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群馬県・館林市でハマる里沼 5選 ー春のお出かけおすすめ ー

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群馬県館林市周辺では、豊かな水源や湿原が多く、5つの沼は文化庁の日本文化遺産「里沼」として認定されています。古くから人々の生活に深く関わり、共存し、歴史も生み出してきました。ここでは館林の里沼と周辺の歴史や文化についてもご紹介しましょう。

館林市の自然と歴史について

四季折々の自然が美しいつつじが岡公園

群馬県南東部、つる舞う形の群馬県の頭の部分に位置する館林市。南北に渡良瀬川や利根川が流れているため、豊かな水資源と自然環境に恵まれ、様々な動植物が生息しています。

桜やツツジ、花菖蒲、花ハス、ヒガンバナなど数多くの植物が四季折々を彩り、風光明媚。また野鳥も多く、越冬のため白鳥も訪れるエリアです。

旧館林藩主秋元家の別邸

館林市周辺では、縄文時代の集落や土器・石器・住居跡などが発見され、今から1万年以上も前から人が住んでいたともいわれています。

鎌倉時代には佐貫氏一族、室町時代には赤井氏一族が勢力を持ち、戦国時代には館林城を巡って戦闘が繰り広げられ、上杉氏や足利長尾氏、北条氏、榊原氏と城主を変え、この頃に10万石の館林藩が誕生し、江戸幕府の拠点として重要な役割を果たしました。

明治の廃藩置県で群馬県に編入、東武鉄道の開通で館林は経済的にも発展し、近代都市館林市として現在に至ります。

日本遺産に認定される館林の里沼

日本遺産とは

文化庁が認定する日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化と伝統を伝えるストーリー。地域が総合的に整備・活用し、周辺の有形・無形文化財などの魅力も発信することで、地域活性化を目指すことを目的にしています。

歴史と文化を育んだ館林の里沼

館林の豊かな自然を支えてきたのが、周辺にある沼。これらのうちの5つの沼が日本遺産の里沼に認定されています。

人が沼を生かすことでよい環境を保ち、沼が歴史や文化を発展させ、沼は自然の恵みによって人々の生活を支えてきたのです。

館林の沼は人里のそばにあったため、人間との良好な関係が保たれ、歴史や文化が育まれてきました。

館林5つの里沼をめぐる

館林市にある5つの沼は、祈り・実り・守りの沼と呼ばれ、それぞれ特性が異なります。ここでは沼ごとの歴史や特徴、そして、周辺の魅力もご紹介しましょう。

実りの沼「多々良沼」

多々良沼の風景。

多々良沼は、利根川と渡良瀬川にはさまれた低湿地にある湖沼群の一つです。奈良から平安時代にかけて蹈鞴(たたら)製鉄が行われたことから、多々良沼と名付けられたのだそう。

中世時代に沼を開削し農業用水を引き、二毛作を盛んに行うようになったため、麦の産地として発展を遂げました。館林うどんや落雁、醤油が名産物として知られています。

ナマズも水揚げされ、天ぷらや丼などが今でも名物料理として愛されています。

越冬で飛来してきた白鳥の姿。

また多々良沼周辺では、数多くの野鳥が見られます。また例年11月中旬から3月中旬ごろまで白鳥が飛来し、カメラマンにも人気のスポットです。バス釣りもできることで知られています。

浮島辨財天。

さらにお天気の良い日には上毛三山、日光連山をはじめ富士山も眺望でき、浮島辨財天が沼の西側に鎮座しているので散策がてら、参拝も楽しめます。

守りの沼「城沼」

城沼の様子。

城沼は市街地の東側に位置し、周囲約5kmの大きな湖沼です。沼を要害に掘と土塁で守られた館林城は城下町として発展した歴史を持ちます。城と躑躅ヶ崎を守ってきたことから、守りの沼といわれています。

