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登園渋りも泣き暴れもない…なのに不安。私が3歳児健診で発達相談を決意した理由

LITALICO発達ナビ

登園渋りも泣き暴れもない…なのに不安。私が3歳児健診で発達相談を決意した理由

監修:初川久美子

臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち

大きな不安を抱え始まった幼稚園生活。順調に見えたけれど……

わが家の長男あーにはASD(自閉スペクトラム症)があります。まだそうとは知らなかった頃に迎えた幼稚園の入園式で、一人だけ走り回り、夫の眼鏡も私のコサージュ(借り物!)も破壊する暴れっぷり……。大きな不安を抱えた状態で迎えた幼稚園生活ですが、いざ始まってみると一見そこまで大きな問題があるわけではありませんでした。

登園不安が強いわけでもなく、泣いたり暴れたりが頻発するわけでもない。トイレにも行ける。身辺自立や集団参加には難があるけれど、年少さんでは珍しいことでもない。それでも私は、3歳半健診で発達について相談しようと決めていました。

私が発達相談をしようと決めた2つの理由

3歳半健診であーの発達について相談すると固く決意していたのはなぜか……母親の勘、というとあまりにもふわっとし過ぎているので、当時をよくよく思い返して言語化を試みようとするのならば、やはり「わが子とコミュニケーションが取れないことによるストレス」の一文に尽きると言えるでしょう。

3歳なりのコミュニケーション。いや、年相応でなくてもいい、それが叶わないフラストレーション……。おしゃべりはするんだけど、会話のキャッチボールができないんですよね。

例えば、「パパはどこに行ったの?」と聞いたら「パパはお菓子が好きなんだよ」と返ってくる。「パパ」という単語は分かる。それについての話をする。おしゃべりはできている……だけど、それってコミュニケーションではないんだよなああああ(ここで頭を抱える)。

会話の……ストラックアウトなんだよなああああ!(うまいこと言えた?)

一事が万事これなんです、ちなみに12歳の今もその傾向が非常に強いです。

そして謎遊び。幼稚園で、小高い山の上に立って葉っぱや砂をひたすら落とす。人とは遊ばないし、いったい何が彼をそんなに魅了しているのか分からない……。

それがダメってわけじゃないけれど、おままごとやごっこ遊び、お友達との交流などにだんだんと興味を持ち始める年齢において、意味のない(ように見える)ことを2時間とか平気でできる。

この2点から導き出される結論……。わたしにとって、あーは「よく分からない」存在でした。

わが子なのに「よく分からない」存在? 募る不安

自分で産んだ、自分の子どもなのに、何を考えているのか、よく分からない。

いや、生まれた時からべったりで育てているので何が好きか、何が嫌か、は分かります。何が欲しいかも。でもそうじゃなくて、こちらの言うことを理解してくれない、してくれようともしないあーは、私にとってまるで「未知の生き物」のようでした。そして理解できないことで、なんだか不安になるのです。

しかし相手は自分の子ども。「可愛さ」と「分からない」が拮抗する毎日。

よく分からない、を分かりたい。愛しているから、可愛いからこそ理解したい。そしてこの不安から脱して安心したかったんだと思います。

発達相談を決めた一方で……「気のせいだよ」という言葉も期待していた自分

というわけで、発達の相談をすることになんの迷いもありませんでした。

でも一方で心の奥底で、「気のせいだよ」「そんなことないよ」「普通に生きていけるよ」って言われることを望んでいた気もします……。

母の気持ちは常にアンビバレンス。だってそうじゃないー!? できれば普通がいいじゃん、みんなと一緒がいいじゃん! そんな物分かりよくいられるわけなくない??

と、思い返せば雑念だらけの診断前。いいじゃんいいじゃん人間だもの!

そんなこんなで、運命の(?)3歳半健診の日を迎えたのでした。

執筆/よいこ

(監修:初川先生より)
3歳の時に発達相談を受けると決断された理由のシェアをありがとうございます。自分の子どもなのに分からない。可愛いと分からないが拮抗する。よいこさんが言葉にしてくださった当時の心境に共感なさる読者の方も多いのではないでしょうか。

よいこさんが理由として挙げられた、会話のキャッチボールならぬ「会話のストラックアウト」(お伝えされたいニュアンスがよく伝わる表現ですね)。そして、「謎遊び」。このくらいの年の子どもはこのくらい育っているはず、こうして遊ぶはずという知識や経験との違和感。体感としておぼえる違和感。そうした違和感はとても大切だと相談業務にあたりながら日々思います。そうした違和感をきっかけに相談やお子さんへの理解、支援などへつながることができます。場合によっては、「心配しなくて大丈夫ですよ」の場合もあるかもしれませんし、支援者の方としばらく一緒にお子さんの成長を見守る伴走体制に入ることもあると思います。

どんなお子さんであっても、子育ての中で悩ましく思うときはあると思いますが、そこに何らかの診断が後からつく場合にはその悩みや違和感、葛藤の度合いがかなりのものだと思います。保護者が日々悩みながら、アンビバレントな心境になりながらも、子どもは育ち、子育ては続いていきます。お子さんはもとより、保護者を支える意味でも相談や支援につながってくださることを支援者としては願うところです。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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