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【介護職必見!】施設での災害時の対応で大切なこと 必要な防災対策とは?

ささえるラボ

【介護職必見!】施設での災害時の対応で大切なこと 必要な防災対策とは?

地震をはじめさまざまな災害への対策が必要ななかで、施設においてはどのような対策が必要なのでしょうか。

もしもの時に適切な対応ができるよう、事前に準備しておくとよい情報をまとめました。 災害時に適切に対応できるよう、備えておきましょう。

平常時からの備えと準備、心がけが大切

執筆者/専門家

脇 健仁

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/22

災害対応と平常時の準備対応は、別のようなイメージを持たれるかもしれませんが、実は連続性がなくてはなりません。平常時も発災した瞬間に災害時となります。
平常時から備えておくことを怠ると、災害時にはいくら立派な対応マニュアルがあっても機能することはありません。
また、災害BCPとも重なる部分はありますが、BCPはあくまで業務継続に主軸を置いたものであるため、災害対応マニュアルとは違うものとなります。目的を確認しながら利用するとよいでしょう。

平常時から災害時(応急期・復旧期・復興期)を理解することですべきことが理解しやすくなります。平常時から災害時までの連続性という視点で、施設での災害対策を考えていきましょう。

※補足:災害BCPとは…
BCP(ビー・シー・ピー)とはBusiness Continuity Planの略称で、業務継続計画などと訳されます。
新型コロナウイルス等感染症や大地震などの災害が発生すると、通常通りに業務を実施することが困難になります。まず、業務を中断させないように準備するとともに、中断した場合でも優先業務を実施するため、あらかじめ検討した方策を計画書としてまとめたものを指します。
出典:厚生労働省老健局(令和2年12月 介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン)

平常時に確認しておくべきこと

平常時に確認しておくべきこと
1.自分自身の避難所情報2.発災後の職員間の連絡方法や出勤のルール3.最新のご利用者の情報一覧表(紙で用意しておく)4.ご利用者の安否確認の優先順位(医療依存度の高さ)5.ご利用者ファイルなどの情報を確認し整理(住宅地図、服薬情報、主治医、緊急連絡先、ADL、避難所または福祉避難所の場所等)6.地域包括支援センターや行政の担当課との連携方法
まずは、日常から地域の方たちと連携を取っておくことが大切です。

例えばですが、
・事業所で災害が発生した際に、自分自身がどこに避難すべきなのか
・ご利用者は、どこに避難していだたくのか
・地域住民が避難行動をどのように行うのか
・その地域の指揮命令系統はどのようになっているのか など
このような情報を皆さんはご存知でしょうか?平常時から上記のような情報を集め、整理しておくことが重要です。

情報の入手方法ですが、自分自身の場合は地域の自治会などに加入していれば、そのような情報を入手しやすいと思います。加入していない方は、なかなか情報入手が難しいかもしれませんが、あらためて自分で調べることが大切になるでしょう。

また、ご利用者の住んでいる地域に関しては、様々な地域があると思います。そのため、すべての情報を入手し把握しておくということは現実的に難しいと思います。
よって、少なくとも民生委員や町内会長の連絡先は確認しておきましょう。可能であれば、民生委員や町内会長の住所やまたその地域の避難所を把握しておくとさらに良いかと思います。

また、一般避難所では、要介護者等の受け入れが困難な場所があります。そのため福祉避難所についても把握しておくと安心でしょう。

重ねて、ご利用者ご家族の緊急連絡先を複数確認しておきましょう。
また定期的に緊急連絡先の電話番号の変更はないか、緊急連絡先の優先順位に変化はないかについても確認しておくとよいでしょう。次に、
・最新のご利用者の情報一覧表
・安否確認の優先順位の確認
・ご利用者ファイルなどの情報整理(住宅地図、服薬情報、主治医、緊急連絡先、ADL、避難所または福祉避難所の場所等)
上記は、被災時にはライフラインがすべて利用できなくなることがあるため、電気や通信が途絶えても確認でるような仕様(紙やファイリングなど)で、用意しておきましょう。

特に服薬情報における「おくすり手帳」は、避難時にご本人に持参いただくと、定時薬がなくなった時なども便利です。ぜひ、ご利用者やその家族におくすり手帳は、持っておくように伝えておきましょう。

さらには発災時(災害が起きてすぐ)の自分自身の身を守る行動を最優先にすることや、発災後の職員間の連続方法、出勤のルールなど平常時に確認しておき、スタッフへも周知をしておきましょう。

【応急期】発災当日から、3日間の対応で大切なこと

まずは、自分の身の安全を確保しましょう。
そしてご家族の安否確認を実施してください。

次に、災害状況を可能な範囲で確認します。
ライフラインが利用できない場合は、カーラジオなどで情報の確認をしたり、インターネットで信憑性の高い情報を選別の上、参考にしたりしましょう。
このときに、職員間でどのように状況把握をするかについては、平常時に確認しておくと混乱は最小限で済むと考えます。

次に、ご利用者の安否確認を行います。
平常時に優先順位や基本的な情報をまとめておくと、速やかに重複なく効率的な安否確認を行うことができます。
また、地域包括支援センターや行政の担当課との連携や連絡方法についても確認しておくと、より精度の高い情報が得られると考えます。

