川崎市立看護大学 大学院設置に認可 来春の開学めざす
川崎市立看護大学大学院の設置について、文部科学大臣の諮問機関である大学設置・学校法人審議会大学設置分科会は8月29日、申請を認可した。これを受けて市は来春の開学を目指し、条例改正を市議会にはかる。
市は複雑化する医療ニーズに対応し、国が進める「地域包括ケアシステム」を担える人材を育成する市立看護大学を、2023年4月に幸区小倉に開学。そのうえでさらに高度な知識と技術をもつ人材を養成する大学院の設置を今年3月に申請していた。
大学院では、家族看護や感染看護を学ぶ「基盤看護専攻」▽医療機関と地域社会での小児から老年までの横断的な看護を学ぶ「地域包括ケア専攻」▽出産前後を含め女性のトータルケアを学ぶ「助産学専攻」の3コースを設置する。既存のキャンパスのほか、現役看護師などの社会人が通いやすいよう、JR川崎駅と京急川崎駅から徒歩数分の場所にある川崎フロンティアビル内に「第2キャンパス」を開設し、夜間の授業は「第2」を中心に実施する。
教育面で最大の特徴となるのは、日本看護協会が認定する「専門看護師」の受験資格が得られる「高度実践看護コース」の教育を夜間に受けられることだ。市担当者によると、既存の看護系大学院の授業は日中のため、現役の看護師が「専門看護師」を目指す場合は、いったん退職する必要があった。
また、国が10万人以上の修了を目指す「特定行為研修」を、「高度実践看護コース」の選択科目で学べることも特徴だ。カテーテルの着脱など医療行為の一部を行う「特定行為」の研修は、医療機関なら50万円前後の受講料がかかるが、授業料に含まれている。
市の担当者は「大学院での人材育成で、川崎市が目指す全世代の全市民を対象とした地域包括ケアの実効性が高まる」と話している。