水道水のPFAS検査 市内すべての水源地に拡充
人への有害性が指摘されている化学物質の有機フッ素化合物(PFAS)について、赤穂市は上水道で実施する水質検査の調査箇所を今年度から市内すべての水源地に拡充した。
市は有機フッ素化合物の検査結果を公表していないが、「国が定める目標値を下回っており、問題はない」とし、今後公表するかどうかは「国が対応を検討しているところなので、その動向をみて判断する」(上下水道部浄水係)としている。
環境省の資料によると、PFASには1万種類以上の物質があるとされ、代表的なものとして金属メッキ処理剤や泡消火薬剤などに使われたペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)と界面活性剤などの用途があるペルフルオロオクタン酸(PFOA)がある。自然界で分解されにくく、コレステロール値の上昇や発がん、免疫系などとの関連が報告されている。どの程度の量で影響が出るのか現時点では明らかになっていない。
厚生労働省は有機フッ素化合物を「水質管理目標設定項目」に位置付け、水道水で「1リットルにつき50ナノグラム以下」とする暫定目標値を定めたのを受け、市は2021年度から上水道の水質検査項目に追加。市内5か所の水源地のうち、木津第2は年2回、木津第1は年1回、東有年と原は2年に1回検査してきた。今年度からは東有年と原の検査頻度を毎年1回に増やし、新たに真殿水源地と木津の千種川を検査箇所に加えた。市は「PFASに対する社会の関心が高まっていることを踏まえた」(同係)としている。
市は現在、全部で90項目の水質検査を実施しているが、検査結果を公表しているのは大腸菌や重金属類など水道法で検査が義務付けられている「水質基準項目」(51項目)のみで、水質管理目標設定項目(27項目)と市が独自に設定している項目(12項目)については「公表する義務がない」として公表していない。
情報公開請求で開示された21〜23年度の有機フッ素化合物の検査結果によると、21年9月に東有年、23年9月に木津第1でそれぞれ「1リットルにつき5ナノグラム」を検出。市は「暫定目標値の10分の1の値であり、水道水として問題はない」(同係)としている。その他の検査結果はすべて「検出限界値未満」だった。
有機フッ素化合物をめぐっては、国内では沖縄県や神奈川県の米軍基地周辺、大阪府の工場周辺の河川などから目標値を超える値が相次いで検出。東京の多摩地区で行われた血液検査では、住民の血中濃度が国のかつての調査より約3倍高いことが明らかになった。国は全国の都道府県と水道事業者に今年9月末までに検出結果を報告するよう通知した。