幸せだ。この幸せがもっと多くの人に届いたらいい。

取材・文=阿刀"DA"大志 撮影=真島洸

Kolokol


【関連記事】

おすすめの記事