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「面倒くさい」が意外と楽しい?! 年賀状がもたらす、忙しい大人の特別な時間

新しい働き方メディア

年賀状の発行枚数は年々減少していますが、その分、今は「送りたい人に絞って、心を込めて書く」楽しみ方が広がっています。忙しい40~50代でも無理なく取り入れられる年賀状の魅力を、お手紙エッセイ本の著者・小森利絵さんにうかがいました。

年賀状離れが進む今だからこそ楽しめる

かつて新年のあいさつの定番だった年賀状。その発行枚数はここ数年、急速に減少しています。日本郵便によると、2026年用の当初発行枚数は約7億4841万枚。前年から約30%減で、15年連続の減少です。ピーク時(2004年用・約44億枚)の6分の1以下にまで落ち込んでいます。

背景には、LINEやメールなどデジタルでのあいさつの普及、SDGs的な志向、さらには昨年のはがき料金の値上げ(63円から85円へ)も影響しているでしょう。近年は「年賀状じまい」を宣言する人も増え、年賀状文化は大きく変わってきています。

「そんな今ならではの年賀状を書く楽しみがあります」と話すのは、『おてがみじかんで ほんの少し 心にゆとりを』の著者・小森利絵さん。「義務的にたくさん送らなくてもよくなり、本当に送りたい相手に絞って一枚一枚を丁寧に書けるようになりました。だからこそ、特別な意味を持たせられると思うのです」

書く時間は、慌ただしい日常の特別なひととき

1年をどう振り返っていますか? 振り返りの時間を持つとしても、多くは自分自身のことにとどまりがちではないでしょうか。他者との関係性や感謝を改めて意識し、それを実際に届ける機会はそう多くはありません。

「年賀状を書く時間は、慌ただしい日々の中で立ち止まり、その一年の出会いやご縁を振り返るひとときになります」。新しく出会った人、一緒に時間を過ごした人……一人ひとりの顔を思い浮かべながら言葉を書き綴ることは、得がたい時間になるのではないでしょうか。

また、普段から「ありがとう」と口にしていても、どんな言葉や行動が嬉しかったのか、どう救われたのかまでは伝えきれていないことも多いものです。年賀状はその“どんな”“どう”を言葉にして届けるチャンスになります。「日々に流されてしまう些細な喜びや感謝に光を当てることができるんです」

寒中見舞いでゆったり、気持ちを届ける

とはいえ、実際にはゆったりと、年賀状を書く時間を持てる人は少ないでしょう。気づけば、あっという間に12月も半ばに。「まだ年賀状ができていない!」と焦りながら、結局は大晦日や元旦にまとめて書く……そんな経験をしている人も多いのではないでしょうか。小森さん自身もその一人です。

「私の場合、大晦日やお正月にテレビを観ながら書くのが恒例。『一人ひとりにもっとじっくり書きたいな』との思いが募り、年賀状にこだわらなくてもいいのではないかと考えたことがありました」

そんな時、小森さんが注目したのが、寒中見舞いです。寒中見舞いとは、寒さの続く季節に相手の健康を気遣って送るお手紙のこと。期間は1月8日から2月3日頃までと、年賀状に比べて、少し余裕を持って書けます。

もちろん、年賀状も元旦必着でなくても大丈夫。1月7日頃までに届けば問題ありません。「元旦必着」と肩肘張らず、気持ちを丁寧に届けることを意識すれば十分なのです。

年始のお楽しみの一つにも

年賀状を受け取る時間も、小森さんにとっては贅沢なひとときになっているそうです。

「1通1通を手に取り、相手の顔を思い浮かべながら、『お元気そうでよかった』『現状を知れてほっとした』『十数年会っていないけど、また会いたいね』と心の中で話しかけています」

お手紙自体がもらえることが少なくなった今、思いがけず届く誰かからのメッセージはやはり嬉しいものです。そこに感謝の気持ちや、新しい年に向けた前向きなメッセージ、励ましの言葉などが書かれていると、受け取る側も元気になります。

年賀状は、そんな“思いを贈り合う時間”になるのです。

一年の始まりに、思いを贈り合う

年末年始にほんの少し立ち止まり、今年出会った一人ひとりの顔を思い浮かべながら1枚書いてみませんか。日常に埋もれがちな感謝や想いを紙にのせて届ける・・・・・・そんな小さな行為が、改めて喜びを感じさせてくれるかもしれません。

お話をうかがった小森利絵さん
「“あなた”がふと空を見上げたくなるメッセージを届け続けたい」。2008年から編集プロダクションや広告代理店、ウェブ制作・運営会社等に所属し、編集・ライティングの経験を積む。2014年からフリーライターに。主に、人物インタビューに注力している。高校生の娘と一緒にフリーペーパー『えんを描く』発行、お手紙を書く時間を楽しむ会「おてがみぃと」主宰、お手紙がある暮らしを書き綴るコラム「おてがみじかん」連載なども。2024年に『おてがみじかんで ほんの少し 心にゆとりを』を自費出版。

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