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「水深約7,000mでも生息可能!」 深海で繁栄する『ソコダラ科』の驚異の生態

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刺身で食べられるソコダラの生態とは(提供:PhotoAC)

深海魚は浅海の魚とは異なった形質を持つ魚が多く存在します。ソコダラ科の魚たちはタラの仲間でありながら、我々がよく口にするタラとは全く異なった見た目の魚たちです。この記事ではソコダラ科についてご紹介します。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

タラ目随一の巨大グループ

ソコダラ科はタラ目に属する深海グループ。ソコダラ科の魚は2024年5月現在、70種が記録されており、かつてソコダラ科アナダラ亜科に含まれていたアナダラなどはアナダラ科として独立しています。もっと前にはバケダラもソコダラ科に含まれていたようです。

ソコダラ科はタラ目の中で最も大きなグループであり、世界各地に分布する魚たちです。ソコダラ科のすべてが深海に生息し、多くの種で下顎下面に1本の髭をもつこと、肛門付近に発光器を持つこと、トウジン属では吻部が著しく突出し尖ることなどが挙げられます。

この突出した吻部は砂底を掘り返し、餌を探すのに役立っていると考えられているようです。他にも底物を食べる為、口が下に伸びるようになっています。

トウジン(提供:PhotoAC)

主なソコダラの生息水深

深海で大繁栄するソコダラ科の魚たちですが上は150m、下は6945mから記録があります。日本産のソコダラ科に焦点を当て、主なソコダラ科の生息水深を見ていきましょう。

ヤリヒゲ

ヤリヒゲはトウジン属に分類される魚で、比較的大型種が多い本属の中では小型種に分類されます。

本種はソコダラ科の中では珍しく水深150m程の比較的浅い場所からも漁獲されることがあります。食用として広く流通しないものの底引き網漁が盛んな地域では食用として売られます。

トウジン

トウジンはソコダラ科の代表種とも呼べる魚。水深240~1000mに生息し底引き網や深海釣りで漁獲があります。大型になることから食用として流通し、産地ではゲホウ、ネズミとも。標準和名であるトウジンは本種の雰囲気が唐人(西洋人)に見えることが由来とされています。

また、基本ソコダラ科の標準和名は語尾にヒゲ、またはダラ(タラが連濁したもの)が付きますが、トウジンのみは例外です。

シンカイヨロイダラ

恐らくシンカイヨロイダラは日本のソコダラ科の中で最も深い場所から記録されている魚でしょう。

その水深はなんと6945mであり、ソコダラ科の中でも非常に深い場所から記録のある魚です。本種はソコダラ科ホカケダラ属に分類されますが、本属の魚は本種の他にも深場に生息する種が多く、ヨロイダラ(4300m)、ムネダラ(3500m)、イバラヒゲ(3700m)などが知られています。

なお、ムネダラとイバラヒゲはベニアコウ釣りで見られる魚で産地では食用になることもあります。

ホカケダラ属のムネダラ(提供:PhotoAC)

ソコダラ科の魚たちは食用としても重要

ソコダラ科の魚たちは深海の砂泥底に生息するため、主に深海底引き網漁で様々なソコダラ科が漁獲されます。ソコダラ科の漁獲量は多いもののほとんどの種が小型であるため、食用にならず捨てられてしまうことがほんとどです。

深海釣りにおいても見かける機会が多い魚たちで、特にトウジンをはじめとする大型のソコダラ科が見られることが特徴。トウジン属やホカケダラ属の大型種である、トウジン、オニヒゲ、イバラヒゲ、テナガダラはしばしば食用になり、特にトウジン、オニヒゲは流通量が多い魚です。

トウジンなどの刺身(提供:PhotoAC)

また、北日本においてはテナガダラ等のソコダラ科を練り物の原料として利用しているといいます。

トウジンはしばしばグロテスクな深海魚の代表として紹介されることの多い魚ですが、身は綺麗で旨味が強いことが特徴です。鮮度の低下が早いため産地でしか味わえませんが、機会があればぜひ食べていただきたい深海魚の1つです。

(サカナト編集部)

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