共働き家庭の夏休み、どう乗り切る?小学生の預け先・仕事調整・子どもの成長につながる夏休み前の準備【小1の壁を考える】
「小1の壁」という言葉があるように、小学生の子どもを持つ共働き家庭にとって、夏休みは一年の中でも特に大きな山場です。保育園時代は通常どおり預けられていた子どもも、小学校へ進学すると長期休暇が始まり、日中の居場所やお昼ご飯、宿題、生活リズムの管理など、家庭で担うことが一気に増えます。
一方で、夏休みは「何とか乗り切る期間」であるだけではありません。親にとっては仕事との両立や家庭の回し方を見直す機会であり、子どもにとっては主体性や自尊感情を育み、将来のキャリア形成につながる経験を積める貴重な時間でもあります。
マイナビ転職の「育休取得と満足度に関する実態調査(2026)」では、小1の壁など子どもの成長に伴うキャリア継続への不安を感じる人は68.2%(女性75.6%、男性61.1%)にのぼりました。
また、仕事との兼ね合いから「子どもや家族に我慢をさせている」と感じる保護者も少なくありません。だからこそ大切なのは、「親が一人で頑張ること」ではなく、「家庭全体が無理なく回る仕組み」をつくることです。その仕組みの中で、子どもにとって今必要な経験を意識的に取り入れていくことが、親自身のキャリアを守ることにも、子どもの成長にもつながります。
この記事では、共働き家庭が夏休みに直面しやすい課題を整理するとともに、仕事との両立、家庭運営、そして子どものキャリア形成という視点から、夏休み前に考えておきたいポイントをご紹介します。
キャリア・コンサルタント
林 碧(はやし みどり)
株式会社キャリアイズ 代表取締役社長、国家資格キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士1級、両立支援コーディネーター。
企業人事経験および個別相談対応経験を活かし就職・転職の相談からライフキャリアビジョン構築、育児・傷病など個別事情との両立まで、幅広い相談に対応。通算6000件以上の個別面談実績、年150件以上の研修登壇実績を保有。特に若年層のキャリア形成支援を得意とし、大学での登壇実績が豊富である他、企業向けの育成者研修や若手定着支援、組織コンサルティングも実施。日経Womanアンバサダー。小学生2児の母。
•共働き家庭の夏休みに大変なのはどんなこと?【小1の壁を考える】
•子どもの居場所をどう確保するか
•お昼ご飯・お弁当の準備が毎日発生する
•宿題や生活リズムの管理が必要になる
•仕事への影響や罪悪感
•小学生の夏休み、預け先はどうする?
•学童保育
•祖父母・親戚の家
•民間学童・サマースクール・サマーキャンプ
•シッターサービス
•一つに頼るのではなく、「組み合わせ」で考える
•夏の居場所。費用を考えるうえで大切にしたい視点は?
•「夏休み予算」を家族で考えてみる
•親の負担を軽くする!共働き家庭の夏休み乗りこなし術
•予定を「見える化」する
•「毎日考える」を減らす
•子どもが「自分でできること」を増やす
•夫婦で「家庭をマネジメントする」
•職場との調整は早めの対話を
•【小1の壁を考える】まとめ|夏休みは、親子それぞれの「これから」を育てる時間
共働き家庭の夏休みに大変なのはどんなこと?【小1の壁を考える】
共働き家庭が夏休みに直面しやすい課題は、大きく4つあります。
子どもの居場所をどう確保するか
夏休みは1か月以上続くため、働く保護者にとって最初に考えたいのが、子どもの日中の居場所です。学童を利用する場合でも、開所時間や終了時間、お弁当の有無、定員などを確認する必要があります。また、子どもの年齢や性格によっては、祖父母や親戚、民間学童、サマースクール、シッターサービスなどを組み合わせる家庭もあるでしょう。
ここで大切なのは、「どこへ預けるか」だけでなく、「その時間を子どもがどう過ごすか」という視点です。安心して過ごせる居場所が必要な時期もあれば、親元を離れて新しい環境へ挑戦する経験が成長につながる時期もあります。また、自分で考えて行動する機会や、多様な人との関わりを通じて視野を広げる経験が、その後の主体性や自尊感情を育むことにもつながります。預け先は単なる「居場所」ではなく、子どもの成長を支える場でもあるという視点で考えてみることが大切です。
お昼ご飯・お弁当の準備が毎日発生する
夏休み中は、学童のお弁当や自宅で過ごす日のお昼ご飯など、毎日の食事準備が必要になります。栄養バランスを考えながら献立を決めることは大切ですが、それを毎日続けるのは大きな負担です。
夏休みを無理なく乗り切るためには、「毎日頑張る」よりも「考える負担を減らす」工夫が役立ちます。献立をある程度パターン化したり、作り置きや冷凍食品を取り入れたり、生成AIを活用して献立や買い物リストを作成したりすることも、家庭全体を無理なく回すための一つの方法です。
