56年の愛顧、感謝を込めて 老舗の店主「記念イベント」〈川崎市高津区〉
区内屈指の老舗洋食店として多くのグルメから愛され続けてきた「レストランユニオン」が昨年暮れをもって閉店(本紙12月1日号・既報)してから約3カ月。半世紀以上にわたり腕をふるってきた、オーナーシェフの藤井博さんが記念イベントを実施した。藤井さんゆかりの人たちが一堂に会し、互いに感謝の意を伝えあったこの日の催し、その詳細は―。
周囲への謝意、続々
2月23日に「HOTELARUKSP」で開かれたこの企画は「藤井博さん・レストランユニオン感謝の集い」と銘打たれ、営業を続けてきた56年間に藤井さんの味に惚れ込んだグルメファンなど150人以上が参加。さらに一介の料理人としてのみならず、高津区食品衛生協会や高津暴力団排除対策推進協議会の会長などを務め、地元の発展に大きく寄与してきた功績を称えようと、業界の関係者も多く駆け付け賑わいをみせていた。
そんな中、多くの参加者を前に挨拶に立った藤井さんは、調理の道を志し北海道から上京後、厳しい修行を経て56年前(1967年)、坂戸に「レストランユニオン」を開店し、当時はまだ珍しかった洋食メニューで地元の食いしん坊の胃袋をがっちりと掴んだエピソードなどを披露。田んぼや畑ばかりだった店舗の周辺だが、界隈に大きな工場などもあったことから、ランチタイムを中心に、その従業員らが大挙押し寄せ、代表メニューの「ナポリタン」や「オムライス」などを頬張る姿が数多く見られた、などと回顧していた。また、業界団体の要職などに就き多岐にわたる活躍を続けてきたことに対して周囲への感謝を述べると共に「最後まで店舗を支えてくれたスタッフの方には感謝してもしきれない」とも。心温まるエピソードの数々に場内は和やかなムードに包まれていた。
今後に期待も
齢80を超え、後継者不在という点なども勘案した結果、歴史に幕を下ろすことを決めたという藤井さん。しかし地域への恩返しの一環として区食品衛生協会の会長職などはそのまま引き継ぐ予定となっており、周囲からは益々の活躍を祈念する声が多数挙がっていた。