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【聴覚過敏、ASD診断】勉強はできるのにテストは赤点…無音のイヤホンはSOSだった?「留年危機」を救った、学校への配慮依頼

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【聴覚過敏、ASD診断】勉強はできるのにテストは赤点…無音のイヤホンはSOSだった?「留年危機」を救った、学校への配慮依頼

監修:室伏佑香

東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科/名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程

長男が抱える困りごと

当時長男は高校2年生。普段の勉強は特に問題なく、理解もできているのに、なぜかテストの点数が悪く、このままだと留年してしまうかもと言われていました。本人に確認するも「テスト中に急に答えが分からなくなる」としか言いません。緊張やストレスでそうなってる?と聞いても、特にストレスは感じていないと言います。実際、家では好きなゲームに没頭し、のんびり遊んで過ごしています。その一方で、学校の課題などはちゃんと提出して、毎日休まず学校へは楽しく通っているのです。本人にも親にも、なぜ留年寸前になっているのか皆目分からない状態です。

それなのに長男からは大した危機感は見られず、毎日家ではイヤホンをしてスマホやパソコンをいじりながら、ダラダラ、ゴロゴロと過ごすばかり。留年って本当にまずい状況よ?分かっている……よね?

次女の診断を受けて気がついたこと

次女が発達障害の診断を受けて、もしかすると長男の問題も、発達障害や特性に由来しているのでは?と思うようになりました。そこで、ふと気がつきます。

「そのイヤホン、いつもつけてるけど、何を聞いてるの?」と何気なく尋ねたら、長男からの返答は意外なものでした。

「え、何も聞いてないけど?」

何も聞いてないのに、どうしてイヤホンつけっぱなし?邪魔じゃない?と一瞬思ったのですが、次女の診断がついたばかりだったこともあり、そのときふと“聴覚過敏”という言葉が浮かびました。

「それ、聴覚過敏とかじゃないの?」

言われた長男もそうかもしれないと言い出し、やっぱり発達特性のせいで困っているのでは?という話になりました。病院で診てもらったほうが良い、となりましたが、次女は小児科経由で病院へ行ったので、同じ病院だと高校生は診てもらえません。病院探しと並行して、学校にどういった配慮をしてもらうと良いのか長男と話し合いました。

定期テストを別室で受けて分かったこと

学校へ相談に行き、ひとまず、別室で定期テストを受けさせてもらえることになりました。これまでと変わるのか様子を見ることにしたのですが、結果はこれまでとはまったく違い、赤点もほぼなくなり、一気に点数が上がりました!

長男いわく「今までは、周りの雑音が気になって、パニックから頭が真っ白になっていたのだと思う。そのせいで解ける問題も分からなくなっていたみたい。前はテストのたびに何度も頭が真っ白になっていたけど、別室だと数回だけで済んで、パニックもすぐ収まった」と、やっと現状が把握できました。

その後、繰り返し別室で受けるうちに「頭が真っ白になる」こともなくなり、長男自身も自分の問題を冷静に見つめることで「右側だけに聴覚過敏の傾向がある」と気がつきました。

そこで、別室ではなく、右端の席に変更してもらい、右側の音が気にならないようにしてもらいました。本人によると、前後は問題ないのだとか。原因が分かったことで、テスト中に頭が真っ白になってしまう、ということもなくなりました。この頃には、無事高校3年生になっていました。

病院へ行けたのは高校2年生の終わり頃でした

近くに発達障害を診てくれる病院を見つけ、通い始めました。早速検査を受けると、やはりASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠陥多動性)の診断が出ました。これまでの高校受験の失敗、すべり止めで入れた今の高校でも留年をしかけたこと、右側だけの聴覚過敏など、やはり発達特性が大きく関わっているだろうということでした。

自分の特性を知って、環境をできるだけ整えていくことでこれからは困りごとを減らしていけるのではと、希望が持てました。服薬で少しでも環境の改善の後押しができればと、お薬も出してもらうことになりました。

長男の特性については、気づくことの大変さと、大切さを同時に感じました。次女の診断がなければ、気づかないまま、大学受験にも失敗して、ひきこもりになる可能性もあったと思います。

ただ、次女と長男の抱える問題はまったく違うものだと、その後少しずつ分かっていきます。この出来事がなければ、今頃大学にも通っていなかったかもしれません。ちなみに今は大学で2回目の1年生をしていますが……(笑)。

発達障害と分かったからといって、すべての問題がすぐに解決するわけではないと思いつつ、私立理系の学費1年分が溶けてしまったのは、めちゃくちゃ痛いです~!相変わらず、今も前途多難です!(泣)。

執筆/ゆたかちひろ

(監修:室伏先生より)
長男さんのお困りごとを丁寧に紐解き、環境を整え、必要な支援へとつなげていかれた経過を共有してくださり、ありがとうございました。ご本人にとっては、ストレスや不快感が“日常のあたりまえ”になってしまい、困りごととして自覚しづらいことは本当に多いものです。そうした状況の中で、イヤホンをつけているのに音楽を聴いていないという小さなサインに気づかれたことが、本質的な課題につながる大切なきっかけになりましたね。

このような気づきと支援が、長男さんにとってより豊かな毎日へとつながっていきますよう、心よりお祈りしています。

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