宿題や生活リズムの管理が必要になる
夏休みには宿題が出されますが、小学生が一人で計画的に進めることは簡単ではありません。そのため、仕事終わりや休日に保護者が進捗を確認する家庭も多いでしょう。
一方で、この時期は子どもが主体性を育む絶好の機会でもあります。親がすべて管理するのではなく、「今日は何をやる?」「どんな順番で進める?」と子ども自身が考え、実行する経験を積み重ねることで、自分で決めて行動する力や自己効力感が育っていきます。年齢や発達段階に合わせて伴走しながら、「できた」という経験を積み重ねられる環境をつくることが大切です。
仕事への影響や罪悪感
預け先や子どもの予定に合わせて勤務時間を調整したり、有給休暇を取得したりする中で、「職場に迷惑をかけている」「自分だけ仕事をセーブしている」と感じる保護者も少なくありません。
しかし、夏休みは誰か一人が頑張って乗り切るものではありません。家族、職場、地域、外部サービスなど、活用できる資源を組み合わせながら、家庭全体が持続可能な形をつくることが、親自身のキャリアを守ることにもつながります。
小学生の夏休み、預け先はどうする?
共働き家庭が夏休みの預け先を考える際は、「どこに預けるか」だけでなく、「その時間をどのように過ごすか」という視点も大切です。
子どもの年齢や性格、発達段階によって必要な経験は異なります。そのため、一つの選択肢だけで夏休み全体を乗り切ろうとするのではなく、家庭の状況や子どもの様子に合わせて組み合わせながら考えていくことをおすすめします。
学童保育
まず候補になるのが学童保育です。
朝から夕方まで利用できることが多く、友達と過ごしながら生活リズムを維持しやすいことは大きなメリットです。一方で、お弁当が必要だったり、開所時間が勤務時間と合わなかったりすることもあるため、利用前には開所時間や延長利用、昼食対応、持ち物などを確認しておくと安心です。
また、学童は「預ける場所」というだけではなく、集団生活を通じて社会性や協調性を育む場でもあります。子どもが安心して過ごせる環境かどうかという視点も大切にしながら、家庭に合った利用方法を考えてみましょう。
祖父母・親戚の家
祖父母や親戚に協力をお願いできる場合は、共働き家庭にとって大きな支えになります。子どもにとっても、親以外の信頼できる大人と過ごす時間は安心感につながるだけでなく、異なる価値観や生活に触れる貴重な機会になります。
一方で、協力してもらうことが当たり前になってしまうと、祖父母側の負担が大きくなることもあります。預ける日数や送迎、緊急時の対応などについては事前に話し合い、お互いに無理のない形で協力し合える関係をつくることが大切です。
民間学童・サマースクール・サマーキャンプ
民間学童やサマースクールでは、学習だけでなく、英語やスポーツ、自然体験、プログラミングなど、多様なプログラムが用意されています。また、サマーキャンプでは親元を離れて集団生活を経験することで、自立心や挑戦する力が育まれることもあります。
もちろん、こうした経験がすべての子どもに必要というわけではありません。安心できる環境でゆっくり過ごすことが成長につながる子もいれば、新しい環境に飛び込む経験が自信につながる子もいます。大切なのは、「人気だから」「みんなが参加しているから」ではなく、「今、この子にどんな経験が必要だろう」という視点で選ぶことです。
また、毎日利用する必要はありません。週に数日取り入れるだけでも、子どもにとって新しい刺激や出会いにつながります。家庭の予算や生活スタイルに合わせて無理なく取り入れてみましょう。
シッターサービス
シッターサービスは、自宅での見守りやお昼ご飯の準備、学習の見守り、習い事への送迎など、必要な場面に合わせて利用できるサービスです。学童が終わった後の数時間だけ利用したい場合や、急な予定変更への対応など、家庭の負担を軽減する選択肢の一つになります。
「親がすべて対応しなければ」と抱え込まず、必要に応じて外部の力を借りることも、長い夏休みを無理なく乗り切るためには大切な考え方です。
一つに頼るのではなく、「組み合わせ」で考える
小学生の夏休みは、一つの預け先だけで乗り切ろうとすると、子どもにとっても保護者にとっても負担が大きくなることがあります。
例えば、
•基本は学童保育
•週に1日はサマースクール
•必要に応じて祖父母やシッターに協力してもらう
といったように、複数の選択肢を組み合わせることで、家庭全体にゆとりが生まれます。
また、子どもにとっても、さまざまな人や環境と関わることは、世界を広げるきっかけになります。「どこへ預けるか」だけではなく、「この夏、どんな経験を積んでほしいか」という視点も持ちながら、家庭に合った過ごし方を考えてみましょう。
夏の居場所。費用を考えるうえで大切にしたい視点は?
