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幻想世界の生き物のよう エレガントな昆虫モチーフのビーズ刺繍アクセサリー

おたくま経済新聞

「Under the rose」の昆虫ビーズ刺繍アクセサリー(Under the rose 天野さん提供)

 自然がモチーフになったアクセサリーは色々ありますが、昆虫をモチーフにしたものは、ルネ・ラリックの作品に代表されるように、きらびやかな姿が独特の美しさを生み出します。ベロア生地にビーズ刺繍で彩られた、幻想世界の生き物を思わせる昆虫のアクセサリー。作者の方に話をうかがってみました。

 昆虫をモチーフにしたビーズ刺繍のアクセサリーを作っているのは、Under the roseの天野さん。Twitterで公開されている作品は、キラキラ光るビーズと落ち着いた色合いのベロア生地が、とても良いハーモニーを生んでいます。

 もともと物作りが好きで、趣味で裁縫やイラストを書いたりしていたという天野さん。特に作品を公開することはなく、あくまでも自分自身の楽しみとしていたそうですが、新型コロナウイルス禍で自宅で過ごす時間が増えたことで考えを変え、2020年10月よりTwitterで自分の「好き」を表現するようになったといいます。

 Twitterのアカウント名にもなっている「Under the rose」は、秘密や内緒といった意味を持つ英語の慣用句。古代ローマの習慣で、バラの花を天井に吊した宴会では、そこでの会話を口外しないという取り決めがあったことに由来するものです。

 天野さんは「好きな花であるバラ(Rose)を含んでいることと、『秘密』という意味から感じる、ミステリアスでわくわくする気持ち。『バラの下の秘密』って、そこに何か素敵なものが隠れていそうで、私がこれから制作していきたいもののイメージとピッタリだったんです」と、この名前に込めた思いを語ってくれました。

 以前から昆虫モチーフのアクセサリーが持つ独特な魅力に惹かれ、小さなミツバチのブローチをよく身につけていたこともあり、モチーフに昆虫を選ぶのは自然な選択でした。「美しいけれど、それだけではない。どこか妖しく毒のあるその魅力を、いつか自分の手で作り出してみたいと思っていました」と天野さん。

 昆虫をモチーフにしたビーズ刺繍アクセサリーは、海外ではポピュラーなもの。ところが、国内では布製の立体的な昆虫アクセサリーはあまり見かけることがありません。このため、天野さんは自分の好きなベロアとビーズの組み合わせで作品を作ろうと思い立ったといいます。

 学生時代からアクセサリーやぬいぐるみ、テディベアなどを作っていたそうですが、刺繍ビーズのアクセサリーは作り始めて1年ほどだとか。これまでに25種類、60点ほどを制作したそうです。

 作る際、まず初めに作りたいモチーフのイメージを固め、メインで使うベロア生地とビーズの組み合わせを考えるとのこと。スケッチはあまりせず、自分の中にあるイメージから型紙を書き起こし、ビーズの色味や配置を悩みつつ試作を重ねていくという方法で制作しているそうで「しっくりイメージ通りのパーツが見つかると、パズルがあったようでとても嬉しいです」と制作の喜びを語っています。

 好んで作っているのは、ガやチョウなど、翅が特徴的なモチーフ。実物のガは色合いなどから敬遠されがちですが、造形面ではとても魅力的な形をしていますね。

 作品作りでは「物」になりすぎないように注意している、と話す天野さん。アクセサリーではあるものの「テディベアやぬいぐるみのように、それぞれ表情や個性があって、思わず愛でたくなってしまうように、一点一点、命を吹き込むように一針ずつ縫っております」とのこと。

 また造形についても、写実的に昆虫の美しさを追求するのではなく、あくまで宝石のように美しい小さな生き物になるように、リアルすぎない微妙なラインを目指しているそうです。そのためでしょうか、作品はどこか幻想の世界に出てくる生き物のような、独特の愛らしい存在感を放っています。

 作品を見た方からは「昆虫は苦手でも、この子たちには触れてみたい」といった声が多く寄せられ、反響の多さに驚いているという天野さん。作品を販売する際も、作品ごとにイメージされた小さなお話を添えているそうで、それもまた大きな魅力になっているのかもしれません。

 「作品から命を感じる、と言っていただけた時は、作り手としてとても嬉しく、胸が一杯になりました」と語る天野さん。今後は少し大きなものや、植物をモチーフにした作品にも挑戦していきたいとのことで、これからも「Under the rose」のTwitterで発表される作品に注目です。

<記事化協力>
Under the rose 天野さん(@Rose10The)

(咲村珠樹)

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