キャメロンの広島・長崎原爆映画、目処立たず ─ 「脚本は書いた」と進捗報告も「予定なし」
巨匠ジェームズ・キャメロンが広島・長崎への原爆投下を描く映画『ゴースト・オブ・ヒロシマ(原題:Ghosts of Hiroshima)』の実現は、まだ当面先になりそうだ。いささか残念な続報を、キャメロン自身が語った。
本作はチャールズ・ペレグリーノのノンフィクション作品『Ghosts of Hiroshima』『The Last Train from Hiroshima: The Survivors Look Back』に基づき、広島と長崎で2度被爆した“二重被曝者”の山口彊(やまぐち つとむ)氏を描くもの。キャメロンは2009年に山口氏と面会したのち、15年にわたって企画を温め、2024年秋に映画化権を獲得した。
もっとも現在、キャメロンは『アバター』シリーズを製作進行中。2025年7月の報道では、『アバター』サイドの承認を得られしだい本作に着手する計画で、同シリーズ以来はじめての非『アバター』作品になるといた。原作本が米国で発売された夏には、キャメロンが映画版の構想を各所で語っていたのだ。
しかしながら、このたびポッドキャスト「」に出演したキャメロンの言葉はトーンダウンして聞こえる。「ほかにも10のプロジェクトがあります。あの企画は、原作の発表があり、著者が友人なのでベストセラーにしようとしたことから一時的に注目されたのです」という。
すなわち、キャメロンが夏ごろに『ゴースト・オブ・ヒロシマ』について精力的に語ったのは、あくまでも原作を宣伝する意図が大きかったのだろう。ただし、キャメロンは「映画を作らないという意味ではない」と明言し、「脚本は書いた」と大きな進捗を報告している。2025年10月頭の時点では「脚本を書き上げられていない」とから、この2ヶ月で脚本作業がぐっと前進したようだ。
ただし、実現の目処はいまだ立っていない。「まだ予定はないし、配給パートナーもいません。現時点では構想段階です」といい、「ほかにも権利を買ったり、契約を結んだり、脚本を書いたりしたプロジェクトがいくつかある」と述べた。具体的な続報が出てくるのはしばらく先、ともすれば『アバター』の完結後という可能性さえあるかもしれない。
希望があるとすれば、キャメロンが先日、本作を「自分で監督するつもり」としていたことだ。「私が監督します。他の作品については、私が監督するかもしれないし、しないかもしれない」と。
なお、キャメロンは映画版で原爆投下の様子をリアルに描く意向で、「観客が原爆投下を体験したかのように感じられる映画を創りたい」「広島と長崎で起きたことを容赦なく描きたい」と。原作者のペレグリーノがアドバイザーとしてほか、日本側の専門家や被爆者遺族の協力を受け、日本の作家やプロデューサーが参加する可能性もあるという。
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