預け先を考える中で、多くの家庭が悩むのが費用面です。「子どもには充実した夏休みを過ごしてほしい」「仕事との両立のためにも負担を減らしたい」と思う一方で、民間学童やシッターサービス、サマースクールなどを利用すると、まとまった費用がかかります。そのため、「できるだけお金をかけずに乗り切りたい」と考える方も多いでしょう。
しかし、夏休みにかかる費用は、単なる支出ではなく、「家族全体が無理なく過ごすための投資」という視点で考えることもできます。
例えば、学童の延長利用やシッターサービスは、子どもの安全を守るだけでなく、保護者が安心して働き続ける環境づくりにもつながります。また、サマースクールやサマーキャンプは、新しい人との出会いや挑戦、自立など、学校生活だけでは得られない経験を積む機会にもなります。
もちろん、費用をかければ良いというものではありません。大切なのは、「人気だから」「みんなが利用しているから」という理由ではなく、「今、この子に必要な経験は何か」という視点で選ぶことです。
「夏休み予算」を家族で考えてみる
夏休み前に、「夏休み予算」を家族で話し合っておくのも一つの方法です。
例えば、
•子どもの安全を守るための費用
•親が働き続けるための費用
•子どもの成長につながる経験への費用
というように目的ごとに整理すると、優先順位が見えやすくなります。
限られた予算の中ですべてを実現することは難しいかもしれません。だからこそ、「何を削るか」ではなく、「わが家は何を大切にしたいのか」を家族で話し合いながら決めることが大切です。目先の金額だけではなく、「この経験が子どもの成長や家族のこれからにどうつながるだろう」という視点を持つことで、お金の使い方にも納得感が生まれるでしょう。
親の負担を軽くする!共働き家庭の夏休み乗りこなし術
夏休みを無理なく乗り切るために大切なのは、「頑張ること」ではなく、「頑張らなくても回る仕組み」をつくることです。仕事、子どもの予定、家事が普段以上に重なる夏休みは、その場その場で判断し続けるだけでも大きな負担になります。だからこそ、事前に家庭の運営方法を決めておくことで、日々のストレスを減らし、親も子どもも余裕を持って過ごしやすくなります。
予定を「見える化」する
まずは、夏休み全体の予定を家族で共有しましょう。
例えば、
•学童へ行く日
•サマースクールや習い事の日
•祖父母にお願いする日
•親が在宅勤務をする日
•有給休暇を取得する日
•家族で過ごす日
•宿題を確認する日
などを書き出しておくだけでも、「今日はどうするんだっけ?」という確認が減り、家族全員が見通しを持って過ごせます。紙のカレンダーでも家族共有アプリでも構いません。
子ども自身も予定を確認できるようにしておくことで、「今日は何をする日か」「次に何を準備すればいいか」を自分で考える習慣づくりにもつながります。
「毎日考える」を減らす
夏休みは、「今日は何を食べよう」「宿題はどこまで進んでいるかな」「誰が迎えに行く?」など、小さな判断が次々に発生します。こうした積み重ねが、実は保護者の大きな負担になります。だからこそ、
•朝起きる時間
•宿題をする時間
•お昼ご飯のパターン
•宿題を確認する曜日
など、家庭の基本ルールをあらかじめ決めておくと、日々の判断がぐっと減ります。また、献立や買い物リスト、お弁当のアイデアなどは、生成AIを活用することで「ゼロから考える時間」を減らすこともできます。もちろん内容は保護者が確認する必要がありますが、「考える負担」を軽くするだけでも、心の余裕は大きく変わります。
子どもが「自分でできること」を増やす
夏休みは、子どもの主体性を育てる絶好の機会でもあります。もちろん、小学生がすべてを一人でできるようになる必要はありません。一方で、親がすべて先回りしてしまうと、「自分で考える」「やってみる」という経験を積む機会が少なくなってしまいます。
