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地域密着の住宅会社が地元企業との商品開発プロジェクトを展開するわけ。ビームスディレクターズバンクの監修で地域の技を生かす

LIFULL

「新しい郊外生活」をテーマとしたCNSLプロジェクト

株式会社エサキホーム 代表取締役社長の江㟢 豪治氏(右)株式会社ビームス ディレクターズバンク シニアクリエイティブディレクターの南馬越 一義氏(左)

企業が社会の一員として社会貢献を求められる中、住宅産業も例外ではない。
顧客へのサービス深耕はもとより、地球温暖化対策としての住宅の断熱性能向上やサステナビリティに寄与するリサイクル、企業としての地域貢献にも目が向けられている。またコロナ禍を経て、リモートワークが浸透するにつれ住宅や暮らし方の変化に対応することも求められている。

そんな中、東海エリアを中心に地域密着の住宅を展開するエサキホームは「新しい郊外生活」をコンセプトにCNSL(create for your new suburban life)プロジェクトを立ち上げた。
プロジェクト発案とプロジェクト内で開発された商品の監修に関わるのはアパレル業界を牽引し、時代の少し先をいくボーダレスなカルチャー発信で知られるBEAMS(※以下、ビームス)の中の個性あるディレクターたちの集団、ビームスディレクターズバンク。ビームスディレクターズバンクは、ビームスのキャリアで培ってきたノウハウを生かして、企業へのソリューションを行う集団である。

住宅会社と、ファッション・カルチャーを生業としてきたビームスディレクターズバンクが考える「新しい郊外生活」へのアプローチとはどのようなものなのか。
その背景と内容、狙いを株式会社エサキホーム 代表取締役社長の江㟢 豪治氏と株式会社ビームス ディレクターズバンク シニアクリエイティブディレクターの南馬越 一義氏にお話を伺った。

地元企業と商品を開発するプロジェクトが生まれたきっかけ

「地域密着の住宅会社であるエサキホームと“新しい郊外生活”をいかに表現するかを考えた」という南馬越 一義氏

先んじて地域のモノづくりや商品開発を数多く支援してきたビームスディレクターズバンク。
南馬越氏は、エサキホームとの出会いは、大垣共立銀行とのつながりだったという。
「地域のモノづくりや商品開発を支援する中で、クラウドファンディングに関わり、そのつながりから銀行経由でエサキホームをご紹介いただき、本プロジェクトのアイディアをご提案しました」(南馬越氏)

エサキホームの江㟢社長は
「ファッションも好きな私は、ビームスは買い物をする一顧客として接してきました。“インテリアや外観のデザインではなく、地元企業と商品を開発するプロジェクト”という内容は、会社としては最初はとまどいましたが、当時の担当者の熱意と南馬越さんのような方との繋がりは、必ずプラスになるという確信がこのプロジェクトを後押ししました」と話す。

「住宅会社とのプロジェクトをご一緒するのは、私にとっても初めてです。地域密着の住宅会社であるエサキホームと“新しい郊外生活”をいかに表現し、暮らしのユーザーのワクワク感を引き出していくか。このプロジェクトを通じてチャレンジができると思いました」と南馬越氏はいう。

核となるコンセプトは「新しい郊外生活」

CNSLプロジェクトの核となるコンセプトは「新しい郊外生活」。
郊外での暮らし方はコロナ禍以降、リモートワークの普及などにより大きく変化してきた。住まいは従来の“仕事の疲れを癒やしリラックスできる場所”という役割以外にも、もうひとつ“家族がいても仕事に集中できる場”として機能することが求められている。

住まいのこの変化に対応するため、CNSLプロジェクトでは造り付けの家具やインテリアではなく、自分でアレンジやカスタマイズが可能なプロダクトを企画している。これにより、住む人が自由に空間を変化させたり、多様なライフスタイルに対応できる柔軟性のある暮らしを目指した。

さらに、このプロジェクトは新しいコミュニティ形成とカルチャー創造への可能性も秘めている。郊外の住宅を軸に、隣人との繋がりや新しいライフスタイルの創造のきっかけとなるようなプロダクトを生み出し、ゆくゆくは地域全体で新しいカルチャーが生まれることが期待される。

サステナビリティの観点と地域素材や技術を生かしたプロダクト企画

上:着るビーズクッション 左下:有松絞りのニットウェアとバック 右下:家になれなかった家具

CNSLプロジェクトのプロダクト開発においては、「地元の素材や工房を活用したい」という南馬越氏の強い思いがあった。これは南馬越氏が長年「ローカルのモノづくり」に携わってきた経験と暮らしへ延長線上にあるものだ。
地域密着の住宅会社であるエサキホームらしいモノづくりを…と企画されたプロダクトの第一弾は「地域事業者」×「デザイナー」がテーマとなっている。
具体的なプロダクトとしては、以下のようなものがある。

