ヒグマの木登りがこんなに速いなんて!絵本を読んでから旭山動物園で見た驚きと不思議
子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」、そして2児の母でもある、HBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち・さやか)がご紹介します。
ひぐまを読んで、さらにヒグマを知る特別な機会
7月上旬、HBCテレビ「北海道ZOOキーパーズ~世界一近い動物の素顔~」のコラボバスツアーへ!
旭山動物園で、取材と、絵本の読み聞かせをさせていただく機会がありました。
読んだのは、以前紹介させていただいた旭山動物園の飼育員だったあべ弘士さんの絵本『ひぐま』(ブロンズ新社)です。
読み聞かせのあと、旭山動物園の統括園長・坂東元さんにインタビュー。
絵本の内容に紐づけて、さらに詳しくヒグマの生態についてお聞きすることができました。
ヒグマの妊娠・出産・子育てなど、不思議な生態に、子どもはもちろん大人も興味津々!
「読んでおしまい」ではなく、絵本から会話が広がったり、疑問が生まれたりすることは、読み聞かせの醍醐味ですね。
この記事では、坂東さんから教えていただいた話を一部公開します!
えぞひぐま館で、ヒグマの木登りを観察!
旭山動物園は、動物たちの能力や行動・感性を発揮できるような環境づくり=「行動展示」を大切にしていることで有名ですが、ヒグマの木登りを目の前で見られるとは!
砂川市で親とはぐれて衰弱していたところを例外的に保護された、ヒグマの「すなすけ」。
「飼育員=ZOOキーパー」の佐賀さんが木の上に果物を置くと、すなすけはあっという間に木をよじ登り、てっぺんへ。
上半身の筋肉で木を登る姿は、人間にはマネできないパワーだけでなく器用さを感じさせました。
人間が森でヒグマに遭遇したとき、木の上に逃げてもダメということがリアルに実感できる一幕でした。
行動展示の生みの親、坂東元さんから学ぶヒグマ
この物語では、冬のあいだ母グマが巣穴の中で出産し、すくすくと育った子グマたちが巣穴の外の世界へ顔を出す様子が描かれています。
読み聞かせのあと、統括園長の坂東元さんに質問をしてみました。
―実際に、ヒグマは冬眠中に出産するのですか?
そうです。ヒグマの妊娠は人間とちょっと違います。
交尾の時期はちょうど今頃(初夏)ですが、受精したあとすぐに着床はしません。
母グマが秋にどんぐりなどをたくさん食べて、十分な脂肪がつくとようやく着床するという不思議な生態なんです。
実際に妊娠している期間は数か月ですね。
―冬眠中にどうやって子育てをしているのですか?
蓄えた脂肪を母乳に変えているんです。
冬眠中、排泄はしません。全てを母乳に変えて、子どもたちに与えているんですね。
変わった生理機能でしょう?
冬眠といっても、実際にはずっと寝ているわけではないので、「冬ごもり」ですね。
―冬眠中、寝ていないのですね!
そう。だから、冬眠していると思って山に入って大きな音を出すと、クマがいきなり出てくるということもあります。
メスだけでなく、オスも同じくそうです。外の音はちゃんと聞こえていますから。
巣穴の中で育った子グマたちが春になって初めて穴から出たとき、「これがあの音の正体か!」と確認しているんだろうな…とか、想像しちゃいますね。
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このほか「親子グマがどうして人里に出てくることが多くなっているのか」や、「ヒグマの親離れ」などについても坂東さんの考えを伺いました。
ZOOキーパーになるにはどうしたらいいかなど、子どもたちからは将来を見据えた質問もありましたよ。
今シーズン話題のマヌルネコ舎も!
北海道内では旭山動物園でしか飼育していないマヌルネコ。
今シーズンは増築をして特に注目ポイントとなっている「マヌルネコ舎」で、マヌルネコの捕食の様子も見せていただきました。
マヌルネコ担当のZOOキーパー土井さんが置いたエサをなかなか食べようとしないマヌルネコのグルーシャ。
あきらめたのか、土井さんはどこかへ行ってしまいました…。
するとグルーシャがのそのそと動き出し、エサを食べ始めたではありませんか!
実は土井さん、あきらめたわけではなく「自分が見えないところにいかないと、この子はエサを食べないんですよ」と理由を教えてくれました。
マヌルネコがエサを食べる瞬間や、ヒグマが木に登るようすを見られたのは、普段から動物たちと接しているZOOキーパーが、それぞれの特性や性格を把握したうえで素顔を引き出してくれたから。
個々の動物たちとの強い信頼関係が伝わりました。改めて尊敬します!
お客さんである私たちが、単に「かわいい」だけでなく「すごい!」「面白い!」と感じられるような動物たちの本能を引き出す工夫をしている旭山動物園。
そして、命と真剣に向き合い続けるZOOキーパーの皆さん。
これからも注目して取材を続けたいと思います。
【取材協力】
旭山動物園
坂東元 統括園長(ボルネオ保全トラストジャパン理事)
1986年酪農学園大学獣医学部獣医学科卒業後、獣医として旭山動物園に入園。
飼育展示係長、副園長を経て、2009年から園長そして2024年から現職へ。
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「連載コラム・今月の絵本通信」
文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
HBCラジオ「清かなる朗読」(日曜あさ6時~)、Instagramも更新中!
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は2026年7月の情報に基づきます。