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ダウン症がある子は天使みたい?母の本音は…8年間の子育てを振り返って【3/21「世界ダウン症の日」】

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ダウン症がある子は天使みたい?母の本音は…8年間の子育てを振り返って【3/21「世界ダウン症の日」】

監修:鈴木直光

筑波こどものこころクリニック院長

3月21日は「世界ダウン症の日」

なぜ3月21日が「世界ダウン症の日」かというと……。それはダウン症という疾患が、「21番目」の染色体が1本多く「3本」あるためだからです。

この日は、ダウン症のある人たちがその人らしく、安心して暮らしていけるよう、日本中・世界中で啓発イベントが行われます。
日本でも、いろいろなイベントが行われる予定なので、ぜひサイトをチェックして下さいね!

「ダウン症のある子は天使みたい」説、母の本音

さて、きいちゃんを産んでから8年……生まれてから2年は「暗黒期」にどっぷり浸ったものの、それを抜けてからは楽しく育児させてもらっています。

きいちゃんを産んだ当初は、「ダウン症のある子は天使みたい」「ダウン症のある子の笑顔は本当に癒される」との人様のお声に対し「けっ! 外野は呑気なもんだな! そんなことないわ、大体、子どもは皆天使みたいに可愛いもんでしょ!」と心の中で悪態をついていた私ですが、ほんとーに、ダウン症のある子は天使みたいに可愛くって癒やされるんですよ~(親バカ発動)!

しかし、天使なだけじゃない! 癇癪持ちでいたずらも大好き

しかし、もちろん天使なだけではありません。きいちゃんは逆に、「悪魔なんじゃないか!?」と思うことすら多々あります。

きいちゃんは生後半年くらいから目が合うとニコッとしてくれて、暗黒期にいた私でさえも「か、可愛い……!! なんて可愛いんだ~~~!!」と思ったものです。
それが、こ、こやつ「可愛い」だけではなく、とんでもない性格してるんじゃないの⁉︎ と感じ始めたのはいつからか……。
思い出してみると赤ちゃんの頃から、ミルクがうまくのめないと怒る、自分の欲求が通らなかったら怒る、など怒りっぽかったと思います。

そう、きいちゃんはよく癇癪を起すのです。
その上いたずら好きで、わが家の全部屋に油性マジックで書いた消えない「落書き」があります……。
そして、あらゆるものをこれまたイタズラでワザと隠すんですよね~~! しかもタチが悪いのは、本人がその隠した場所を忘れてしまい(下手したら自分が隠したことさえも忘れる……)リモコン、メガネ、ペン、等々……失くしたものは数え切れません。一度、ゴミ箱の中からリモコンを見つけた時はさすがにビックリしました……。

現在小学2年生、さらにパワーアップ!

さて、癇癪はめっちゃ起こすし、いたずらも大好きなきいちゃんも現在小学2年生(もうすぐ3年生!)。どうなっているかというと……
さらに悪ガキ度パワーアップして、私たち親を振り回しまくりです……!!

しかもお喋りできるようになって「ママ嫌い」「ママ、あっち行け」など平気で言うようになりました……。あの天使なきいちゃんはどこに……(悲)。

いちいち何かをやるにも悪ふざけするし、ウケ狙いするし、ジャンプや危なそうな遊びをやりたがるし、「オナラ」や「ウンチ」という言葉も大好きです。
そう、立派に「悪ガキな小学生」に成長しているんです。

ダウン症があってもなくても小学2年生……「小学生の育児」を満喫中!

ダウン症があってもなくても小学2年生の子ども。ああ……私はいわゆる「小学生育児」をさせてもらってるんだなあと、感慨深くさえ思う毎日です。
あの弱々しかったきいちゃんが、こんなに体力もつき、いたずらする知恵も回って、私に悪態つくようになって。
うれしい……うれしいけど憎たらしい……と複雑な気持ちです(笑)。

でも皆さん、ご安心ください!
ちゃんと優しい面も育ってきていて、スーパーで買い物した荷物を持つのを手伝ってくれたり、エレベーターではきいちゃんが階や開閉のボタンを押して、先に私を行かせてくれたり、とてもジェントルマンなきいちゃんにもなってきてくれています。
ママ、感動……!!

ある夜、いつものスーパーの帰り、荷物を持ってくれていたきいちゃんが、「あ!」と言って、空を指さしたら、お月さまが浮かんでいました。2人で「綺麗だねー」と行って、歌を歌いながら家路に着く時……私はじんわりと温かな幸せを感じました。

こんな日がくるなんて……。

ひと口に「ダウン症」と言っても発達も性格も定型発達の子と同じようにさまざま。
でも、きっとその子なりの良さもどんどん出てきて、「幸せだな、私、この子のママでよかったな」と思う日がきっとくると思います。

もし今、暗黒期にいるお母さんがいたら以前の私のように(笑)「けっ! そんな日なんかくるもんか!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、それがくるんです。私も驚いていますが……。

いつかその日がくることを楽しみにして頂けたらいいなあと思います。

執筆/星きのこ

‌(監修:鈴木先生より)
今後もきいちゃんの悪いところはなるべくスルーして、いいところだけを褒めるようにしてあげてください。そうすることでいいところがもっと増えるはずです。
なかには外面がいい子もいて、家の中ではやらないのに外出先ではいい子ぶることもあります。そのような場面に出合ったとしても、きちんとやれたら褒めてあげてほしいですね。なぜなら、適切なタイミングで褒めてあげることが大切だと私は思うからです。
将来、きいちゃんやダウン症など障害があるお子さんも、仕事ができたり自立ができたり、そういう社会になることを祈念しております。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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