着るビーズクッション
→日本最大の毛織物産地・尾州。その生地を使った郊外のリラックスした生活にふさわしい、着たまま寝転がれるビーズクッション
家になれなかった家具
→プレカット工場で出る端材を再利用したベンチやスツール。捨てられるはずだった端材をつなぎ、組み合わせて生まれ変わらせたマテリアルサイクル家具。”藍” で染められた家具は“伝統を未来へ繋ぐ”という価値観も表現している。2023年ウッドデザイン賞入賞
有松絞りのニットウェアとバッグ
→愛知で400年もの歴史のある絞り染めの技術“有松絞り”。国の伝統的工芸品にも指定されている絞りを用いたリラックスできるニットウェアとバッグ

左:吸音ソファ 右上:端材を使ったキッチンウェア 右下:木糸を使ったワンマイルウェア

第二弾のプロダクトは、第一弾のコンセプトにさらにサステナブルの概念をプラスした企画。

木糸を使ったワンマイルウェア
→名古屋の老舗繊維商社が開発した一般的なモダール繊維に比べてCO2排出量を80%削減したゼロカーボンの木糸。その木糸を使った洗練されたデザインのワンマイルニットウェア
端材を使ったキッチンウェア
→愛知の木材総合商社で使用されなかった端材が、食卓で使うカトラリーやプレートに生まれ変わった。木目の生きた木ならではの柔らかなキッチンウェア
吸音ソファ
→車の内装材を作る企業の技術を活用した素材を使用したソファ。吸音に優れ、自宅で簡単に集中できる空間ができる

そして、第三弾はより「新しい郊外生活」にフォーカスして、“家族のくつろぎ”と“仕事への集中”がともに行えるようなリビングでの使い方を提案する。

今まで生み出されたプロダクトには、サステナビリティ、リサイクル、リユースといったSDGsの視点が組み込まれている。ファッション業界でもラグジュアリーブランドがサステナビリティを重要視している傾向があり、このプロジェクトでもそうした観点を生かしたプロダクトとなっている。
地域の技術や素材と、先進的なデザインを融合させることで、地域創生と環境配慮を両立させているのだ。

プロダクトを実体験できるイベントも開催

「WORK&REST」体験会イベントのイメージ画像

「新しい郊外生活」企画は、今までイベントも数回開催されている。
2025年11月5日~11日にはイベント「WORK&REST」体験会 が開催される。

イベントの注目は第二弾の吸音ソファを使った体験型の“絵本の読み聞かせ”コーナー。
ノイズキャンセリングのような機能を持つ吸音ソファを使い、子どもがZIP-FMナビゲーターによる絵本の読み聞かせを聞いている間、親はその中でリモートワークや読書に集中できるという「人が集まってもうるさくない」空間の体験ができる。安らぎの場であると同時に仕事に集中できる場でもあるという今回のイベントテーマ、WORK&RESTの“新しい郊外生活”のコンセプトを体感するプロダクト体験だ。

来場者には、WORK&RESTのコンセプトノベルティとして、コーヒーの豆かすを再利用したアップサイクルのタンブラーと、アロマの香りがするマッチ型のお香スティックのいずれかを提供する。これにより、五感に訴えかける体験を提供し、プロダクトやコンセプトへの理解を深めてもらうことを狙う。

WORK&RESTのコンセプトノベルティ。左)コーヒーの豆かすを再利用したアップサイクルのタンブラー
右)アロマの香りがするマッチ型のお香スティック

CNSLプロジェクトがもたらす企業への価値と今後

「自社だけでは絶対に出てこない発想が得られた」という江㟢社長

江㟢社長は、ビームスディレクターズバンクとのプロジェクトを通じて、「自社だけでは絶対に出てこない発想」が得られたという。

「外部の経験豊富な人材と協力し、アイディアの掛け算をしていくことによって、新たな商品やサービスが生まれるきっかけとなる、という発見がありました。堅いイメージを持たれがちな住宅会社がビームスディレクターズバンクとプロジェクトを行うことで、ブランド価値の向上や、これまで接点のなかった若いファミリー層とのつながりが生まれていくことを期待しています」と江㟢社長はいう。

CNSLプロジェクトの一環としてエサキホームのオリジナルユニフォームもつくられた。
堅いイメージを持たれがちな建築業界の作業着を、ブランドカラーや新ロゴを用いてファッション性のあるものにすることで、社員のモチベーションアップと業界のイメージ向上を目指したものだそう。

本業以外の異業種と進めた CNSLプロジェクトは、社員の視野を広げ、多様な価値観を学ぶ貴重な機会となっているようだ。

エサキホーム CNSLプロジェクトの皆さん

「プロダクトにはそれぞれストーリーがあり、地域の素材や職人の技術、そしてサステナビリティへの配慮が込められています。こうしたアプローチは単なる商品開発にとどまらず、変わりゆくライフスタイルに対応した“新しい郊外生活”の提案、地域活性化、サステナブルなモノづくり、そしてコミュニティ形成といった多岐にわたるテーマを包含する取組みです」と南馬越氏。

エサキホームとビームスディレクターズバンクとのプロジェクトが、今後の住宅業界、またその延長線上にある私たちの暮らしにどのような新たな価値をもたらすのか、その未来が期待される。

■取材協力
エサキホーム https://www.esakihome.co.jp/
CSNLプロジェクト https://www.esakihome.co.jp/company/img/cnsl.pdf

■イベント紹介記事
https://www.homes.co.jp/cont/living/living_esakihome001/

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