ご利用者の安否確認では、医療依存度が高い方など自宅、一般避難所、福祉避難所などでの避難生活が困難な場合は、介護保険施設への緊急入所、病院への緊急入院などの調整を行いましょう。
この調整は「誰が、どのように行うのか」についても、平常時に確認しておくことが大切です。

ご利用者ファイルの情報整理の際にも意識していただくと良いと思います。

【復旧期】発災4日目から1か月の対応で大切なこと

ご利用者の避難生活が、それぞれの場で始まっていると仮定した場合、
・災害関連による状態変化
・ADL悪化 など
災害による影響が出ている可能性があります。

特に避難所の生活はライフラインが回復した後でも、自宅と比べると環境が良くないことが多いため、エコノミークラス症候群や感染症、食中毒、口腔状態の悪化などのリスクが高まります。
生活の場が一時的に変わっても、今まで通りの生活状況に近づけていけるように、生活不活発病などの防止も検討していきましょう。
また、事業所自体が福祉避難所として開設することもあると思いますし、緊急入所を受け入れる立場の場合もあると思います。
その際は、元の生活像を頭に思い浮かべながら、支援をしていきましょう。
元の支援チームへの定期的な情報提供も大切な視点です。

【復興期】発災1か月から数年間の対応で大切なこと

仮設住宅から自宅に戻ったり、ライフラインが回復したり、元の生活に戻ろうとしている段階です。
今までの支援体制も元に戻りつつある状況でしょう。

元の住居に戻れる場合や戻れない場合により、生活支援方法は変わると思いますが、本人の意向を確認しながら、支援していく必要があります。
心身の負担など疲労感が蓄積されて、体調変化も起こしやすい時期とも言えますので、精神面のケアも大切になってきます。

自施設の安全対策から見直してみましょう

地震の防災対策とは

地震の安全対策チェックリスト
1.建物は、1981(昭和56)年以降に建てられているか2.転倒リスクのある家具の固定はできているか3.物品は整理整頓できているか4.避難通路となる場所のガラスに飛散防止フィルムが貼ってあるか5.消火器などの設備点検はしているか
地震についての防災対策について解説します。
まず、施設の築年数は何年になるのか確認しましょう。新耐震基準は1981(昭和56)年に制定されています。
それ以前の家屋や建物は耐震補強を検討する状況と言えます。訪問介護などの場合はご利用者宅についても情報収集しておきましょう。

そのほかに、居室などのテレビ、パソコン、キャビネット、本棚、金庫などの転倒リスクのある家具の固定方法が問題がないかを確認し、職員やご利用者が使用するスペースでの食器などの転倒、転落、破損などの防止措置を講じておきましょう。
不安定に物品を積み上げることなく、整理整頓に心がけることが大切です。

また、破損して飛散した場合に、危険となるガラスなどについては、避難経路に飛散防止フィルムを貼付するなどの対策が有効です。消火器などの設備点検および収納場所の確認も行っておきましょう。

電気・ガス・水道が停まった場合への対策とは

地震や大雨、洪水などでライフラインが停まってしまう可能性もあります。
それぞれの対策を考えてみましょう。

●電気が停まった時は…?

自家発電機がない場合は、乾電池や手動で動くものなど、電気なしでも使える代替品の準備や業務遂行方法についても検討をしておきましょう。
自動車のバッテリーや電気自動車の電源活用などが有用となることもあります。

自家発電機がある場合は、日頃の発電機のメンテナンスや設置場所、稼働方法の確認、電源利用の優先順位や対応可能な範囲についても確認しておきましょう。

●ガスが停まった時は…?

都市ガスの場合は、復旧に長時間要する可能性があるため、代替案を考えておきましょう。
・暖房器具であれば、湯たんぽ、毛布、カイロ、灯油ストーブ
・調理器具ならカセットコントやホットプレート、焚火台や薪
上記が考えられます。必要に応じて準備しておきましょう。

●水道が停まった時は…?

飲料水と生活用水に分けて、確保策と削減策を考えておきましょう。
飲料水の確保について、成人の1日に必要な飲料水は1.5~3リットルと考え、ご利用者や職員の数と何日分の備蓄をしておくかを考え備えておきましょう。
少なくとも3日以上は確保しておくことを推奨いたします。
また、備蓄された飲料水には消費期限がありますので確認が必要です。

生活用水の確保としては、まずは水を利用しない方法を検討しておくことが大切です。
・トイレであれば、簡易トイレやおむつの使用
・洗い物の場合は、紙皿や紙コップの使用
・入浴などは清拭への切り替え、井戸水の活用
上記の対応が考えられます。

そのほかにも、準備しておくことや必要物品などの準備や備蓄も必要になると思います。
施設では担当者スタッフを決めて、しっかりと備えておきましょう。

こちらの記事の出典、参考文献
●厚生労働省老健局(令和2年12月 介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン) ●一般社団法人日本介護支援専門員協会(災害対応マニュアル第5版)

【介護職必見!】介護施設での、転倒や急変などの緊急時の対応で大切なこと | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/988

介護職のお悩み相談はこちら! | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/42

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