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【福岡ラーメン愛が止まらない】福岡屈指のラーメン激戦ロードに参戦した“熟成呼び戻し”豚骨の新星(福岡県・志免町)

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博多一叶辛ネギチャーシューメン

僕はラーメンライターという職業柄、新店にアンテナを常時張り「啜って、書く」を繰り返しているわけですが、今年福岡にオープンした中でもなかなか訪れることのできていない店もいくつかあります。今回紹介する「博多 一叶(いっきょう)」もそんな宿題店の一つでした。「“あの名店”で働いていた方が独立」「熟成呼び戻しの泡スープ」などSNSを飛び交う興味津々の前情報に加え、信頼を置く麺友から「うますぎて週2、3回は通っている」という生の声を聞き、「これは早く行かねば!」と初訪麺。結果、噂に違わぬすばらしい店でした。福岡ラーメン新店豚骨部門随一の実力者であることを断言します。

博多 一叶」は、志免町のロッパチ(県道68号)沿いに2025年8月5日オープン。ラーメン好きが「ドラゴンロード」とも呼ぶラーメン激戦ストリートにあります。約18台の共用駐車場を備えた飲食店が集まる一角で、黒い看板を掲げているのが「博多 一叶」。屋号と合わせ“熟成呼び戻し豚骨ラーメン”の大きな文字も目を引きます。

「呼び戻し」についてはこれまで本連載でも記してきましたが、フレッシュと熟成したスープ、言い換えると炊き時間、豚骨濃度の異なる複数の釜のスープをブレンドしていく久留米発祥の作り方。豚骨ラーメンの製法は一般的にこの「呼び戻し」と、決まった分量を炊き一発で完成させる「取りきり」に大別されます。「呼び戻し」は“骨を継ぎ足し煮込み続ける”と表現されることも多いですが、それは1本の寸胴で炊く「取りきり」でも当てはまる場合もあるので、「営業時間中も“複数の”釜のスープを調整、ブレンドしながら本釜(提供用のスープ釜)に注いでいくやり方」と理解してもらった方がいいかもしれません。作り手の経験、感覚的なものにも左右される製法です。

1〜3番の大型寸胴が並ぶ「博多 一叶」の厨房で、一心に“呼び戻し”をかけている(聖地・久留米などでは呼び戻しを“かける”と表現します)のが卓抜の豚骨ラーメン職人、末永誠司さん(昭和52年福岡市出身)。2008年から2023年まで、ワールドワイドな人気を誇る豚骨の超名店「博多一幸舎」に勤務し、製造品質管理部長までなった人です。かつて一幸舎で共に働いていたもう一人のベテラン職人と共に「博多 一叶」を今夏開きました。
「博多一幸舎の出身者が開業」という情報はラーメンファンの間でも広く知られていることであり、屋号に付けた“一(いち)”にも店主2人の修業先へのリスペクトが込められています。しかしながら、出しているラーメンは似て非なる豚骨ラーメン。「博多一叶」のオリジナリティが細部に宿る一杯です。

「“呼び戻しの熟成スープ”と“脂泡(しほう)”は一幸舎で学ばせてもらった宝物です。それらの魅力を残しながら、僕らなりの豚骨ラーメンを突き詰めました。目指したのは熟成感、泡感がしっかりありながら、よりライトに食べられる一杯。開業前、いちからスープを立ち上げ、豚骨のさまざまな部位、脂とのバランスを試しながらスープを熟成、育ててきました。醤油、麺も選び抜いたものを使っています」と、修業先である一幸舎への感謝を込めて末永さんは話します。

この日オーダーしたのは、「豚骨チャーシューメン(990円)+トッピングの辛ネギ(+150円)」。スープは、ねっとりとした脂質が乳化し、丁寧な混ぜ込みで空気を含ませることでも際立つ、細やかな脂泡で覆われています。泡が唇で優しく弾け口当たりはライトですが、一瞬後に厚みのある豚骨のボディの旨味がガツン! 豚骨のまろやかな旨味、ほんのり甘い醤油感が舌をたゆたいます。麺は「製麺屋慶史」謹製の中細ストレート。パッツンとした歯切れの良さと粉感、スープとよく絡んで“持ち上げてくる”感じが好印象ですね。

無料の辛子高菜と同じく店内で仕込み、辛味を入れた辛ネギのシャキシャキ感、舌先ピリリの適度な辛さがいいアクセントになっていますし、バーナーで炙りを入れた豚バラチャーシューも申し分のない旨さです。

加えてこのラーメン。泡立つ濃厚さがありながら、部位の種類や炊き方を工夫し豚骨フレーバーを抑えてあることも特徴です。老若男女、外国人にもより馴染みやすいよう、また、昨今豚骨ラーメンが引き合いに出されることの多いにおいの問題、周辺環境への配慮の観点から、末永さんたちが「持続可能な呼び戻し豚骨ラーメン」の新しい形を指し示したとも言えます。街なかの物件や商業施設内など、今後の「博多 一叶」の展開も見据えてのことです。

ラーメンと共にメニューの柱となっている「魚介まぜそば」(850円)もオーダーしました。こちらは「製麺屋慶史」謹製の切刃15番の太ストレート。魚介ダシの効いたタレと油、崩した卵黄、炙りチャーシューの旨味が混然一体となりこれまた美味。煮干し酢を加えながら味の変化も楽しめ、さらに締めに入れるダイブ飯もセットで付いています。

そのほか、サイドメニューの「唐揚げ」(1個200円)も試してみましたが、鶏もも肉と脂身のバランスの取れた細長い切り方にしてあり、優しいニンニク醤油味。唐揚げ専門店にも負けないうまさで、定食(800円)の人気が高いのも頷けます。

「ラーメン、まぜそばはもちろんのこと、ご飯、チャーハン、唐揚げなどのサイドメニュー、高菜などの卓上総菜にいたるまで“すべてが旨い”といっていただける店にしたいんです。水も、ミネラル豊富なπウォーターを導入。料理、お冷すべての水に使っています」と末永さん。

豚骨ラーメンの新店注目株の「博多 一叶」。店のあるドラゴンロードは福岡空港からも近く、豚骨スイッチの入った福岡市民や観光、出張で訪れた方にもおすすめしたい店です。そして、毎週、木曜の15:00〜17:30には子ども食堂も開催中。この志免町を皮切りに、地域に密着しながら広く展開していくそうです。

博多 一叶
福岡県糟屋郡志免町別府1-20-6
092-233-4577

上村敏行
1976年鹿児島市生まれ。2002年、福岡でライター業を開始。同年九州ウォーカーでの連載「バリうまっ!九州ラーメン最強列伝」を機にラーメンライターとして活躍。各媒体で数々のラーメンページを担当し、これまで1万杯以上完食。取材したラーメン店は3000軒を超える。ラーメン界の店主たちとも親交が深く、ラーメンウォーカー九州百麺人、久留米とんこつラーメン発祥80周年祭広報、福岡ラーメンショー広報、ソフトバンクホークスラーメン祭はじめ食イベント監修、NEXCO西日本グルメコンテストなど審査員も務めてきた。ラーメンライターとしての活躍はイギリス・ガーディアン紙、ドイツのテレビZDFでも紹介

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