例えば、
•学童の持ち物を確認する
•水筒を準備する
•宿題の計画を立てる
•昼食後に食器を片付ける
•翌日の予定を確認する
など、年齢に応じて少しずつ任せる範囲を広げてみましょう。ここで大切なのは、「完璧にできるようになること」ではありません。失敗も含めて、「やってみた」という経験を積み重ねることが、自分で考え、課題を解決していく力につながります。
夫婦で「家庭をマネジメントする」
夏休みは、家事や育児だけでなく、「判断すること」が普段以上に増える時期です。だからこそ、「手伝える方がやる」という考え方ではなく、それぞれが責任を持つ役割を決めておくことをおすすめします。
例えば、
•学童や習い事の送迎
•昼食・お弁当の準備
•学校や学童からの連絡確認
•宿題の見守り
•子どもの体調不良への対応
などを事前に整理しておくことで、急な予定変更にも対応しやすくなります。
また、この機会に「毎年どちらか一方だけが仕事を調整していないか」を振り返ってみることも大切です。今年の夏休みだけではなく、これからもお互いが働き続けられる家庭の形を考えることが、夫婦それぞれのキャリアを守ることにもつながります。
職場との調整は早めの対話を
夏休みの両立は、家庭だけで完結するものではありません。有給休暇や在宅勤務を希望する日、出社が必要な日などを早めに整理し、できるだけ余裕を持って職場へ相談しておきましょう。
その際は、「休みたい」と伝えるだけではなく、
「この業務は前倒しで進めます」
「引き継ぎを準備します」
など、対応策もあわせて共有すると、周囲も調整しやすくなります。こうした対話を重ねることは、「仕事をセーブする」ことではなく、責任を果たしながら働き続けるための工夫でもあります。
【小1の壁を考える】まとめ|夏休みは、親子それぞれの「これから」を育てる時間
小学生の夏休みは、共働き家庭にとって負担の大きい時期です。預け先や昼食の準備、宿題の見守り、仕事との調整など、普段以上に考えることが増え、「どう乗り切ろう」と感じる方も多いでしょう。だからこそ大切なのは、親が一人で頑張ることではなく、家族や職場、地域、外部サービスも活用しながら、家庭全体が無理なく続けられる仕組みをつくることです。
そして、夏休みは子どもにとっても、大きく成長できる時間です。ここでいう成長とは、勉強や習い事の成果だけではありません。
・自分で予定を立てること
・新しい人や環境と出会うこと
・挑戦してみること
・うまくいかなかった経験を次につなげること
その積み重ねが、「自分にもできる」という自己効力感や主体性を育み、将来のキャリア形成の土台になっていきます。
もちろん、必要な経験は子どもによって異なります。
安心して過ごせる時間が必要な子もいれば、新しいことへ一歩踏み出す経験が自信につながる子もいます。だからこそ、「みんながやっているから」ではなく、「今、この子にとって必要な経験は何だろう」という視点で夏休みを考えてみてください。
また、親自身にとっても、夏休みは働き方や家庭での役割分担を見直す機会になります。毎年同じ負担を繰り返すのではなく、「どうすれば家族みんなが無理なく過ごせるだろう」「これからも働き続けられる家庭の形はどんな形だろう」と考えることは、自分自身のキャリアを守ることにもつながります。
完璧な夏休みを目指す必要はありません。子どもが安心して挑戦できること、そして親にも少し心の余裕があること。その積み重ねこそが、親子にとって実りある夏休みにつながります。今年の夏休みは、「どう乗り切るか」だけではなく、「この夏、この子にどんな経験を届けたいか」という視点も持ちながら、ご家庭らしい夏休みの形を考えてみてはいかがでしょうか。
制作:マイナビ転職編集部