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ベートーヴェンも「体験」すれば怖くない!~上野・東京文化会館のクラシック音楽ワークショップ体験記~

さんたつ

東京文化会館ではさまざまなテーマで、ミュージック・ワークショップを開催している。 今回は50歳以上を対象としたプログラムに、クラシックに疎い53歳の僕が参加してきましたよ。

東京文化会館

東京文化会館のミュージック・ワークショップとは

「ココとペペのわくわくカーニバル」。 © T.Tairadate。
「バーバラの魔法のくすり」 ©鈴木穣蔵。

音楽や芸術に対する関心を高め、自己表現能力やコミュニケーション能力を養うことを目的とする体験型講座。ワークショップ・リーダーのもと、0歳から高齢者向けのものまで、年間を通して多彩なプログラムを開催している。

●お問い合わせは東京文化会館チケットサービス(☎03-5685-0650 / 10:00~18:00)まで。

今回の体験プログラムは……『アンサンブル喫茶へようこそ!』

ワークショップ・リーダーの桜井しおりさん(ピアノ担当)と磯野恵美さん(フルート担当)。「音楽で新しい世界を見つけませんか?」。

軽く体を動かしたり、実際に楽器を演奏したりして、気軽に音楽を楽しむワークショップ。この日のテーマはベートーヴェン。50歳以上対象。

いざ「体験」、ベートーヴェン!

テーマはベートーヴェンか。
すぐに思い浮かぶのは「ジャジャジャジャーン!」で始まる『運命』だが、その後に続くメロディーはまったく出てこない……。

この日の進行役は、東京文化会館ワークショップ・リーダーの桜井しおりさん(ピアノ担当)と磯野恵美さん(フルート担当)。参加者の年齢層は幅広く、50代どころか70~80代の方も多いそうだ。

「最初に軽く準備体操を」ということで、ベートーヴェンの『メヌエット』に合わせて手で肩や膝を叩く。3拍子でポンポンポン。音楽を鑑賞するのに準備体操がいるの?とも思ったが、そのワケはのちほど明らかになる。

《1. まずは準備体操》

肩、膝、足、フィンガースナップでリズムをとってみる。脳トレにもなる。

続く『トルコ行進曲』では曲名通り、全員ステージに上がって行進。参加者同士は目が合うとニッコリ。一気に距離が縮まった気がするぞ。

《2. 目が合ったら笑顔でご挨拶》

『トルコ行進曲』に合わせてステージ上を行進。普段は立ち入ることができませんよ。

さらに、桜井さんが言う。
「ベートーヴェンは散歩が大好きでした。今でもウィーンには彼が愛した散歩道が残っています。今日はその風景を皆さんも追体験しましょう」。

ここで、さまざまな民族楽器が登場。自然がテーマなので、鳥の鳴き声や雨の音を表現したいということだ。

《3. 好きな楽器を選ぼう》

ずらりと並んだ民族楽器は見たことがないものばかり。どれにしようかな。

僕は「チャフチャス」という小型の打楽器を手に取って、ホール内のあちこちで思い思いに鳴らしてみた。
おお、ものすごく響きがいい。
聞けば、この小ホールの音響の良さはかなり有名なんだそう。

《4. チャフチャスを鳴らしてみる》

音楽ファンから「奇跡的な音響」と呼ばれているホールの響きを五感で堪能しました。

休憩を挟んで、いよいよメインの演目。リーダーのピアノとフルートの演奏に合わせて『交響曲第7番 第1楽章』を、一人ひとり太鼓で合奏するのだ。

《5. 一人ひとつ太鼓を配布》

好きな太鼓を選んでいいということで、アフリカが起源のジャンベをゲット。

《6. いざ、合奏にチャレンジ》

『交響曲第7番第1楽章』に挑戦。リーダーの掛け声とともにジャンベを激しく連打連打。

これがやたらと気持ちよかった。なるほど、曲を知っていなくても、音楽は心と体で感じるものなんだな。参加者同士も周りを見ながらリズムを合わせている。

学校の授業とは一味も二味も違うこのようなワークショップは、あらためてクラシック音楽への道を開いてくれる気がした。
よし、次の週末はベートーヴェンを聴きながら、優雅な散歩としゃれ込もう。

《7. 記念撮影もできます》

桜井さん(左)、磯野さん(右)、そして偉大なるベートーヴェンさん、ありがとう!

『東京文化会館』詳細

東京文化会館
住所:東京都台東区上野公園5-45/アクセス:JR・私鉄・地下鉄上野駅から徒歩1分

取材・文=石原たきび 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2023年10月号より

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