この城沼には2つの伝説があり、今でも語り継がれています。

一つは「龍神伝説」。普導本堂寺に「竜の井・青龍の井戸」と呼ばれる2つの井戸があり、寺が現在の位置に移った際、沼に住んでいた青龍がこの井戸に龍神が姿を消し、青龍の井戸から女官姿の清瀧権現が姿を現したというもの。

もう一つは「つつじ伝説」。400年ほど前、お辻という女性が龍神に気に入られ、城沼に入水し命を落としました。これを悼んだ住民が沼の近くの高台につつじを植え、躑躅ヶ崎と呼ばれるようになり、歴代藩主もつつじを植え続け、高台を築山に、城沼を池にみたてた、回遊式の大名庭園が誕生しました。

渡し舟の乗り場もある。

江戸時代城沼は禁猟区でしたが、明治維新後には里人に開放され、花山とも呼ばれるようになり、つつじを愛でる人が集い、渡し舟も営まれるようになりました。

春はつつじ、夏はハスなど四季折々の花々が咲き誇り、冬には他の沼との間を白鳥が行き来する姿も見られます。またバスやヘラブナの釣りも楽しめるのも大きな魅力の一つです。

尾曳稲荷神社。

近くには館林城の守護神として崇められてきた尾曳稲荷神社や、榊原康政のお墓がある普導寺、そして群馬の文豪、田山花袋の旧居などたくさんの見どころがあります。

普導寺

祈りの沼「茂林寺沼」

茂林寺沼及び低地湿原。

茂林寺沼は近くにある茂林寺の信仰から、祈りの沼といわれています。

かつて、沼や川の近くには湿地や湿原、平地林が広がり、鯉や鮒などの川魚やトンボなどの水生動物が生息していました。菱や藻などの植物やたぬき、蛇、野鳥などの生物も沼の近くにある「平地はやし」で見ることができましたが、都市 などの開発や発展で姿を消しつつあります。

茂林寺沼の様子。

しかしこの茂林寺沼周辺は、関東地方でも貴重な低地湿原で、現在も沼の原風景をとどめています。これは茂林寺の存在が大きく関わっているのだそう。

茂林寺。

茂林寺は1426年に祈りの場として開山された、館林を代表する名刹。日本昔ばなしなどでも有名で、狸の化身・守鶴がもたらしたという「分福茶釜伝説」が語り継がれています。

境内にはたぬきがたくさん。

古くから茂林寺では、本堂・山門の屋根に葦を使っており、沼で育った沼茅で屋根などの張り替えを行なってきました。このため、長い年月の間生態系が維持され、沼と人が共存を果たしてきたのです。

祈りに訪れる人が今でも後を絶たない茂林寺にちなんで、祈りの沼といわれています。

祈りの沼「蛇沼」

蛇沼の様子

茂林寺沼の東側に位置する周囲約1kmの蛇沼は湿原が広がり、こちらも祈りの沼といわれています。沼の近くにある間掘遺跡では、縄文時代の石器や土器が出土され、縄文人が祈りを捧げていたことがわかります。

実りの沼「近藤沼」 

釣り人で賑わう近藤沼

館林市の南西部にある周囲約2.5kmの近藤沼は、明治時代には、歯状の水田と水路があり、沼の土を掘りあげて作ったため「ホリアゲタ」「キロコボリ」と呼ばれていたのだそう。農地の水源として、大きな役割を果たし人々の暮らしを支えてきたため、実りの沼といわれています。

おわりに

自然と歴史あふれる日本遺産「館林市の里沼」をそれぞれの特性と魅力とともにご紹介しました。実り・守り・祈りと沼の役割がありますが、人と共存することで守られ、現在もその姿を残しています。

四季折々の花々、動物、そして周辺の歴史、観光スポットなどとともに、沼の原風景を楽しみに館林に足を運んでみませんか?

<以下参考サイト>
https://www.tourism.jp/tourism-database/glossary/japan-heritage/
https://www.city.tatebayashi.gunma.jp/s002/shisei/020/020/20200103231000.html
https://sato-numa.jp/satonuma/

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