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「次はハワイで会おう!」ホストファミリー初挑戦で見えたわが子の「人間力」 完璧な英語は一切不要

コクリコ

「次はハワイで会おう!」ホストファミリー初挑戦で見えたわが子の「人間力」 完璧な英語は一切不要

この夏、憧れのホストファミリーに初挑戦しました。英語は得意じゃなくても大丈夫。リアルな英会話実践の体験から得た予想外の収穫と、親も子も成長できる異文化交流のリアルを紹介します。

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小学3年生と6年生の子育て中、エニママライターの松永祐子です。

長年温めてきた「ホストファミリー」になる夢をこの夏叶えました。私の計画に巻き込まれた子どもたちの反応とは……?

子どもに異文化体験をさせたい、英語を好きになってほしい……そう願うママパパは多いのではないでしょうか。この夏、わが家では思い切ってハワイ出身の大学生をホームステイで受け入れました。

特別な英語スキルを持ち合わせていない私でも、留学生と楽しく生活ができたのか? 子どもたちの素直な反応は? 挑戦してみてわかったホストファミリーになる魅力を、子どもたちの様子とともにご紹介します。

この記事を読めば、異文化交流への一歩を踏み出す勇気が湧いてくるはずです。

なぜホストファミリーになろうと思ったのか

私は高校1年生のとき、オーストラリアに留学したことがあります。現地のお宅に3週間ホームステイし、ホストファミリーにとても温かく迎え入れてもらいました。毎日の生活や食文化の違いに驚き、英語が実際に伝わる嬉しさに「ときめき」とも言える感動を覚えました。

いつかこの心に残る体験を自分の子どもたちにも経験してほしい……と考えていたものの、いきなり海外に行かせるのはハードルが高い。そこで、思いついたのが日本への留学生のホストファミリーになることでした。

ならいごとや学校の勉強とはひと味違う、実生活のなかで使われるリアルな英語のコミュニケーションを通じて、海外の文化を身近に感じられるのではないか。そして、あのときの「ときめき」を今度は受け入れ側として経験できればと、チャレンジしてみたい気持ちが高まりました。

調べてみたところ、自宅の近くにある大学がホストファミリーを募集していました。滞在期間は6週間。そんな長い間、英語中心の生活ができるのか、と心配になりましたが「勉強のため、積極的に日本語も話してほしい」との記載に心理的なハードルが下がり、応募してみることにしました。

「留学生はどんな人だろう」子どもたちと準備

まずはじめにしたことは、家族への相談です。私がなぜホストファミリーをしたいのか、どんな生活になりそうか、なるべく想像できるように説明しました。

単身赴任中の夫は留学経験があり、子どもにとってよい経験になりそうだし、空いている自分の部屋を使っていいよ、とあっさり賛成してくれました。また、はじめは予想もしない展開に混乱気味だった子どもたちも、未知の体験に興味がわきはじめ「一緒にご飯を食べるのは楽しそう!」とだんだんと乗り気に。

最終的には「どんな人か早く会いたい!」と、むしろ子どものほうが楽しみに待ってくれるようになりました。

単身赴任中の夫の部屋を模様替えすることで、留学生をひとり受け入れることが可能に。子どもたちとウェルカムメッセージを用意して到着を待ちました。

事前にもらったプロフィールによれば、留学生はハワイ出身、19歳の大学生で名前はケイティ。普段は両親と暮らし、大学では生物化学を専攻していて、旅行が好きとのこと。英語で書かれているものを、子どもたちと一緒に読んだことも英語の勉強につながりました。

また「日本語をたくさん学びたい」「日本食が好きで料理を一緒にしたい」と少しぎこちない日本語で書かれたメッセージを見つけ、子どもたちは大喜び。「日本語はどのくらい通じそうかな?」「ケイティとしたいことは?」など、留学生の受け入れが親子共通のミッションとして会話が弾むきっかけとなりました。

ケイティと過ごすなかで見えた新しい子どもの姿

対面式の日、私たち親子は緊張の面持ちでケイティを迎えに行きました。姿を見せたケイティは私たち以上に緊張している様子でした。「外国で知らない人の家に泊まるのだから緊張するよね」と私は妙な安心感を覚えましたが、子どもたちは話しかける勇気がないのか遠目に様子を見ているばかりでした。

しかし、翌日になると子どもが思った以上にリラックスしていて、ふだんと変わらないことに驚きました。初日は様子を窺っていた長男が、自分の家に戻った安心感からか「Good morning」と挨拶をし、ケイティから朝食を置く場所を聞かれると「Yes!」「No!」と簡単なコミュニケーションを取りはじめました。

その後も長男は、英会話アプリで培った日本語まじりの英語で話しかける→伝わらない→翻訳アプリで調べて会話を再開、とケイティとのコミュニケーションを進化させていきます。日本語に興味のあるケイティは、長男が日本語と英語をミックスさせて話すのがおもしろいらしく「タノシイ」「オモシロイ!」と日本語で反応してくれ、そのたびに子どもたちと大笑いしていました。

長男がケイティのためにつくった日本語ドリル。全問正解で花まる100点満点!

