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東京二期会オペラ劇場『ルル』日本デビューを果たす、オスカー・ヨッケル(指揮)インタビュー&リハーサル見学レポート公開

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オスカー・ヨッケル

2026年4月11日(土)カルッツかわさき、4月17日(金)~19日(日)新国立劇場 オペラパレスにて、東京二期会オペラ劇場『ルル』が上演される。この度、指揮を務めるオスカー・ヨッケルのインタビュー、およびリハーサル見学レポートが届いたので紹介する。

東京二期会オペラ劇場『ルル』の開幕が、いよいよ迫っている。5年ぶりの上演となる今回は、初来日となるオスカー・ヨッケルが指揮を務める。2023年、20代でカラヤン・アワードを受賞した気鋭の指揮者であり、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ではキリル・ペトレンコのアシスタントを務めるなど、着実にキャリアを築いてきた。ゼンパーオーパー・ドレスデンやミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団からも招かれている。谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』を題材としたオペラを作曲するなど、日本文化への関心も深いヨッケルだが、本作で日本デビューを果たす。

開催を目前に控え、ヨッケルのインタビュー取材が行われた。

オスカー・ヨッケル      撮影:加古伸弥

「長年、日本を訪れたいと思っていた。今回、日本デビュー、そして『ルル』の指揮デビューを同時に迎えられることを、大変うれしく思っています」

1995年生まれのヨッケルは、朗らかで親しみやすい印象を与える好青年だ。

20世紀最高峰のオペラと評される『ルル』だが、「海外(母国以外)で上演するのが非常に難しいオペラ」と語る。ドラマを的確に展開し、登場人物の内面を余すところなく表現する必要があるうえ、12音技法を駆使した、いわば無調音楽の先駆けともいえる作品だからだ。

しかし、観る側が構える必要はないという。

「12音技法には明確なルールがありますが、その枠組みの中で非常に豊かな表現が可能です。日本庭園に少し似ていて、限られた空間や制約の中に自由がある。私たちが庭園を散策する時に感じるのは、構造そのものではなく、そこにある美しさ。このオペラでも大切なのはルールではなく、そこから生まれる感情です。むしろ構造こそが、よりよい感情表現を助けてくれています」

オスカー・ヨッケル      撮影:加古伸弥

さらに、楽譜についてもこう語る。

「非常に緻密で一見複雑ですが、理解すると驚くほど明快です。まるで楽譜そのものが場面を語りかけてくるかのようです。モーツァルトの作品も非常に精密に書かれていますが、実際に聴くときにはその細かさを意識することはありません。音楽そのものに集中できるようになります。『ルル』でも同じことが期待できると思います」

20世紀のオペラ、12音技法、無調音楽――そうした言葉に難解な印象を抱くかもしれない。しかしヨッケルは、「純粋に音楽と物語を楽しんでほしい」と語る。その言葉に背中を押されるように、観客は安心して作品世界に身を委ねることができるだろう。

また、約100年前の作品である『ルル』を今上演する意義についても言及した。

「ルルは《ファム・ファタール=悪女》と見られがちですが、原作には幼少期に虐待を受けた過去が描かれています。彼女の行動はその結果でもある。死んでいく3人の夫たちも、単に“殺される”のではなく、自らの行為への罪悪感によって破滅していくのです」

サイコスリラー的な側面に目を奪われがちな作品だが、本プロダクションでは異なる視点が提示される。

オスカー・ヨッケル      撮影:加古伸弥

「最終的にルルは“解放”されます。そこに至るまでの感情の変遷を、ぜひ見届けていただきたい。日本の観客にとっても重要な作品になると思います」

演出のカロリーネ・グルーバーとは旧知の仲で、3時間電話で語り合うこともあるという。自身が作曲した『陰翳礼賛』も彼女が演出しており、その信頼は厚い。

本作では、ルルの内面をダンサーの中村蓉が身体表現で担う。

「人は深いトラウマを経験すると、自らの魂を切り離すことで生き延びようとすることがあります。“これは自分ではない”と思わなければ耐えられない。その分離された存在が舞台上に現れ、最終的にはそこからの解放が描かれます」

“もう一人のルル”ともいえる存在が、このプロダクションの鍵を握ることは間違いない。ステレオタイプにとどまらない、新たな視点から描かれる『ルル』に期待が高まる。

インタビュー後にはリハーサルが行われた。稽古場には十数体の裸のマネキンが並ぶ。

第1幕第3場。劇場の踊り子となったルル(冨平安希子)のもとを、シェーン博士(大沼徹)の息子アルヴァ(山本耕平)が訪れる場面から始まる。

『ルル』リハーサルの様子      撮影:加古伸弥

「もう少し不機嫌に」
「もっと衝撃を受けて、やや自暴自棄気味に」
「プロデューサーがプリマを持ち上げるように入ってきて」

『ルル』リハーサルの様子      撮影:加古伸弥

細やかな指示が飛び、揺れ動く心情や視線、身体の動きに至るまで丁寧に形作られていく。
舞台中央にはポールダンスを思わせる棒が据えられ、ウエディングベールをまとったルルはその周囲を妖艶に回る。中村蓉がその動きを入念に確認する姿も印象的だ。

『ルル』リハーサルの様子      撮影:加古伸弥

『ルル』リハーサルの様子      撮影:加古伸弥

音楽の合間に挟まれるヨッケルの指示には熱がこもり、それに応える歌手たちの真剣なまなざしが、作品の濃密さを物語っていた。

本公演は4月11日にカルッツかわさきで開幕し、4月17日から19日に新国立劇場オペラパレスで上演される。チケットは各プレイガイドで発売中。

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