恥ずかしがり屋の次男は、自分から積極的に話しかけることまではしないものの、いつも自然体でいました。いつもどおり歌を歌ったり得意の遊びをしていると「You are a good singer!」などとケイティのほうから声をかけてくれ、気がつけば仲よくなっていました。

次男は得意のテレビゲームでケイティと交流。ふだんは落ち着いている彼女ですがゲームになると次男以上に大きなリアクションで楽しんでいて、大盛り上がりでした!

私自身は、英語学習アプリで毎日英語に触れていたため、まったく話せないわけではありませんでしたが「ちょっとした単語がでてこない」という事態は多々起こりました。ケイティとは週に4~5回ほど一緒に夕飯づくりをしていたのですが「レタスをちぎる」や「炒める」は英語で何といえばいいの? 文法はこれであってる? など毎回、疑問が浮かびます。

そんなときにふと思い出したのが、「積極的に話しかけ、わからなければ調べる」を繰りかえす子どもの姿でした。ジェスチャーをしながら「How do I say?」とヘルプを求めると、「ちぎる」は「break off」、「炒める」は「sear」を使うと教えてもらいました。「わからないこと=会話のきっかけ」になるんだと学んだ瞬間でした。

リアルな会話のなかではこんなふうに英単語を使うのか! と、驚くたびに書き留めておいたメモ。「I'm not picky!」と聞いて意味を調べてみると「好き嫌いはありません」。これを聞いて安心したことは言うまでもありません。

私がつくる様子を「ムズカシイ……」と見ていたケイティも、滞在後半には卵焼きづくりに挑戦! 料理を毎日一緒にすることで「Please mix the eggs.」など、自然と英語のコミュニケーションが生まれ、教わった英単語の反復練習にもつながりました。

英語が得意な姪と甥も誘って、日本の伝統を身近に感じられる酒蔵見学も。私自身も勉強になり、みんなで日本文化を楽しむことができました。

ケイティは、積極的に和菓子や日本食に親しみ、週末のアクティビティも一緒に楽しんでくれました。毎日一緒に過ごすなかで、ハワイに住む家族の話(祖母や親戚、犬も一緒に住む大家族と判明!)や、日本でできた友だちの話など深い話もできるようになり、私は再びあのときの「ときめき」を思い出すことができました。

また、子どもたちはスムーズに言葉が通じなくても「仲よくなりたい」という気持ちだけでどんどんとコミュニケーションをとっていました。考え込んで立ち止まるより、できそうなことをやってみればいいという、とてもシンプルで本質的なことをホストファミリーの体験で子どもたちから教わった気がします。

滞在最終日は、家族みんなで空港まで見送りに行きました。そこでは、ほかの家庭に滞在していたハワイやイギリスからの留学生と混ざって、一緒に話をするという思いがけない体験もできました。息子たちはケイティとハグをし「次はハワイで会おう!」と目をうるませていたのが印象的でした。

ケイティからの提案で、一緒に作ったシナモンロールを食べるケイティ(左)と長男。英語と日本語のレシピ、どちらでつくるか悩んだ結果、温度や量の単位が使用する調理器具と合わせやすい日本語のレシピでつくることに。

「一緒に生活する」は大人にも子どもにも最高の教材だった

正しい文法や発音は、ホストファミリーになるために必ずしも必要ではありません。それよりも、日常で使っている日本語を自分の知っている英単語に置き換えて「使ってみる」ことが一番の学びになると気づきました。そして会話のなかで「伝わった!」という体験ができれば、英語のコミュニケーションはどんどん楽しく、深くなります。

スマートフォンのなかには、翻訳アプリや写真など言語の異なる人とのコミュニケーションを助けてくれるツールがたくさんあります。「違ってあたりまえ」と心を開き、いざというときに頼れるツールを用意しておくことで、英語コミュニケーションはきっともっと気軽に楽しめるのではないでしょうか。

世界共通で楽しめる遊び、トランプもコミュニケーションツールに! 同じ「スピード」というゲームでもハワイと日本ではやり方が違っていて驚きました。

今回のホストファミリー体験では、英語をひとつのコミュニケーションツールとして使う楽しみ方と、異なる文化を共有し合うおもしろさを子どもと一緒に体感することができました。留学や海外生活に興味はあるけれど、一歩踏み出せないときには、日本にいながらできる「ホストファミリー」という選択を考えてみてはいかがでしょうか。

※記事内写真はすべて撮影:松永祐子

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